こんなことはよくあること
まず、どんな時に子供の友達について親が口を出してしまうでしょうか。感情的になった時につい口出しをしてしまうことは、わりとよくあることだと思います。私も幼いころよく母に「相性悪いんだから、遊ぶな」などと言われたことがあります。
お友達自体が問題
- お友達にいじわるをされる
- お友達が悪いことに誘ってくる
- お友達とよくけんかする
こんな時、ママはなかなか冷静にはいられません。特に子供が泣いて帰ってくる、表情が暗い、などという時は「友達関係に口を出すまい」と思っているママでも「他の子と遊んだ方が良いよ。」「あまり、遊ばないほうが良いんじゃない?」と言ってしまうことも。
悪いことに誘われるのも困りものです。悪いことや悪い言葉を教えないで欲しい、この思いは誰しもが感じるものだと思います。「てめえ」「やべぇ」などの口の悪いのは、すぐに真似っ子してしまいますから、関わってほしくないと思うのも自然なこと。
お友達のママとの関係
- お友達のママと考えが合わない
- お友達のママが非常識
- お友達のママと仲良くしたくない
ママさんとあまりに価値観が違うと、仲良くはなりたくないなと思うもの。けれど、子供同士がよく遊んでいたりすると、どうしても関わらなくてはならなくなります。また、グループの派閥の関係が出てくることもあるでしょう。
神経質なママは勘弁。何かあるとすぐに怒鳴りこんでくるママが面倒なので、そのママの子と遊ぶのはやめて欲しい。何時の時代にもどこにでもある話ですね。
ママ同士の関わりの中で、ランチに誘われたり、何かの時にあてにされたり、メールや電話が頻繁だったりすると、もう面倒になってしまいます。ママと仲良くできないので「違う友達と遊んで」そう思うこともよくあることでしょう。
こんな考えの人も・・・
我が子にふさわしいお友達と仲良くしてほしい。賢く、礼儀正しい子としか遊ばせない。自分の家と同程度の家柄でないと認めない。服装がださい子、ママが野暮ったい子はダメ。障害の有無、家庭環境、などの差別をする人もいるのが現実です。
子供の環境はママが整えてあげる、友達はママが選んで当たり前、そう思っている人も少なからずいます。
よく聞く友達を選ぶママの言葉
- あなたに合わないんじゃない?
- ◯◯ちゃんは悪いことをするから
お友達が悪影響、いじめられたなどの場合です。別の子と遊びなさいとママに言われれば、ママがその子のことを良く思っていないということを感じ取ります。
- とにかく仲良くしないで
- ◯◯ちゃん(別の子)と仲良くしたら?
ママ同士の折り合いで、仲良くしてほしくない時は、理由を説明せずに離そうとするでしょう。理由を言って、それを子供が伝えてしまえば大変だからです。でも子供は理由も分からず、友達と関わるなと言われ不思議に思うことでしょう。
- 先生のお話を聞けない子とは遊んではダメ
- 挨拶が出来ない子は連れてこないで
子供にふさわしい友達をと考えるママは、よくこんなことを言います。ママの眼鏡にかなう友達以外は付き合うなという感じですね。
友達を選び訪れる短い平和
都合の悪い友達を排除することで、つかの間の平和が訪れます。悪いことに誘われることなく、安心できる。けんかがなくなって、面倒事が減った。泣かされて帰って来ないし、穏やかな顔をしている。
憂鬱なママ同士のつながりがなくなると、スッキリします。子供同士の事はさておき、自分にまとわりついていた不快感がとれるのですから。やっぱり、話の合うママとお友達になるべきだな、などと考えるでしょう。
離して平和が訪れると、やっぱりお友達を離して正解だった!と感じることでしょう。悪影響から子供や自分を守ったようにも思います。
子供に与える悪い影響
その時々のことと捉えると、友達を選び子供が穏やかに育っていることはとても良いことに感じるのですが、将来を見通して考えるとある懸念があるのです。
都合の悪いことは排除
周りの友達とうまく付き合えない時、けんかが多い時、それは相手に原因があると思っていませんか?でもそうとは限りません。子供はママに自分の悪いところはあまり話さないのです。(悪いと思っていないこともあります)
わがままを言ったり、思い通りにならずいじけたり泣いたりしているかもしれません。相手が傷つくことを言っているかもしれませんし、自慢ばかりして嫌なやつになっているかもしれません。いばりんぼうも嫌われがちです。
自分の子の悪い面に気づかずに、「相手が悪いから他の子と」となってしまう。すると、お子さんは事がうまく運ばない時には「なぜうまくいかないか」を考えずに人のせい、相性のせいにするようになるのでは無いでしょうか。
対応や距離感が身につかない
また、苦手な人、好きになれない人がいることは、いつの時にもごく自然なことです。過剰に反応して、付き合わせないでいると、つくべきの年齢に合った処世術が身についていきません。
こんなタイプの子に、こういう言い方をするとけんかになるな、ということは付き合いの中で感じ取っていくものです。けんかをするからといって離してしまえば、自分で争いを避ける術が分からないままなのです。争いが不快と言う事にも気づかないかもしれません。
この子とはいつもけんかになって嫌な思いをするから、少し離れておこうと子供自身が考えて距離をとるのが理想的です。少し離れたところから、当り障りのない会話をしているいうちに、良い所の目がいったりすることもあります。
耐性が養われない
どうしても、付き合わないといけない「嫌な人」が子供の人生の中では訪れます。先輩や上司、避けては通れないものです。「付き合わなければいいじゃない」とは言えない場面で、耐える力も小さなうちから育んでいきたいものです。
嫌な人とは付き合わない、価値観の違う人とは付き合わないで育ってしまうと、本当に困るのは社会に出てからかもしれません。まだ早い、大げさと思いますか?価値観は変化するものの、小さい頃の影響が大きいものです。
自分の周りの人は選べない
大きくなればなるほど、母親は子供の環境をどうにもできなくなります。幼いころに友達を選び環境を整えて安心していても、大人になったら様々な環境で育ってきた人と関わるのです。その時、温室でぬくぬく育った子供は対応できますか?
こんな考えの人と関わったことがない!付き合うべきではないと言われていたタイプだ!その時にそれぞれの良さなど見つけられますか?それまでやってこなかったことを、すぐにはできないもの。しかし、社会で生きていく上では価値観のすり合わせは必須です。
多様な世界で生きていく子供に
母心としては、どうしても、子供の不穏を取り除こうとしてしまいます。その時笑顔でなければ不安だし、子供を守らなければと思います。
しかし、辛いことだって上手くいかないことだって子供にとっては成長における試練なのではないでしょうか。乗り越えてこそ、力がつく。たくさんのものを見てこそ、視野が広がる。経験を重ねて、上達する。
悪いことは悪いと教えてあげればよいのです。対応に困ったときには解決策を一緒に考えてあげましょう。けんかが耐えないなら、けんかの仲裁ではなくけんかを防ぐ作戦を子供と一緒に立てましょう。友達を排除する前に、やれることがあるのではないでしょうか?
子供の将来のことを考えたことがない人はいないでしょう。今以上に多様化し、グローバル化し、柔軟な人間性が求められていくことでしょう。そんな社会で生きていく子供たち、その時の笑顔を思ってほしいのです。
限られた友達の檻に入れてしまうことなく、多種多様な経験を積ませて、どんな社会にも対応できる子供に育って欲しいと願っています。