boyaki - ぼやき5 ドックヤード、- 早春
boyaki - ぼやき1 ワットフォード・ウェィ-Watford Way-、そしてboyaki - ぼやき2 ドックヤード-The Historic Dockyard-、はたまたboyaki - ぼやき3 ニッポンにて、それからboyaki - ぼやき4 アムステルダムにて- amsterdam-からの続きです。
ジョンがいなくなったときに、未練と悲しみに狂わないように、神さまはわざと私たちにこのような毎日をくれたのか?
お互いから永遠に別れなくてはならなくなったときに、狂うかわりに、ほっとできるように。
こんなふうに辛うじて生きている私たちの時間にはなんの意味があるのだろうか?
ジョンの臨終のときの歎きを軽減するための毎日なのか?
ジョンが死ぬ、その瞬間に私たちはめいめいで肩の荷を卸して、長かった困難の時が終わったと、やれやれとため息をつくのだろうか?
窓から外をのぞくと今日も晴れて、多くの夫婦が、新築の家をみに来ている。ここに住もうか住むまいかを楽しそうに、見当している。
私たち夫婦のことも、同じような夫婦のように見えるのだろうか?
もしかしてもしかすると、ジョンの精子を解凍できる時が来るのではと思っていたので、癌のしぶとさにしぼんでしまった。
半年ほったらかしにしておいた庭に出る。
色とりどりの花が咲きこぼれていたのに、見る影もない。
枯れ果てた鉢植えを処分してると、無数の種を見つける。
なるほど、よくできている。
その植物は枯れ果てたけれど無数の生命の可能性をこんなに残している。
種をまけばまた同じ色の同じ名の花が現れる。
弱者は何も残せないで死んでいく。
また何か、心底がっかりするようなことが、ジョンの中で起きている感じがする。だから早く検査をしてください。一刻も早く検査をしないといけないのです。
ジョンとジョンの姉と私でどうにかこうにかして、1ヶ月半待ちの検査を、早めてもらえました。
これ以上待ったらどんどん手遅れになってしまうものね。
ああ、よかった。
- そして新しい癌が大腸にみつかりました。
「数ヶ月しか生きられないといわれつつ、もうこれだけ生きたのだからいいでしょう。そんなに必死になって治療を探してみたところで、どれもこれも効果がないよ」というコンサルタントの様子に直面するには疲れ過ぎていたので、私は家に残り、ジョンがひとりで病院へ行きました。
どうせまた同じようなことを言われるだろうと思ったとおり、同じようなことを言われたジョンが帰ってきました。
そんなことを聞くたびに、何時間も待って、待って、案の定同じことを言われて、くたくたになって。
ジョンを最後まで助けたいのに、もう力をどうしようにも集めようがなかった。間違った方向にどんどん進んでいってしまっているようで不安だった。自分をニュートラルに戻せなくなってるような感じがした。
ジョンの姉に話した。「カウンセリングを受けろ」と彼女がいった。
boyaki - ぼやき1 ワットフォード・ウェィ-Watford Way-、そしてboyaki - ぼやき2 ドックヤード-The Historic Dockyard-、はたまたboyaki - ぼやき3 ニッポンにて、それからboyaki - ぼやき4 アムステルダムにて- amsterdam-からの続きです。
ジョンがいなくなったときに、未練と悲しみに狂わないように、神さまはわざと私たちにこのような毎日をくれたのか?
お互いから永遠に別れなくてはならなくなったときに、狂うかわりに、ほっとできるように。
こんなふうに辛うじて生きている私たちの時間にはなんの意味があるのだろうか?
ジョンの臨終のときの歎きを軽減するための毎日なのか?
ジョンが死ぬ、その瞬間に私たちはめいめいで肩の荷を卸して、長かった困難の時が終わったと、やれやれとため息をつくのだろうか?
窓から外をのぞくと今日も晴れて、多くの夫婦が、新築の家をみに来ている。ここに住もうか住むまいかを楽しそうに、見当している。
私たち夫婦のことも、同じような夫婦のように見えるのだろうか?
もしかしてもしかすると、ジョンの精子を解凍できる時が来るのではと思っていたので、癌のしぶとさにしぼんでしまった。
半年ほったらかしにしておいた庭に出る。
色とりどりの花が咲きこぼれていたのに、見る影もない。
枯れ果てた鉢植えを処分してると、無数の種を見つける。
なるほど、よくできている。
その植物は枯れ果てたけれど無数の生命の可能性をこんなに残している。
種をまけばまた同じ色の同じ名の花が現れる。
弱者は何も残せないで死んでいく。
また何か、心底がっかりするようなことが、ジョンの中で起きている感じがする。だから早く検査をしてください。一刻も早く検査をしないといけないのです。
ジョンとジョンの姉と私でどうにかこうにかして、1ヶ月半待ちの検査を、早めてもらえました。
これ以上待ったらどんどん手遅れになってしまうものね。
ああ、よかった。
- そして新しい癌が大腸にみつかりました。
「数ヶ月しか生きられないといわれつつ、もうこれだけ生きたのだからいいでしょう。そんなに必死になって治療を探してみたところで、どれもこれも効果がないよ」というコンサルタントの様子に直面するには疲れ過ぎていたので、私は家に残り、ジョンがひとりで病院へ行きました。
どうせまた同じようなことを言われるだろうと思ったとおり、同じようなことを言われたジョンが帰ってきました。
そんなことを聞くたびに、何時間も待って、待って、案の定同じことを言われて、くたくたになって。
ジョンを最後まで助けたいのに、もう力をどうしようにも集めようがなかった。間違った方向にどんどん進んでいってしまっているようで不安だった。自分をニュートラルに戻せなくなってるような感じがした。
ジョンの姉に話した。「カウンセリングを受けろ」と彼女がいった。