刑事部長室にて

中園『被疑者の西口文雄の証言通り、凶器からは埼玉で殺害された岸武信氏と今回被害にあった平尾孝明氏のDNAが検出されました』

内村『そうか、動機はなんなんだ?』

中園『どうやらエリートを狙い撃ちにした犯行なようです。被害者への一方的な逆恨みによるものだと思われます』

内村『早期解決でよかったじゃないか、しかし何故出頭したんだ』

中園『そこのところはまだわかっておりません』

 特命にて

右京『今回の一連の事件は本当に彼の犯行なのでしょうかね~』

亀山『でも、出頭してきて、凶器も持ってるんなら決まりじゃないっすか?』

右京『西口は3年前に自ら経営していた会社が倒産し、その後はホームレス生活でしたね』

亀山『ええ、それで不満が爆発したってとこですかね』

右京『では、宅配員に変装した衣装や今回警視庁に乗り付けた車はどこから手に入れたのでしょうね~』

亀山『まあ盗んだんでしょうね』

右京『仮にそうだとして、今その衣装はどこでしょう?』

亀山『どっかに捨てたか…いやそんなら凶器も一緒に捨ててそうですね』

右京『ええ、凶器だけ持ち帰り、その他は処分した…どうも妙な話です』

そこにやってきた米沢『確かに妙です。今回発見された凶器ですが…』

亀山『まさか凶器ではなかったとか?』

米沢『いえ、それはありません。しかし凶器を入れていたビニール袋から水銀が検出されました』

亀山『水銀?』

米沢『ええ、西口の暮らしていた公園では検出されませんでしたから、どこかで付いたものだと思いますが』

右京『なるほど。だとするならば凶器が西口のものだとは言えませんね』

亀山『どういうことです?』

右京『西口がどこかで凶器を拾い、それを持って出頭した可能性もあるということですよ』

亀山『なんだってそんなことを?』

右京『さあ、それはまだわかりません。しかし15年前の渡辺の自殺と何か関係があるのかもしれませんね~』

 そこに伊丹らが現れる

伊丹『特命係の亀山~てめ~何こそこそ調べてやがる』

亀山『おめーらには関係ねーよ、こっちは官房長直々の命で動いてんだからな』

右京『亀山君、おしゃべりが過ぎますよ』

亀山『すんません、そういうことだ、とっとと帰れよ』

三浦『せめて何を調べてるか教えていただけませんか?』

右京『ただ一つ言えることは、まだ事件は終わっていないということだけですよ』

 二人は外に出ていく

芹沢『?』

伊丹『何言ってんだ?』

三浦『まさか真犯人がいるなんて言い出さないだろうな…』

伊丹『うーん…まさかな…』

 所轄の北沢署にて

中村刑事『本庁の方が何のご用ですか?』

右京『あなたは15年前の厚生省爆破事件の捜査に当たられていましたね』

中村『ええ、まだ新人の頃でしたけど』

亀山『渡辺は犯人に間違いなかったんですよね?』

中村『どういうことです?』

右京『今捜査している事件にもしかしたら関係しているかもしれませんのでお聞きしています』

中村『あの事件は忘れません。証拠は渡辺の大学院の研究室にあった爆弾製造の道具と、事件当日のアリバイがなかったことだけでした』

亀山『それだけで起訴ですか』

中村『本庁からは事件解決を急がされましたからね。自白もあったことで起訴に至りました』

右京『そうでしたか、やはり確たる証拠はありませんでしたか。その自白というのも身柄拘束から10日もたってのものですから信憑性があるとは到底思えませんが』

中村『ええ…強引だったのは間違いありません…でも奴は自殺した。だからやっぱりあいつが犯人だったと思うことにしたんです』

亀山『そんな…』

右京『最後に一つだけ、渡辺の両親は事件当時すでに亡くなっていたようですが、他に関係者はいなかったのでしょうか?』

中村『奴は一人っ子で、親戚も当時調べましたが事件後は縁を切った状態だと思います、そういえば…』

右京『はい~?』

中村『あの当時何度も警察に来ては無実を訴えていた女性がいました』

亀山『名前は?』

中村『確か…細川…京子という名前だったと思います』

右京『亀山君、捜査一課にも協力してもらって探してください』

亀山『了解!』


 しばらくして、刑事部長室にて

内村『杉下、お前等はまだ例の事件を調べているそうだな』

右京『ええ、少々気になることがありまして調べています』

中園『今すぐ捜査をやめろ』

亀山『しかし官房長からの命令なんですよ』

内村『だからどうした、先ほど被害者の平尾が意識を取り戻して事件の証言を得た。そこで西口を犯人だと証言したんだ』

中園『つまり、これはもう終わった事件だ、これ以上は無駄だ』

右京『お言葉ですが、それだけとは思えませんが』

内村『考えすぎだ、さっさと部屋に戻って大人しくコーヒーでも飲んでろ』

右京『僕はもっぱら紅茶です、では失礼します』

亀山『失礼します』

 廊下に出る二人

亀山『どうなってるんです?』

右京『さあ、しかし平尾さんにお話が聞きたいですね~』

亀山『でも、たった今捜査中止命令が出たんすよ?』

右京『ではお見舞いに行きましょう』

亀山『そうっすね』

 続く~