ポリプテルス・オルナティピンニスは上顎が飛び出るポリプテルスの最大種で、黒と黄色のまだら模様が特徴的な大型のポリプテルスです。大きすぎず、性格も温和で混泳もできるので、初心者でも飼育やすい大型熱帯魚です。オルナティピンニスは非常に丈夫な魚なので、古代魚飼育の入門種としてもおすすめの魚です。
今回はポリプテルス・オルナティピンニスの特徴や性格、飼い方を紹介します。
オルナティピンニスの特徴
学名:Polypterus ornatipinnis
分布:アフリカ、コンゴ川、タンガニイカ湖
全長:60cm
寿命:10〜15年
水槽:120×45×45cm以上が理想的
水温:24〜28℃
水質:PH6.0〜7.5
性格:温和
混泳:可能
ポリプテルス・オルナティピンニスは、アフリカのコンゴ川やタンガニイカ湖に生息する、ポリプテルスと言う古代魚の一種です。オルナティピンニスは上顎が飛び出るタイプのポリプテルスの中では最大種で、自然下での最大体長は60cmですが、水槽内での飼育では50cm弱でほぼ成長が止まります。
体色は黄色と黒のまだら模様で、個体によっては尾鰭が美しい縞模様になります。模様の濃さや細かさは個体差がありますが、あまり差が大きくないのと、幼魚から生魚の模様や色合いを判別するのは、エンドリケリーのようなバンド柄を持つポリプテルスより難しいですね。基本的に似たような柄になるので、あまりコレクション性は高くありません。
大きさはエンドリケリーに近いですが、下顎が出ない丸っこい顔付きなので可愛らしい印象をうけますし、体付きもエンドリケリーよりスレンダーで華奢な感じがします。
性格も温和で口に入らなければ、同種・ポリプテルス属やシクリッド、アロワナなど様々な魚と混泳が可能です。
ポリプテルス・オルナティピンニスの寿命は10年〜15年で、10〜12年生きれば長生きしたと言えるでしょう。90cm以上の大型水槽が必要ですし、長生きする魚なので、飽きずに飼育し続けることができるか、よく検討してから購入したいですね。
水槽
ポリプテルス・オルナティピンニスは飼育下でも全長50cm程度まで成長するため、最低でも横幅90×奥行き45×高さ45cmサイズの水槽、いわゆる90cmレギュラー水槽が必要です。
出来ればオルナティピンニスの全長より水槽幅が広い、120×45×45cm水槽や120×奥行き60×45cmが用意出来るのが利用的です。90cm水槽では、底物はオルナティピンニス1匹でギリギリなので、混泳させるなら120cm以上の水槽が必要ですね。
とは言え、木造住宅や軽量鉄骨のアパートに設置できる水槽サイズは90cm水槽が安全ラインで、120cm水槽になると木造住宅では床の補強が必要になる可能性があります。
フィルター
大型魚なのでフィルターは濾過能力の高い上部式フィルターがおすすめです。複数の魚と混泳させるなら、外部式フィルターや内部式フィルターを併用して濾過能力を強化しましょう。
120×60×45cm以上の水槽なら設備投資は高く付きますが、濾過能力の高いオーバーフロー濾過も検討して下さい。
フィッシュレット
エアーの力を利用してゴミを吸引して集めるフィッシュレットを追加すると、フィルターに吸い込まれるゴミの量を減らせるので、濾過フィルターの負担を減らせますよ。フィッシュレットの使用にはエアーポンプが必要です。
混泳
オルナティピンニスは性格も温和なので、明らかに口に入らない大きさの魚となら混泳が可能です。オルナティピンニスは底層に居るので、中層と表層を泳ぐアロワナやダトニオ、コロソマ、カラープロキロダス、スネークヘッドとの相性は良いですね。プレコと混泳している人も結構いますが、プレコに体表を齧られる可能性があるので注意が必要です。稀にカラープロキロダスも齧る事があります。
底面のスペースに余裕があるなら、同種同士やエンドリケリー、ビキールビキールなどのポリプテルス属との混泳も可能。我が家の場合は体長がオルナティピンニスの半分しかないポリプテルス・セネガルスとも混泳できていましたね。
オルナティピンニスは基本的に底層に居るので、中層と表層のスペースを効率よく使うと、色々な魚と混泳させることが出来ますよ。
