Weather Report -2ページ目

優しい人

「読んでみて、きっと面白いと思う。」
困ったような顔で古びた文庫を差し出す。
「こっちは走りたくなる。」

初めて家に行ったとき、帰りぎわ彼は私に2冊の本を手渡した。
『ものぐさ精神分析』
『遅れてきたランナー』

彼の心がもうどうしようもないくらいに壊れてしまっていて、それが周りの人すべてを完璧に欺くまでに完成された演技だとしても、いつまでも騙していて欲しかった。
どうしてそれが私だったのか、今ならよくわかるし、そこに意味だの救いだのがあったのかなんて今更考えたくもないけど。強くはなったよ。隠された悪意を注意深く拒むこと、そうだよね?

399ページ(その数字は私と彼にとってある共通の)に頼りなさげに引かれた赤い線。

『未来とは修正されるであろう過去である。』

優しい人、人に憂うと書いて優しいと読むんだね。たくさんたくさん泣いた人。優しい人は強い人。力ではなく優しさで勝るんだよね。

私を傷つけた優しい人。もう二度と会うこともない。話すこともない。ただただ御幸せを祈る。君が嫌いだと言っていた素敵な朝がきますように。暗い夜が消えますように。

元気ですか。元気です。

技術の長谷川先生

中学の昼休みの時間、先生たちが自分の好きな曲を一曲校内放送でかける企画があった。

技術科の長谷川先生は背が高くて顔立ちが少しよいけど、ホントそれだけで、いつも暗く地味で不機嫌でボソボソしゃべる。だから特に女子には人気がなかった。
授業中はなぜか白衣を着てて、家賃5000円の教員住宅に住んでいて、冷蔵庫がない。
電動糸ノコの刃を力み過ぎて曲げるとすっごいヤな顔して替え刃をしぶるので、私も嫌いだった。

そんな先生がある昼休みに選んだ一曲は
井上陽水『氷の世界』

窓のそとではリンゴ売り
声を枯らしてリンゴ売り

フォークなんて、井上陽水なんて聴いたことない私たちはみんななんだこりゃって大笑いして、さすが長谷川先生だって馬鹿にした。もちろん私も。
やっぱり暗いよねー長谷川。だせーな長谷川。男子も女子も、担任の先生までも、昼休みは異常に盛り上がって終わった。

人を傷つけたいな
誰か傷つけたいな

ホントはね、すっげぇかっこいい、なんだこりゃ!って鳥肌が立ってた。誰にも言えなかったけど。だってこの気持ち、なんて表現すりゃいいの???
人生初フォークは校内放送にてノックアウト。9回の裏ツーアウト、逆転アウト、ツーアウト。

長谷川先生は2コ上の兄ちゃんのクラスの担任だった。「あいつ、悪い奴じゃないよ。結構面白いし。」って兄ちゃんは言ってた。
今なら長谷川先生と少しだけ仲良くなれそうな気がする。

吹雪 吹雪 氷の世界

晴れ

風が冷たい。
風邪流行る。友人みなバタバタと欠勤中。どうかお大事にね。

最近90年代の邦楽をよくきく。久々にきいたユニコーンがイイ!
民男の歌詞がグッとくる年ごろになったもんです。学生の頃はわからなかったもんなー。

この頃の音楽と共に学生時代を送れたのは幸せなことでした。いい経験をたくさんさせてもらった気がします。

また文章を書くことをはじめようと思いました。
これからもたくさんの音楽と最高の仲間たちと愛と笑いの夜を。
こんにちは。よろしくね。