インザプール、空中ブランコと多くのファンを獲得してきたと
思われる伊良部先生シリーズの第三弾!
もう、ずっと前に発売されていたはずですが、
やっと今頃よみました。期待を裏切らずますます面白いです。
特に、今回は短編のすべてが有名人を揶揄しており、
あからさまに誰をさしているのかわかりました。
登場人物と察することができたのは、
黒木瞳、ホリエモン、渡辺恒雄です。それぞれからクレームが
きていないのだろうかというくらい、見事に描かれております。
特に、黒木瞳をモチーフにした短編は、(主人公をもちろん
黒木じゃない名前にしていたが忘れた。)主人公が、
太らないようにするために追い詰められ、
あたりかまわず運動しだすというおかしな精神状態になり
それを伊良部が治療するという内容。
巨乳の看護師のまゆみが、黒木に「自然体って
恥ずかしくない?!」なんていうところは絶妙。
なにもしていないのに若い、という売りの裏にある
黒木の果てしない努力と意地が物語では
描かれていて、何か意地悪な目で読んでしまう読者としては
痛快。。。そこに伊良部が「ふとっちゃえばいいじゃん。
人間は未知の物に恐怖を覚えるもの。一度太ってみると
太ることへの恐怖はなくなる。」と説く。
精神科医にして、デブでマザコン。子どもレベルの
精神とされる伊良部もやはり医者なので、たまに的を得たことを
吐いて、患者を我に返しているところがまたこの物語のおもしろさ。
また、ナベツネさんの回は、マスコミが
都合のいい部分だけをカットして、まるで自分が悪者のように
報道し、それに同調する形で世論が形成されることに対して
老人なりに苦悩する姿が描かれている。
実際、報道の様子を見るとナベツネの印象はかなり悪い。
だけど、ナベツネも一人の人間で、気苦労、悩みもたえないのでは
思わず共感してしまった。
伊良部の治療は、まゆみにまずはブドウ糖の注射を患者に
打たせ、それをみて興奮するというところからはじまる独特なもので
精神科医としても変態極まりないが、天真爛漫な
伊良部の振る舞いに患者は翻弄されながらも
一つ一つの問題を解決していく。
笑わずには読まれない作品で、読んでるうちに知らずと
読者も伊良部に癒されていく。。。
- 町長選挙/奥田 英朗
- ¥1,300
- Amazon.co.jp