BBC outlook - メンタリティあれこれ

BBCのoutlook(podcastで登録もできます)で、取り上げられたのは、2008年3月に起きた事件について。

英国南部で、パン屋さんを営んでいた夫婦が定年後、11年もの間、ヨットで暮らし、世界中をヨットで旅をしていた。ところが、英国いる息子さんの結婚式に出席するため、帰郷する予定の1日前に、人気のないThai沖で、3人の若いミャンマー人に襲われ、旦那さんのマルコムさんは悲惨にも殺されてしまった。命からがら逃げることができた奥さんのリンディさんが、BBCのインタビューを受けて、事件のいきさつなどを語っている。

良かったら聴いてみてください。

Murder at Sea

http://www.bbc.co.uk/worldservice/programmes/2009/03/000000_outlook.shtml

リンディさんの生の声を聞いていると、ああイギリス人だなって思う。日本人とはやはり、メンタリティが違うのだろう。それはやはり、キリスト教の精神が血肉化しているからなのか。。。

営んでいたパン屋さんをたたんでから、ヨットの操縦資格をとって、11年間、海の上で暮らしていたお二人。旦那さんはとっても凄惨に殺されてしまい、リンディさん自身も、死の恐怖を味わった。
裸で縛られ、暴力をふるわれた。

でも、リンディさんが九死に一生を得てから、間もなくして、3人の若者は捕まった。
うち2人は21歳でひとりは17歳の未成年だったという。
この罪に対して、死刑判決が下されなかった。
21歳の少年たちには25年、未成年の青年には7年の判決が下された。

ここで、リンディさんは、その判決について満足しているのかどうかを質問されてるんだけど、
満足してるっていうわけです。

今は亡き夫のマルコムも満足してると思うし、私も満足してるって。
2人の(成年に達した)青年を死刑にしたってマルコムは戻らないしと冷静に語っている。

また、またセイリングにでかけるか? 他の人たちに、ヨットで暮らして、ヨットで世界中を旅して回るような、リンディさんたちがしてきたようなことを、此の後に及んでも、人にすすめるかどうかっていう質問に対しても、

全然、もう2度とごめんです的な、「もうこりごり」発言は皆無だ。
自分がこのインタビューで話すことが他の人達がセイリングにでることを、やめてしまう原因になってしまいたくないと強く話しておられる。悲しいことが起きたけれど、自分たちは間違いなく、本当に素晴らしい11年を過ごしたって。

もしかしたら、

毎日を後悔のないように生きているから、万が一、何か悲劇が起こってしまったとしても、後悔が少ないのかもしれない。

もしかしたら起きちゃうかもしれない良からぬ事を、万が一といって恐れて、「やめとく」メンタリティとは違う。

豚インフルエンザの時も、SARSの時も、9月11日の時も、
万が一の事を恐れて『やめとく』という発想にいたったヒトを、イギリス人の知人友人の中では知らない。


また、あんな風に、事件のいきさつをきちんと冷静に話せることにも敬意を払いたい。
どんな風に、彼等に、旦那さんの安否を尋ねたか、自分がどんな風に縛られていたかなんかをきちんと冷静に話せる勇気がすごい。涙ながらに犯人の青年達の死刑を呼びかけてもいないから余計にクールだ。


リンディさんの話し振りを聴いていて、とってもイギリス人らしいなって思った。



最近、我々日本人の持つ、意識のようなものに、改めて気づかされることが多い。



マルコムさんのご冥福をお祈りします。