R.I.P. - お別れ

小さい頃は毎日がもっともっと長かったはずなのに、私も「時の経つのは早いねぇ」と痛感する中年になった。自分は特別な存在だと思っていた頃は今や昔。時間というのは、気持ちよいほど万人に公平だなぁ。

1995年に始めて渡英してから、かれこれ20年。
渡英した年からの姉御的友達の旦那さんが亡くなったという知らせを受けた。知らせを受けて、その訃報自体の前に、気がついたら、友達と最後に連絡をとったのがいつだったのか覚えてないほどご無沙汰したまま月日が経っていることに気づいて驚いた。

イギリス女性とニューヨーカーの年の離れたカップルで、いくつになってもおてんばムスメみたいな好奇心と、いたずら好きっぽい目の輝き用がお茶目な友達の描くボタニカル・アートが素敵で、キュー・ガーデンに彼女と一緒に行った時も、記憶にあるのは珍しい植物じゃなくて、彼女のキラキラ輝くいたずらっ子の目と、植物に対するおおらかな愛情だ。

バックパックで長旅をおえて、子汚い恰好で家に寄っても、ベッドと朝ご飯をいつでも提供してくれた。旦那さんは、彼女と私を何時間でもやさしく「ほっておいて」くれた。

彼女は私が結婚をした時も、夫を亡くした時も、そばにいていつまでも話しをしていていてくれたっていうのに、私はどうしてもロンドンまで飛んで行ってあげることができなくて、本当にかたじけないと思った。

友達に何かかなしいことが起きた時に、そばにいられないってほど非力を感じる時ってないね。
こんなときにゃ、やっぱり世界は広くて、地球はでかいって思うね。

今は亡き彼女の旦那さんの遺作
"When you're all tied up with things to do
And don't like what you're going through,
Think a while of ties that bind;
Never mind what sort or kind
Of knot or loop or twist they use
As long as they hold fast.
To choose the tightest grip may not be wise;
Sometimes something specially prized,
If loosely held, stays closer longer
And as it lasts keeps growing stronger."

お葬式が済んで一段落した頃、彼女から届いたメッセージの中に、こんな一節があった。

I thought often about the amazing send-off you gave John and what a wonderful celebration of his life that was. You were incredible.

彼女がかなしい気持ちと疲労を引きずって葬儀の準備なんかをしている時に、サルサプレゼンツの葬儀のことを何度も思い返してくれたって言ってもらって、ちょっとだけ、つらい時にそばにいられたような気持ちになった。

時間が出来たら、昔みたいにおしゃべりをしにまた彼女の家に泊めてもらいに行こう。


Bless her..