sweet people- ニンゲン麻辣香鍋

その1
何軒かの同じお店に順番にいって食事を済ませている私だけど、今日は新たな開拓をしようと、麻辣香鍋をお持ち帰りしてみた。ちょっといつもと違う行動をすると、ルールがわからなくなってしまう。

カネの洗面器のような器に好きな具材を入れて、はいと渡すと計りではかってくれて料金を言われると理解した私。気になる具材をどんどん「桶」に放り込んで、「はいよ」と渡した時の、お店のお兄ちゃんの困惑顔ったらなかった。

そして、何か発言した後に、私が外国人だと分かって更に困惑顔。
そんな妙な顔しなくたっていいじゃないの。


中からもひとりお兄ちゃんがでてきて、ふたりで顔を見合わせて、あきらめ顔をして覚悟をきめたみたいな顔をして、桶の中の具材を分け始めた。ー「分解了」と言って。


どうやら違う料金のものを全部いっしょに桶の中にいれちゃったのがまずかったらしいが、訳がまったくわかっていない私に何をいっても仕方がないと、ふたりでしゅくしゅくとごちゃまぜになった具材をトングでもってマニュアル分別(笑)。
ごめんよーと、燃えるゴミに空き缶を捨てちまったような気まずさよ。

でも嫌な顔ひとつせず、分別して2回計って明朗会計して、具材は厨房へ。
はい、できたよ~って、笑顔できもちよく夜ご飯を渡してくれた。ありがとー!
やり方理解できたからこんどから大丈夫♪って言ったら、めっちゃ(こっちが)溶けちゃうような笑顔をくれた。私はこういう時にひどく思うね。私は普通の人たちが好きだって。

その2
あるお掃除の子。ホテルの部屋をお掃除してくれるんだけど、面倒見がいいったらあらしない。チップを遠慮しようとするところもとてもチャーミング。
私が他のことにかまけてて、今日は掃除しなくていいっていっても、じゃあ、洗濯物はどうするんだ?と厳しく切り盛りしてくれる。私の滞在日程もしっかり頭に刻んでいてくれる。この子はしっかり者なのか、私=中国語わかんない、彼女=英語わからない、でも、自分の言わんとすることを私に伝えなければならないと思った日には、こっちが理解するまであの手この手で中国語での発言をやめない。私のようなへたれには、ありがたい。旧正月で帰省する前にもちゃーんと私にいつからいなくなっていつ戻ってくるかしらせて行ってくれる。あんまりいろんなことがわかってなさそうな私の面倒をみようとする気持ちが伝わってくる(笑)から私もつい甘える。


その3
とある中国系銀行のお客さんの交通整理をしているような受付係(?)の女の子。
始めてその支店を訪れた時に、非常に親切で、よくできたヒトだと思った。そのときに自分の携帯の番号を教えてくれて、困ったことが起きたらすぐに電話して来ていいからねと言ってくれた。その数週間後、本当に銀行絡みで困ったことが起きたので、彼女に電話をして助けてもらおうと本気で思った。が、日曜日だったので遠慮して、またその支店に出向いて行った。彼女は日曜日も働いていて、なんで困ったことがあったら電話していいっていったのに電話して来なかったのかとつぶらな瞳できいてくる。訳あって既存の銀行口座からはお金がうまいことおろせなくなっていたのを知り私が文無しなのかもしれないと心配した彼女は、私に少しお金を貸してくれるという。お金は既存の口座から新規の口座に移してもらい問題なくお金もおろせたんだけど、私のような汚い大人は、そんなにつぶらな瞳でお金を貸してやると言われるとどうしていいのかわからなくなるのだよ。


その4
地下鉄のカード(PASMOみたいなもん)を購入しようと駅の窓口へ。ココじゃ売ってないという。別の駅で購入しれと言われて、別の駅で購入しようとするも、またしても売っていないと言われる。おなじことをいろんなところでなんども繰り返し、いったい地下鉄のカードは地下鉄駅で買えずしてどこで買えるんじゃいと、超苦労。キヨスクでなら買えるというからいってみればないと言い、セブンイレブンにいけだの、いろーんなことをいろんな人が言うけどどこにいってもうまいことゲットできない。おまわりさんにも訊いたけどわからない(笑)。そりゃあそうでしょうよ、地下鉄で働くおじさんがわからないんだから。
だめもとで、ファミマにいってきいてみる。メトロカードどこで買えるか知っとるけ?
奥からでてきた英語のわかる女の子、駅で売ってないといわれたのなら見つけるのが難しいかもといった後に、自分のもっている予備のカードを私にゆずってくれた。使ってないのがあるからこれを使ってくれていいと。


普通の人に助けてもらっているなーってとても思う。
地下鉄のカードでお困りの私を地下鉄で働く人達は助けられずに、普通にファミマでバイトしている学生さん(のようなヒト)が助けてくれた。
銀行で窓口業務をしているお嬢さんは、20も、パスポートも、100も1000も、一言たりとも英語を使っちゃくれなかった。実際の仕事とは関係ないのに、受付嬢みたいな女の子が、インターネットバンキングシステムを使って助けてくれた。ましてやお金までなんなら貸してやると(笑)


直接関係のある人は意外と無関心で、まったく関係ないような人に助けられるってパタン。
こういう現象って街の中だけに限らず、いろんな職場でもお役所でも結構ありがちなことなのかもしれない。

ほんとは自分の仕事だったり責任じゃないのに人のためにやってくれちゃえる人、こういう人が職場でも認められて、より大きな仕事をするチャンスをもらえるような組織や社会になるといいよね。
こういう人達が社会を支えている。

みんなが支える側の人になったら世の中はぐっと暮らしやすくなる。