ハヤカワSFコンテストに受賞された作品という事で手にした作品。
読み終えましたので、感想を残しておきたいと思います。

物語の核となる3名の視点が、入れ代わり立ち代わりしながら展開される物語。

そしてこちらの作品はSFコンテスト受賞作だけあって、しっかりとSFというものを受け取ることができる作品となっておりました。

舞台となるのは私にもとても分かりやすい「地球」。
ただし、今を基準にした場合にはそんなには遠くはないとは思いますが、近くもないと私は思いたい距離感の未来。

なんとなく今の我々の行動を続けていたら、と繋がっていそうな未来(私が想像できそうな未来)と、作者さんの「その発想は何?」(私が想像できない未来)といった未来の融合とでもいいましょうか。

ありそうでなさそうな、なさそうでありそうな、ありそうだけどその発想は何?といった感じで、ドキドキしながら楽しめて読むことができました。

そんなこちらの作品は、宇宙物の作品といいましょうか、宇宙を舞台にした作品が大好きな私からすると違和感のない、むしろドキドキするような始まり方をします。

そしてそれをどのように受けたのかがよく分からないで進んでいく本編。

登場人物の視野が広がるたびに、私の視野も広がる感じはさすがコンテスト作品だなと。

私が表紙の絵で描かれているものが、作中のあの事を言っているのだと気づいたのは結構読み進めた後でした。

さらにいうと、最後まで読み終えてもよく分からない、私が理解できない事は結構ありました。

これって私としては、SF作品ではとても大事なことだと思ってます。

べつにSFと制限しなくてもいいのかもしれません。

作者さんの空想というか発想を、読み手のレベルに落とす必要は全くないと思いますし、作者が思い描いているものとは違っているかもしれませんが、読み手が想像して読めばいい話だと感じます。

おそらくそうはいっても、なんだかんだとレベルは落としてくれてはいるのでしょうが、それでも全然追いつかないという状態も嬉しい状態。

そんな私が追いつかない素晴らしい発想を頂けたこちらの作品で、特に良いなと感じたところが、

1.火星移住に関して、火星の大気に対するプロセス
→私はどうも地球以外の惑星に対して、「大気」というものを想像することができずにいたのですが、この作品では私の中の火星に「大気」というものを作り出してくれました。

2.「タナカ」というカタカナ表記
→タナカと聞くとどうしても漢字を想像してしまいますが、この和名とカタカナで表記したときに生じるこの雰囲気は良いなと。

3.過行く時間
→私は特に作品ないで時の流れを感じる作品が好きなので、その点こちらの作品は大満足な作品でした。


といったこちらの作品。
私は読むことができて良かったです。



以上です。