地震は、熱帯魚や金魚を飼育しているアクアリストにとって常に心配の種です。地震がくると水槽から水が溢れたり割れるなどして漏水しますし、電気や水道も止まってしまうとアクアリウムには致命的な打撃となります。
今回は、可能な限り水槽の地震被害を減らすために出来る、水槽の地震対策を紹介します。
水槽の地震対策
水槽の地震対策には様々な種類があるので、詳しく紹介していきます。
水位を低くする
水槽の水位を低くすると地震で少し水が波打っても、水槽の端から溢れ出しません。水を満タンに入れるか、水槽の縁まで10cm余裕を開けるかでも水が漏れる量が変わってきますよ。
上部式フィルターや外部式フィルターなど、フィルターによっては下げられる最低水位が決まっているので、あまり水位を引くできないかもしれません。
外部式フィルターや内部式フィルター・投げ込み式フィルターなら水位を選ばずに使えます。
水槽台を低くする
水槽台の高さを低くいものに変えるのも有効な地震対策です。水槽を台に乗せると、水槽台より水槽の方が遥かに重いため、重心は水槽寄りになっています。重心が高いと転倒する可能性が高いため、高さが高い水槽台ほど危険性が高くなります。
2段式の水槽台で下にも水槽を設置し、上の水槽のみずを少なめに設定すれば、転倒対策にはなるでしょう。
水槽台も地震で歪むので、高い所にある水槽ほど揺れて水が溢れやすいですし、高い場所から漏れた水は遠くに飛び散りやすいですね。
蓋に重しを乗せる
蓋にみずを入れた四角いペットボトルを乗せるだけでも水はね防止になります。ガラス蓋はLEDライトが乗っている程度では、簡単に跳ね上げらてしまうので、見栄えは悪くなりますが重りになる物を乗せておくと安心ですね。
水槽に硬い物を入れない
レイアウトの石や、魚の隠れ家に使われる陶器の植木鉢などは、地震の揺れで倒れたり、動いて水槽を割る事があります。心配なら水槽には硬い物は入れず、樹脂で作られた石風のオブジェやシェルターを活用するのが良いでしょう。
大きなミドリガメなど水槽で飼育している亀がぶつかっても割れる事もありますよ。
プラスチック水槽やアクリル水槽なら、素材の厚み次第ですが、ガラス水槽よりは割れにくいと言えるでしょう。
割れたガラスは漏水した水と一緒に床に広がるため非常に危険です。水槽が割れたら周りを素足で歩かないように注意してください。スリッパやサンダルを常備しておくと怪我の防止に役立ちます。
価格は高価になりますが、60cm水槽以上の水槽なら、アクリル水槽への変更検討もしてみて下さい。アクリル水槽にはフランジがあるなど、割れにくい以外にもメリットがありますよ。
アクリル水槽を選ぶ
アクリル水槽には水槽の内側にフランジと呼ばれる補強材が入っており、これは蓋受けの他に、水漏れ・溢れるのを防止するのにも役立ちます。
アクリル水槽自体もガラス水槽より歪みに強く、物がぶつかっても割れにくい特徴があるので、地震に対する耐性も高いですね。
価格がガラス水槽の倍以上になるのがデメリットですが、何度も買い換える物でもないので、アクリル水槽の導入も検討してみてください。
フランジを付ける
オールガラス水槽にはフランジと呼ばれる蓋を載せる縁がありません。このため、オールガラス水槽は地震の揺れで水が溢れ出しやすいデメリットがあります。
オールガラス水槽であれば、GEXから販売されている「アクアフランジ」と呼ばれるアイテムを取り付ければ、水漏れを大幅に減らせますよ。
2021/10/7日に発生した地震でも、コードを出す蓋の隙間さか少し水が出た程度でした。
フランジはアクリル板を切るなど自分で加工できれば、オールガラス水槽・フレーム付き水槽に付け足す事も可能です。バスコークなどシリコン系接着剤で接着するので、魚を出すか先に加工しないと、水槽を設置してからでは加工が難しいのが難点でしょうか。
水槽台を壁に固定する
家具の転倒防止金具・ワイヤーを使用して、水槽台を壁の中にある木材に固定すると、転倒や移動を防止できる可能性があります。多少なり転倒までの時間稼ぎができれば、安全な場所に逃げられるかもしれませんからね。
水槽が転倒したら大惨事になるとは当然ですが、重量物である水槽機材が動くと人や物にぶつかる危険性もあります。
ちなみに、水槽が倒れそうだからと言って、絶対に水槽を手で押さえたりしてはいけません。急に割れたり、揺れが強くなり、台が持ち上がって足の指を挟まれる可能性があります。
