talking 'bout English - 英語について語るということ

去る12月14日にThe Japan Timesの本社のホールで開催された講演(?)それともセミナー(?)に行って参りました。

テーマは:

英語発信力を上げる!「英語ができない3つの壁」の攻略方法

だ。

1時間半の、聴講のあとに


教科書では教えない『日本人がよくやってしまう間違い20』ー知っておいて損はない英単語、表現集


と題しての、講座(?)があった。

参加費用は、一応合わせて4500円。

決して安い金額ではないし、月曜日の夜9時半までだ。1日仕事をされて参加された方はきっと、英語学習にかなり意欲のある方々だろう。


私が参加した理由は、
1. ご招待を承ったから。
2. 日本人が「英語」について語るという内容に興味があった。
3. どんなプレゼンをするのかというパフォーマンス的なものへの興味。
4. どんな内容で日本で英語について日本人が話すことが「ビジネス」になっているんだろうという好奇心。

などなどだったんだと思う。結構野次馬チックだって?
失礼♪

このような話しを聞いていると、実体験が走馬灯のように蘇る。どれもこれもピンとくることばかりだ。


特に日本人の英語が、文法的に正しかろうと間違っていようと、外に向かっての発信力に欠ける、なんていうのは、大きくうなづきたいところだ。政治家が外交で英語でスピーチした!なんていうことがお手柄なんじゃない。そのスピーチで訴えようとしたところがどこまで世界(相手国)に伝わったかというところが問題なのだ。

こんなに皆英語を頑張ってるのに、英会話学校がこんなにある国、あんまり世界にはないのに、アメリカに住んでるヒスパニック系の人よりもよっぽど必死に学習してるのに、発信力に乏しい。




残念だけど、これは事実だろうな~。



どれだけ「おっ?面白そうだぞ、耳を傾けてみよう/こいつの書いたものを読んでみよう」と英語圏、もしくは英語を使うガイコクジンを引きつけられる英語、ガイコクジンが最後まで聞き入ってしまう、読んでしまう発信力のあるメッセージを英語で発信できる日本人はどれだけいるだろう?




- 落ち込んでくる。



impressしようと思って、big wordsを使っても発信力がなければ届かない。



でも毒舌になっちゃうけどこの講義、ギャクにいえば、

申し訳ないけど、


nothing new
(目新しさは特に無し)



だった。結構社会人向けというよりも学生向けだったように思える。
でも、どんな方の講義を聞いても、もしかしたら同じように思うのかもしれない。
それはきっと、外国語を習得するのに、外国語での発信力をつけるのに、外国語感覚を身につけるのに、秘密のレシピなんてないからだ。





ただ、lecturerの方が折りにふれて英文を読まれたり、フレーズを言われたりしていらしたけど、とってもとっても奇麗な発音をされていた。"it is"とこの2 wordsを聞いただけでも、一般的なそんじょそこらの日本人の英語とは違うとすぐに分かる。




後半の90分は、このイベントを企画/開催した会社(企業向けの英語指導等を行っていると聞いた)の講師によるレクチャーだった。台湾系アメリカ人のうら若き”せんせい”はとってもチャーミイングで可愛かった。母国とアメリカを行ったり来たりし、高等教育はアメリカで受けたというバックグラウンド。ということで、”英語の講師”として壇上からとってもベタなアメリカンなレクチャーをされた。

なかなか流暢に英語を喋れる日本人でほぼ満席の聴衆に向かって、

「ねぇ、みんな、シャイじゃだめなのよ。さあ、みんなとアナタのカンジョウや意見をシェアして」的なことを言われて始まったこのレクチャー。

つまり、

日本人よ、だまって無表情で座ってないで、反応するのよ!

