コロナによる劇場閉鎖を経て、今日から通常業務が再開しました。2週間分の空白を取り戻すかのように、今月はなかなかに充実しそうな予定です。


さてこの度、労働組合に加入しました。ドイツの劇場やオーケストラで働く人達のための組合の存在は、古くからあるようです。私が加入したものは、1951年創立だそうな。組合の存在については、私の知り合いのオペラ合唱団員さんの殆どが入っていたので前から知っていました。私もドイツの劇場に雇用される身となったので、問い合わせて、入ることにしました。なぜ、入ったかと言いますと…大きく二つの理由があります。


①法律相談など、仕事をする中で何か困ったことがあれば無料で相談にのってもらえる。また万が一裁判をしなければならなくなったとき、その裁判費用を組合が出してくれる。

②合唱団の権利や、仕事内容のルールなどを知りたかった。


私が入ったのは、オペラ合唱団と舞台ダンサーのための労働組合。他に役者用、裏方の職人用のための組合もあるそうです。組合費は、私の場合月額14ユーロ、来年になるともう少し高くなるみたいです。




仕事内容や権利に関するハンドブック。その中から、興味深いものを抜粋しました。


[欠席や休暇]

・夏の長期休暇は45日間(有給)

・体調が悪いときは、朝、事務局と上司に連絡。三日間は医者の診断書無しで休める。それ以上は休む場合は、医者の診断書が必要。体調不良で休んだ日数は、上記の有給休暇から差し引かれません。


[練習時間] 

・一回の合唱練習は2時間を超えてはいけない。・一回の舞台上稽古は3時間を超えてはいけない。ただし、通し稽古や本番直前のゲネラルプローベは例外。

・2つの練習の間には最低4時間の休憩を取る。(例:10:00〜12:00,  18:00〜21:00)

・夜の公演終了後は、11時間後以降に次の練習をすることができる。(例: 23時に終演したとすると、翌朝は10時以降から練習可能)

・1週間のうち、1.5日の休日が与えられる。


[特別手当て]

・オペラ作品が、ドイツ語・イタリア語・フランス語以外の場合、合唱団員は手当を与えられる。合唱団員がソロの役を歌歌う場合、手当が与えられる。


皆さん、この労働環境についてどんな印象を持たれますか?!私にとっては、もう、楽園です。このルールのもとでなら、声や体をすり減らすことなく何十年も歌い続けられる、仕事を続けられる気がします。ありがたやありがたや。


そりゃあ皆んな、就職するために何年も努力を続けるわけや(^◇^;)…。


とある知り合いの合唱団員さんが以前、「ドイツは、雇用者よりも被雇用者の方が強いんやで。」と言っていた意味も納得できます。


もちろん、ルールを守ってる限りは被雇用者の権利が保障されている、と理解することもできると思います。オーストリアからドイツへ来て複数の場面で思いましたが、ルールが細かい!そんなことまで?!ってことまでチクチクと書かれています。それはもしかしたら、「このルールの中ではあなたの権利はしっかりと保障しますし、必要なことも対応しますが、ルールを破ると逆に、こちら側が権利や力を持ちますからそのつもりで、よ、ろ、し、く、お、ね、が、い、し、ま、す、ね?ね?」と言われてるような気もします。例外や情はほとんど通用しないし。。


郷に入っては郷に従え、だけども。


ま、何はともあれ、知って得したことばかり。

夏休み目指して、毎日の仕事を頑張りまーす!!