壁内部の状態にもよりますが、水槽台の固定も検討してください。完全固定ではなく、揺れを吸収するために多少揺れて動く余裕は必要なので、ワイヤーやチェーンを使うタイプをおすすめします。
発電機・蓄電池
停電で電気がこないと濾過やヒーターも機能しなくなるため、熱帯魚飼育では停電で致命的なダメージを受けることになります。
最低限、フィルターやエアーポンプは動かしてあげないと、魚は死んでしまうので、ポータブルバッテリーのような家庭用蓄電池を利用して、電源を供給しましょう。
ヒーターまで使うとなると、かなりの容量が必要になるので、小型のエンジン発電機が必要になります。発電機も安い物なら3〜4万円で購入できるので、高価な熱帯魚を飼育しているなら、魚と比べれば安い出費と言えるでしょう。
避難容器の準備
地震による転倒や物の衝突など、様々な原因で水槽が割れてしまう事もあるので、魚を避難させる入れ物を準備しておきましょう。小型魚ならバケツやタライで良いですし、大型魚は衣装ケースや浴槽も活用できます。
あくまで避難場所なので、水は最低限の量で構いません。特に、衣装ケースは半分以上水を入れると割れる可能性がありますよ。
避難容器にフィルターを移動させて稼働させるか、最低限エアレーションを行いましょう。
水の確保
水は魚を生かしておくのに必要ですが、余震の心配があるので、水槽から水が漏れても直ぐに継ぎ足してはいけません。水位を減らしたまま、余震が収まるまで乗り切りましょう。
最低限、水槽の三分の一くらいは必要なので、水槽用の備蓄水を必要量を計算して用意しておく必要があります。中性か軟水の水質のペットボトルの水で構いません。
ポリタンクに水道水を汲み置きするなら、腐る可能性があるので、定期的に入れ替えて綺麗な水を用意しておきましょう。
水槽の水位が低い状態で魚を生かすには、下記で紹介する投げ込み式フィルター・水中式フィルターが役立ちます。
水中フィルターが活躍
水中フィルターは水槽に投入して使うフィルターのことで、投げ込み式フィルターとも呼ばれます。エアーポンプで動くフィルターはブクブクとも呼ばれますが、投げ込み式フィルターは水槽の水位が低くても稼働できるので、水が減って上部式や外掛フィルターが使えない状況でも、最低限の水位があれば問題なく使用できます。底面フィルターは水位が低いと使えない可能性があります。エアーポンプで稼働できるので電力が少なくて済みますし、濾過と合わせて酸素も供給できるのも大きなメリットですね。
日頃からサブフィルターとして常に水槽に投入して、バクテリアを繁殖させておくのが良いでしょう。
音が静かなエアーポンプなら水作の「水心」がおすすめ。沢山の水槽にエアーを供給するなら三又のコック付きジョイントとエアーチューブが必要。エアーチューブは、水槽1本につき1.5mくらいの長さを基準に用意すると良いでしょう。
高層階に住まない
水槽のために住む場所を選ぶのは大変ですが、アパートの2階、マンションの高層階だと明らかに地震の揺れ幅が大きくなるため、地震による水槽への被害も増大します。
魚好きで水槽を沢山設置したいなら、出来るだけ地面に近い場所に住む事も考えた方が良いでしょう。
保険に加入する
どんなに対応しても水漏れや漏水は防げない事もあるので、水槽の水漏れ保証が付いた、地震保険・火災保険・自賠責保険を探して加入するのも良いでしょう。
漏水なら既に加入している保険に付いている可能性はありますが、水槽の水漏れに対応しているかは確認した方が良いですよ。
水槽から水漏れすると、賃貸で2階以上に住んでいると、下の階の人の家財や、建物自体へのダメージ、壁紙の張り替え・カビの除去などの修繕費用として、数百万円の損害が発生する可能性があります。
まとめ
可能な限り、水槽・飼育設備に以下の対策を施して地震に備えましょう。
●水位を減らす
●水槽に硬いものを入れない
●水槽にフランジを付ける
●投げ込み式フィルターを付ける・用意する
●発電機・バッテリーを用意する
●水を余分に確保しておく
●魚を避難させる容器を用意する
●高層階に住まない
●保険に加入する
地震の被害から助かる魚が増えれば幸いです。
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