と釘をさしているわけだ。

聴衆参加型レクチャーを展開したかった彼女と、ノリの悪い聴衆。

私も彼女ととっても同じスタンスを持っていて、「そこにいる限り、反応しないのは罪」と常に考えるニンゲンだ。

なんていっていいのか分からないときはとりあえず、


「うーん、なんていっていいのかわからないわ~」
と口に出す。その空間や時間をシェアしている人たちに、自分の脳みその中で何が起きてるのか知らせてあげるのは礼儀だと私は強く信じている。無表情で黙っているから、先方が「きっとわからないのだな」、「きっと発言したくないのだな」と察して適当に待った後に次にいってくれるだろうという考えは甘えだ。もじもじしている間のその時間も皆の時間なのだ。と私は思うようにしてるんだけど。


90%はニホンゴで進行されていった彼女のレクチャーでも、彼女の問いに実際に口にだして反応したのは、たしか、3名や4名(全部で何名いたのかな。多分50名ちょっと)。これはよく海外で批判される日本人の態度だ。留学先の語学学校で、パーティで、会議で、、、日本人が何を考えてるのかわからない。分かっているのか分からないのか、満足しているのか不満足なのか、まったくガイコクジンには分からないというわけだ。


そこを彼女はずんずんついてくるようでもあった。



彼女は、面白おかしく、日本人のよくしてしまう間違いなどを、スライドショーで示して行く。
アメリカに渡ったばかりの日本人ビジネスマンと、現地のアメリカ人とのダイアローグを示し、その会話の中でおかす日本人の滑稽な間違いを指摘して行ったのだ。

ニホンゴの文化の中では全然おかしくないのに、英語圏ではとっても不可解になってしまうようなリアクションや言葉の使い回しがある。。。ことは確かだ。


皆さんがご存知の例でいうなら、

日本人は、すいませんをありがとうの意味でよく使う。

高価なものをもらってしまったら、


「すいません、こんな散財をかけてしまって。心苦しいです」
と謝るし、


空港に迎えに来てもらったら、

「お忙しいところお手数をおかけし、申し訳有りませんでした」

なんてことをごあいさつとして言う。

この恐縮感とでもいうべきか、
本当に感謝して感謝が一線を越えてしまうくらいありがたくて、キョウシュクしてしまうくらい嬉しく感謝しているというのを表現するための、「すいません」なんだろうが、これは英語ではナンセンス(どんな意味もなさない)。だからこのすいませんは、どうしてもexcuse meやI'm sorry ではなくて、thank you系の言葉に変換しないと、英語での意味が不思議ちゃんになってしまう。


その他、和製英語を英語だと信じ込んで話す日本人にきょとんとするアメリカ人、スチュワーデスが可愛い等、日本じゃただのジョークだけど、外国にいったらセクハラか?と白い目をしてあきれられるだけ発言をしちゃうとか、人種差別コードにひっかかるようなことを平気でいってアメリカ人をどきまぎさせるとか、ガイジン(foreigner)とか平気で言っちゃう日本人とか、そんなこんながダイアローグに盛り込まれていた。


(私も通訳をやらせてもらった時、日本人エンジニアの方が、場を和ませる冗談のつもり(だったと思う)で、いまいち調子の悪いディバイスをブロークンな英語で、「チャイニーズプロダクト!チープ!」といったが、このジョーク(?)に笑ったのは、言ったその本人だけだった。言われたヨーロッパ人二人は、かなり困り、酸っぱい顔をされていた。
これはジョークですらない。けどこのようなセリフがまかり通るのは、たった1つの文化習慣の中で同じ民族が、同じような価値観で暮らして行ける日本でくらいのものだろう。



ほんと、そうなのよ。
ユーモアのセンス疑われてもそうがないようなしょうもないこといって、言った本人の日本人だけ笑っていたり(周りはヒヤヒヤ)、人種や宗教、ジェンダーなんかにあまりにも無頓着だから故の発言が多かったり、、、。まずは思わずこんなユーモアのセンスもないような軽口をたたいてしまったら、「やべっ、軽口をたたいてしまった」と思える感覚をもたなくちゃいけない。日本のスチュワーデスは可愛い~な~ははは~の後にさらに悪びれず、「ア◯リカ系エアラインのスチュワーデスなんて最悪だよ、おばさんだし、太ってるし」なんていってしまった日には、日本人の民度を疑われるだろう(まして煙草を吸いながらこんなこといったら、ただの発展途上の野蛮人だ)。


何はともあれ、言われっぱなしの聴衆。誰も

hang on a minute!


