平尾の入院する警察病院にて

亀山『この度は大変な目にあわれましたね』

平尾『まったくです…ところでもう刑事さんにはお話ししましたがまだ何か?』

右京『問題の荷物の送り主は渡辺久宏という名前だったのですが、その名前に心当たりはありませんか?』

平尾『いえ、先ほども別の刑事さんに話しましたけど知りません。しかも犯人は西口って男なんですよね?』

亀山『すいませんね~この人細かいことが気になるもんでね』

右京『15年前の事件でもあなたは被害にあわれていますよね~しかしその犯人の名前が渡辺だとご存じないのですか?』

平尾『…あ~あの渡辺ですか…じゃあ今度の事件も渡辺となんか関係があるっていうんですか?』

右京『僕はそう考えています』

平尾『考えすぎですよ。どうしていまさら…第一あの事件のことで私たちが狙われる理由がないじゃないですか』

亀山『でも、調べてみると15年前被害にあったのはあなたと、埼玉で殺害された岸さん、そして15年前に爆発で亡くなった中島さんですよね』

右京『つまり15年前の事件の真相を知るもので唯一残っているのはあなただけということになりますね』

平尾『何なんだ君たちは、まるで私が犯人扱いじゃないか』

右京『おやおや、そんな風に聞こえてしまいましたか、申し訳ございません』

亀山『すいませんね~つい考えすぎちゃいましてね』

平尾『とにかく犯人は西口という男に間違いない!』

右京『失礼しました。亀山君、そろそろ帰りましょうか』

亀山『はい』

平尾『…』


 警視庁にて

小野田『で、どうなったのかな』

右京『まだ捜査中です』

小野田『僕のほうでも15年前の事件調べてみたんだよ。亡くなった中島という男は大きな秘密を抱えていたみたいよ』

右京『秘密ですか』

小野田『中島も岸もそのために消されたのかもしれないね』

右京『確か、当時厚生省内でカラ出張が問題となっていましたね。国会で証人喚問をするという話にもなりましたが例の事件でそんな話はなくなりました』

亀山『じゃあ、中島の秘密ってのがそれだったなら爆発を起こしなのはそれをバラされたくない連中ですかね』

右京『ええ、その可能性はあります』

小野田『あっそうそう、正式な捜査はもう終わりにしたから、埼玉県警との合同捜査本部も解散することになったから』

右京『あとは好きなようにやらせてもらいますよ。いつものように』


 合同捜査本部にて

内村『え~思いのほか早期解決できて何よりだ、ただいまをもって合同捜査本部を…』

伊丹『刑事部長、ちょっとよろしいでしょうか』

内村『何事だ』

伊丹『解散する前にお知らせしたいことが』

内村『もったいぶらずに言え』

伊丹『ある筋からの情報で細川京子という人物を調べていましたが、この女が事件の1週間前からたびたび埼玉と中野のどちらの現場付近でも目撃されていました』

内村『どういうことだ』

伊丹『西口の証言も肝心なところは覚えていないの一点張りです。もう一度調べてみてはいかかでしょうか』

中園『じゃあ平尾氏の証言はどうなる』

三浦『しかし、捜査を打ち切った後に真犯人が逮捕されるなんて事態は避けたほうが得策かと』

内村『…よし、2日やる。徹底的に調べろ。それにしてもある筋ってのはどこなんだ?』

伊丹『それは…』

中園『まさか特命係だなんて言わないだろうな』

三浦『いえ、そんなことはありません…』

内村『まあいい、細川京子を調べろ、西口との関係もな』

伊丹・三浦『はい』

 特命にて

亀山『捜一は細川京子を任意で引っ張ったみたいですね』

右京『そのようですね~』

米沢『失礼します、例の水銀の出所が判明しました。中野の現場から2キロ離れたとこにある工場です。どうやら管理ができておらず漏れ出した一部のようです』

右京『ということは凶器をいったんそこに隠し、また出頭するときに持参した』

米沢『そういうことになりますな。ちなみにその工場から宅配員の衣装は発見できませんでした』

亀山『どういうことなんすかね』

右京『現場からはなにかありましたか?』

米沢『それが見事に痕跡がありません、足跡痕も、もちろん指紋も、荷物の宛名の筆跡もどれも西口のものはありません』

右京『では、考えられるのは一つですね』

亀山『誰かをかばっているってことですか。細川京子と西口の関係はあったんすか?』

米沢『捜査一課も調べているようですが、何も出てこないようですな』

右京『あるいは西口が一方的にかばっているとは考えられませんかね~』


 取り調べ室にて

三浦『細川さん、ご協力願いませんか』

細川『…』

伊丹『あんたが事件前に現場付近にいたことはわかってんだよ』

細川『…』

芹沢『なんとか言ったらどうですか』

細川『15年前と同じですね。強引な取り調べで自供を引き出すつもりですか』

三浦『…別にそんなつもりはないですよ』

伊丹『ん?なんか特命のにおいがするな』
 
 右京がノックもせずに入ってきた

右京『失礼、10秒だけ』

芹沢『匂いがわかるなんてすごいっすね~先輩』

右京『あなたが事件を起こしたのですね?それも時効が迫った15年前の事件の再捜査のため。だからわざわざ渡辺さんの名前を現場に残した。違いますか?』

細川『やっとわかったのね。西口って男が犯人だなんて随分と頓珍漢な捜査をしたもんですね』

伊丹『なんだと?』

細川『関係ない人を犯人にするなんて15年前から何も変わってないじゃない』

右京『それは違います。今回は出頭して、被害者の証言もありましたからね。15年前の杜撰な捜査は僕からもお詫び申し上げます』

細川『…で、あの西口って男はなんなの?警察がでっち上げたんでしょ?』

亀山『あんたな、西口が誰なのかわからないのかよ』

細川『?』

右京『先ほど西口さんからお聞きしました。あなたが一度だけ西口さんが公園で倒れているのを助けたのを覚えていませんか?』

細川『そういえばそんなこともあったような気もするけど…それが何の関係があるんですか』

亀山『中野での事件の日は偶然あんたを見かけて、様子がおかしいからあとを尾行したんだ、で事の一部始終を見てしまった。それも凶器の隠し場所までね』

細川『だからってなんで犯人として出頭したり』

右京『彼なりの恩返しだったのだと思いますよ。もちろん褒められたことではありませんが』

細川『私は15年前の事件以来誰も信じられませんでした…なのにいつの間にか助けられてたなんて』

右京『あなたを2件の殺人未遂で逮捕します』

伊丹『警部さん、埼玉の事件では死人が出てるんですよ?』

右京『ええ、ですが細川さんは殺人未遂ですよ。真犯人は別にいますから』

芹沢『なんかドラマみたいっすね』

伊丹『ばか、感心してる場合か。で、誰だっていうんですか』

右京『では、今回の事件の主役に会いに行きましょうか』

続く~