稀に食べられると誤解するのか、ナマズのヒゲや、ヒレの長い魚のヒレに食いついてしまう事があります。
気が強いシクリッドやナマズとの混泳は注意が必要です。できるだけ性格が温和な魚と混泳させたいところです。
水質
オルナティピンニスの飼育に適した水質は、水温24〜28℃で、PH(ペーパー)6.0〜7.0の弱酸性から中性の水質を好みます。
硝酸塩が溜まりすぎていたり、PHが5.5以下になると目や体表が白く濁ったり、粘液を分泌するので、PHが下がりすぎないように、定期的な水換えを行なって良好な水質を維持しましょう。
毎週3分の1から半分の量を水換えしていれば、簡単には体調不良を起こしたりはしない魚ですよ。
餌
生き餌はウオジラミやイカリムシと言った寄生虫・病気を持ち込む可能性があるため、出来るだけ大型個体に育てたい場合を除いて与える必要はありません。
人工飼料だけで十分栄養バランスが取れた給餌が可能です。
おすすめの人工飼料は食い付きの良い「ひかりキャット」です。沢山魚を飼育しているなら「おとひめ」もコスパに優れた餌ですよ。
早く大きく育てたいなら、生き餌のメダカや金魚を切らさず水槽に泳がせておくとよい。生き餌を与える場合でも人工飼料もバランス良く与えましょう。
生き餌が可哀想と言う場合は、牛ハツを口に入る大きさに切って与えよう。もちろん生き餌や人工飼料と合わせて与えるのも良い。
一応、覚えると水面に浮いているクリルや浮上性の人工飼料も食べるようになります。クリルを与えすぎると背骨が変形する「背曲がり」が発生する可能があります。
病気
オルナティピンニスは非常に丈夫な強健種のため、病気にかかることはほとんどありません。オルナティピンニスが体長不良を来す原因は、大抵PHの下がりすぎや、硝酸塩の蓄積と言った、水質の悪化が起因する場合がほとんどです。しっかり十分な水換えしていればまず病気にはなりません。
幼魚期の注意点として、水槽導入初期に沢山餌を与えすぎると糞詰まりを起こす可能があるので、環境に慣れるまでは食べさせ過ぎないように注意しましょう。
幼魚は体に白い斑点が現れる白点病になることもありますが、水温を上げるか食塩を少量加えるだけで完治します。
病気ではありませんが、ウオジラミやイカリムシと言った寄生虫が体表に付着する事があります。半透明で平たい形状のウオジラミは、食塩や岩塩と言った塩分を飼育水に加えると除去できますが、細長いイカリムシはピンセットで除去しないと、なかなか取り除くことができません。
繁殖
オルナティピンニスは120×60×45cm以上の広い水槽を用意し、オスとメスのペアを揃えれば水槽内での繁殖も可能です。
長寿な大型魚だけあって、オルナティピンニスが繁殖可能になるには4〜5年はかかります。40〜50cm程度の個体で繁殖例があります。
オスとメスの見分け方
オルナティピンニスの雄は尻ビレの幅が広いのでメスとの判別が可能。とは言え、幼魚期では判別が難しく、20〜30cmくらいまで成長してから見分けた方が間違い無いでしょう。
繁殖行動
オルナティピンニスの雄雌が成熟しペアが形成されると、メスのお腹が膨らんできます。メスが産卵可能になり産卵が近づくと、オスはメスを追いかけ回すようになり、尾でメスのお尻付近を叩くような動作をし産卵を促します。
産卵する際はオスが尻ビレをお椀型に拡げて卵を受け止め、同時に放精して受精させてからばら撒きます。
親魚は卵を食べるので、卵は別な育成容器に移して管理しましょう。個体差はありますが1000〜3000個は産むので、管理体制
孵化した稚魚の全長は2mmほどで、お腹にはヨークサックと呼ばれる栄養分が詰まった袋が付いていおり、孵化してから2〜3日は餌を食べません。ヨークサックが吸収されると、ブラインシュリンプを食べるようになります。全長が2cmまで成長するとイトミミズも食べられるようになり、3cmからアカムシも食べますし、砕いた人工飼料も食べるようになりますよ。
【まとめ】
ポリプテルス・オルナティピンニスは大きく育つ以外は非常に飼育しやすく、協調性も高いので、大型魚・古代魚・ポリプテルスの入門種にもおすすめですよ。