こんにちは。ティールコーチの小河節生(Sam)です。
最近暇を持て余しており、そんな時は本読むようにしてます。
が、目が疲れたり、脳が受動的になってる時は、オンライン動画
配信サービスで映画、アニメとかを見てしまいます。
見ているのは、Amazon prime videoとかhuluとかAbemaTVとかです。
何をみたらいいのかわからないので、配信サービスのリコメンド
を上位から見てしまうことになります。
そうすると、アニメコンテンツが圧倒的に上位に並んでしまいます。
一旦、アニメコンテンツを見るとアルゴリズムがそれに似たコンテンツ
をリコメンドして来るからだと思われますが、映像産業としてもアニメ
が優位なんではないかも知れないのかということで、週刊東洋経済の
特集号を読んでみました。
アニメオタクなつもりがないのにアニメばかりのリコメンドに違和感
たっぷりです。
1.なんでアニメばっかり作るの?
まず何といっても、最近の日本映画ってアニメしかヒットしていない。
2012年と2022年の邦画興行収入上位5位を比べてみると、
2012年には3本あった実写映画が2022年には皆無になっている。
原因は、製作費の安さ。
週刊東洋経済2023.5.27号によれば,
実写版が数億円/本。
アニメが高くても5000万円/本。だいたい3000万円ぐらいらしい、
とのこと。
高い製作費を賭けても、アニメの興行収入に及ばないことも、
あって実写版制作のリスクを避けているのでしょう。
2.市場規模は?
売上規模の実績(2021年)は日本の業界は2.7兆円少々。
海外での売上を含み、内外比率はほぼ、1:1のようです。
日本たばこ産業の売上より1000億円ぐらい高い程度。
世界へのアニメ配給を目的とするREMOW社の石井紹良社長は
潜在市場規模を34兆円と見込んでいる。
トヨタの連結決算が約32兆円なので、そんな規模感です。
3.製作委員会という運営体制
それで、企画、制作、販売、版権の管理は「製作委員会」で、
実行されることが多いようです。
「(作品名)制作委員会」とかいうのです。
アニメに限らず、実写映画でも日本においてはこの体制のようで、
制作委員会は資本家、クリエーターはプロテスタントの構図です。
圧倒的に資本家優位の体制。
製作委員会というのでは、民法上の任意団体にあたるもので、
出資者として関連会社が加わります。
幹事会社を選んで3%程度の手数料を払って運営してもらうらしい。
そして、作品の著作権を共同保有して、売上、利益を出資比率に
応じて分配します。損失が出た時はどうするか知りません。
出資者はこんな会社が代表的なようです。
テレビ局。
映画会社。
広告代理店。
出版社。
配信会社(Netfixとか)。
元請け試作会社(MAPPA,東映アニメーションとか)。建設業のゼネコンのイメージか?
ゲーム会社。
おもちゃメーカー。
プロヂュース会社(ジェンコとか)。パッケージメーカ(アニフレックスとか)。
出資額はTVアニメ1クール(10~13回分)で3.3億円ぐらいの出資金を募るらしいです。
製作委員会の収入はこんなところから得ている。
・配信会社からの売上。
・興行収入;これは劇場版の場合発生する収入。
・2次利用からの手数料。
2次利用としては、海外での販売。パッケージ、商品化、音楽、パチンコなど。
15~30%ぐらいの手数料を2次利用の売上からもらうらしい。
昔はDVDの販売で稼いだが今は配信会社から売上が圧倒的。
制作委員会と出資会社の取り分は書いてない。
製作委員会の支出。
製作費;TVアニメ1クール(10~13回分)で3億円ぐらい。1話2000万円から3000万円ぐらい。
・元請制作会社に発注される。2年間くらい制作期間があるが利益率は5%ぐらい。官公庁ビジネス並みの厳しさ。
・2次下請けは1話ごとに別の会社に発注される。グロス下請けと呼ばれるそうで、だいたい1話600万円で請け負う。
そこから外注費が400万円、試作進行費150万円、家賃など経費に50万円、アニメータ拘束費(近年人で不足で高騰中 )
がかかり採算苦しいとこが多いらしい。
・3次下請けで背景美術制作会社、海外動画・仕上げ会社に下請けに出される。原画の仕上げ単価は180~220円/枚が相場。
・製作費の内訳;この分析がされていて興味深い。全体で3,120万円/話。その中で100万円を超える主要な費目を挙げてみる。
・・原画料:600万円
・・監督報酬:300万円
・・作画監督料:300万円
・・設定(何のことかわからないが):240万円
・・背景:200万円
・・CG費用:200万円
・・音響:200万円
・・演出料:180万円
・・制作管理費用:150万円
・・動画料:120万円
原作使用料;作者と版元は制作に絶大な影響力があるらしい。
著作権に加えて著作者人格権というのがあって、原作書の発言権は強く、
原作者の意に沿わないビジネスはできないこともあるようです。
4.資本主義の縮図
しっかり稼いでいるのは、S出版社、アニメの企画・制作から配信まで一気通貫で稼いでいるのはSON○グループ。
底辺にいるのは、制作会社とそこで働くクリエーターたち。特定の役回りの人については結構悲惨な実態が描かれている。
字数も伸びてきたので、詳細は週刊東洋経済2023.5.27号を読んでみてください。
とまあ、アニメに関する話題提供。
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こころざし創研 代表
ティール・コーチ 小河節生
E-mail: info@teal-coach.com
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