といって反論もしないし、異議も申し立てない。皮肉もジョークも飛ばさない。




私も何も異議や反論は申し立てなかった。
講師のセンセイの「間違い」を皆の前で指摘するのもなんだか違うような気がして何もいわなかった。
というかその前に発言しつぎて、もうすでに「またこいつかモード」であったようにも十分思えたし。
私は多分、どっちかっていうと、発言しなくちゃーと努めるよりも、殊に日本では『静かにしてよう』と努めた方が妥当な気がしてる(笑)


でも、この講師だという、台湾系アメリカンの女性のおっしゃられたことに疑問を感じた点がいくつもあった。もちろんこれは、私の個人的な疑問であり、私の勘違いであることもあるかもしれないのだが。

<私の感じた疑問点>

<彼女の意見> Thank you for your assistance. という表現は目上の人には使わない。アシスタントなんていう言葉もあることから、assistanceという言葉を上司に向かって使うのは、失礼だということ。
<私の意見> 会社などのヒエラルキーの中でいえば、アシスタントという業務は決して高いものとはいえないが、assistance/to assistという言葉は極めてニュートラルで、言葉の意味やニュアンスに上下関係はない。

<彼女の意見>フライドポテト(fried potatoes)は和製英語で間違い。”英語で”フライドポテトと言いたければ、"french fry"(フレンチフライ)といわなくちゃいけない。
<私の意見>おいおい、イギリスじゃ、French fryなんて言う人、いないぞー。断然"chips"だい!

<彼女の意見>食べ放題スタイルの食事のことを”バイキング(viking)という日本人の英語を笑って、これは正しくは何ですか~と質問し、「正しくはブッフェ(buffet)といいます!」と断言。そして、「スモーガスボード(smorgasbord )」と応えた男性に、「スモーガスボード?ん?(彼女自身がこの言葉をしらない)英語ではbuffetっていいます」と言っていた。
<私の意見>スモーガスボードはスウェーデン語だけど、ブッフェというフランス語が英語に浸透しているように、スモーガスボードというスウェーデン語も英語に同様に浸透している。英語圏の人が、食べ放題スタイルの食事をいうとき、スモーガスボードという言葉を使ったのを私は何度も聞いた事がある。よって、この男性の発言は正しい。


<彼女の意見> (日本人の不可解な英語に多少揶揄的に自分が”エイリアン”なんて呼ばれ方をした)よって、日本人の英語は本当におかしいときがあるし、失礼なことにならないように気をつけなくちゃいけない的なことをいっておられた。というのも、居住許可だかガイコクジン登録証かなにかのためにパスポートに押されたスタンプが、ご自分をエイリアン扱いをした!
<私の意見> この移民/移住用語でいうエイリアンというのは、その国にもともと住んでいなかったけど、その国に住むように/滞在するようになった人のことをさす言葉で、日本の入国管理局の間違いではない。現に英語を話す国である英国からもらった私の在留許可のスタンプにも”エイリアン”という言葉が使われている。よって、決して日本人がおかしたまぬけな間違いではない。


とざっと覚えているだけでも結構”はてなマーク”がある。
多分彼女の”英語”は、自分のアメリカ合衆国での学生体験の中の”英語”であるのみで、考慮の中に、イギリス英語も、NZ英語も、オーストラリア英語も、南アフリカ英語も、スコットランドの英語もないんだと思う。それは、彼女の若さ、経験なんかをみればすぐにわかることなんだけど、やっぱり、講師として人前で「断言」する以上、ケアレスな発言は気をつけていただきたい。おもしろおかしく、日本人が愚かしく間違えた英語として笑い飛ばしても良いけど、それは彼女の勘違いだったりしたわけだ。言語の持つ多面性が無視された講義だったように思う。





まぁ、そんなことは、彼女の問題であって、(間違いや思い過ごしを真に受けない限り)私の問題ではない。私が此の場を借りて言いたいのは、

その言語を知ればするほど、これが正しいこれが間違いだなどという議論は、その言語を知らない人こそしてしまう議論のような気がしてくる。イギリス英語と一言で言ったって、住んでいる地域、クラス(階級)などでだいぶいろいろ違う。つまらないことを気にしてたらきりがない。


ハーバードの大学院に籍を置く”講師”のセンセイだってこーんなに愚かチックな間違いを平気でするのだ。それでもどうどうとプレゼンを終えた。
英語を話すのをどうしても躊躇しちゃう人、もっと図々しくなって英語を使おう。

使って間違えて恥じかいて覚えて行こう♪