2010年11月30日。父一周忌の命日。
一年前の出来事が思い出される。

昨年、11月最終週の月曜日。ニットサロンの準備の為自宅を念入りに掃除していたその時、日本からの電話が鳴った。私が上海に来てから一度も電話をしてきたことのない妹から。全ては彼女の泣き声から始まった。

一年が経った。

父の法要の為に上海に戻ってから7月の新盆と11月の一周忌と日本に帰ったが、新盆の時以上に一周忌を迎えること、超えることは容易なことではなかった。

11月に入ると、なんだか胸が締め付けられるような思いに襲われる。
このニットが盛んな時期になると、昨年の光景が思い出される。

この一年、決して早かったとは思わない。
自分にやってくる全ての物事は、自分が受け止めるためにあるものだと感じながら、一歩一歩前に進んできた。


私は高校生の頃から、約3年に一度、自分の積み重ねてきたパワーを一つにして発揮したくなる性格で、毎回そのタイミングに合わせて大きなチャレンジが目の前に立ちはだかる。
大学受験、就職活動、社内での新規プロジェクト、そしてニットコレクション。


子供にとっていくつになっても親は親。自分の活躍、自分が生きているということを無意識に見守っていてほしいと願う存在。そしてこの無意識が意識化されるのは、見守ってくれる存在がいなくなったとき。親に見てもらうために生きるのではなく、自分が生きたいように生きる。この「自律」に気がついている大人が何人いるだろうか。「自律」している人が決して素晴らしい訳ではない。だけど、想像以上に無意識の甘えが自分の決断や行動を支配していたりする。

私にとって人生初のニットコレクション。これまで20年間趣味として関わっていた編み物が20年後このような形で自分と付き合うようになるとは思わなかった。だけど、ニットサロンを始めてからニットに関する意欲が尽きない。むしろ湧き出る思いばかりだ。そんな状況でファーストコレクションを無事迎えることができた。このコレクションの準備を進める段階で感じたのは、父の魂が宿ったのではないかと思えるほど不安を抱えず、腰を据えて粘り強く自分の描いていたコレクションを開催できたことだ。

天国にいる父に今の自分の姿を見せたいと思って「今」を行動しているのではない。人より少し早く「自律」した生き方に気付かせてくれた父に感謝し、自分のペースで確実に一歩一歩歩いて行きたい。


父1周忌法要の前日、青空の下、青梅の山々や紅葉を楽しみながら10kmを走った。
この1年間背中に背負ったものを消化する気分で。

11月生まれの私は、誕生日と父の命日のお陰で、11月は自分をリセットすることのできる月となった。人より早く、「新年」を迎えている気分で、この冷静さをこれからもきちんと持ち続けたいと思う。


さぁ、今年は素敵な暖かいクリスマスを迎えよう。