「不採用」というその三文字。
たぶんそうだろうという覚悟はしていたが、
実際目にすると、哲の心を下降させるには十分の威力を持っていた。
心の片隅には「採用」という文字を少しは期待していた。
「やっぱりな」
分かっていても悔しいものがある。
「しょうがねーな。・・・またイチからがんばるか」
哲はそう思いながら、目線を上にあげ、何もない空間をぼーっと見ていた。
大学の授業には一度も欠かさず出席し、教室の前列に腰を下ろし熱心にノートを取り続けた。
空いた時間には、大学内になる図書館にこもって
公務員対策の問題集を解きまくった。
分厚い問題集ではなく薄い問題集を何度も何度も繰り返しやった。
基礎と呼ばれる一般教養を脳みそに刷り込んでいった。
体力強化は、朝起きてから学校に行くまで、そして帰ってからすぐ、
寝る前の1日3回以上はランニング、腹筋、腕立てを行った。
さらに前回受験して体力試験の項目も分かったので、それに特化した練習も何度も繰り返した。
ーーー
時は流れ、新しい年が明け、春には大学の方から4年生時一年間の成績通知表が届いた。
表には受講していた教科すべてが合格点「可」の文字が並んでいた。
いわゆる「満タン」の単位を取得することができ、
大学5年生として迎える最終学年では、わずか1科目4単位を取得すれば
晴れて大学を卒業できることになった。
念のために3科目だけ受講することにして、空いた時間は消防士採用試験に向けて
集中することにした。
順調に学力も体力も上がってきている。
消防士採用試験がある10月まであと半年がんばっていくしかないと心を締めた。
