salsa, the rabbit - うさぎのsalsa-dip-floppy  -2

salsa, the rabbit - うさぎのsalsa-dip-floppy  -1からの続きです。イギリスで一緒に暮らしたうさぎ、サルサの話し。





うさぎのサルサがいてくれなかったら、私はどうなってたんだろうな~?
と今でも思います。



何も食べられなくなったのにも関わらず、夫のお腹がぷーぅっと膨らみ始めて、医者に行き、
ドクターに『これは腹水です。もうどうすることもできません』と言われた時、

何だか夫の身体が黄色くなり始め、『黄疸』の症状をインターネットで調べて『これが末期の末期の兆し』なんだと愕然とした時、

ソシャールワーカー『もう、あなたのダンナさん、長くないわよ。』
私『うん、わかってる』
ソシャールワーカー『来週、私がホリデーから戻る頃はもういないかもしれないわ』


なんていう会話を交わしてホスピスから戻った時、

小さくてふわふわで無邪気で屈託ないなーんにも知らない赤ちゃんうさぎがいることは正直いって、私にとってとってもかけがえのないことでした。

もううさぎのところまで歩けなくなった夫も、『サルサは元気?』と赤ちゃんうさぎがすくすくと元気にしているか気になって仕方がななかったみたい。
夫と私ができる、唯一の明るい話題がサルサ。これから生き続ける新しい命と、もうすぐおしまいになる命。

何でも相談できるパートナーであった夫はもう私の相談相手ではいられなくなっていたし、心ここにあらず、で、もう彼はすでに『この世』からいなくなっちゃっているんじゃないかと思わずにはいられないくらい、もう何を言っても、何を問いかけても、手応えがなくなっていました。


もうだめっていうことは死ぬこと。
死ぬなんてことは人生の一大事。最悪中の最悪の事態。

それなのに、夫はじっと目をつぶって動かず横になっているか、まるで自分が死ぬことなど、まだまだ遠い先のことのように静かにしているだけ。

死んでたまるかって抵抗して欲しいのに。ぬあにをぉおおおと火事場の底力を見せて欲しいのに。

ポスピスからベッドが空いたという連絡をもらい、入院することになったが、夫にも私にも『あ、いよいよ』っていう気持ちがあまりなかったように思えます。3ヶ月の命ですと言われた後に16ヶ月も生き延びていると、愚かにも、こうして細々とでも頑張ってさえいれば、あともう1年生きられるのではないかと思ってしまうものなのじゃろか。

私は性懲りもなく、一粒でも多くのサプリメントを、ひとさじでも多くのはちみつを、夫が口に入れてくれれば、その分、それらのものが夫の命を延ばしてくれると思い込んでいた。