阪神1—2ヤクルト〇
ヤクルトはすでに順位が確定し、主力を休ませること、若手にチャレンジの機会を与えることができています。
哲人もバレンティンもいないという今日のスタメンには驚きましたが、若燕たちの躍動はヤクルトの明るい未来そのもの。微笑ましい気持ちで、今日はテレビの前で応燕しました。
星君の好投、星君のタイムリーヒット。見事でした。
加えて今日は、なんといっても奥村の日でしたね。
守備が必ずしもよかったわけではないのに味方がカバーしてくれたり、ファウルフライで終わってしまうかというところ、相手のミスを誘って生き延びたり、はたまた決勝打を打ったり…!とにかく今日はおっくんから目が離せませんでした。
神様のウインクが止まらなかった今日のおっくんの様子を、ふりかえっていきましょう。
まず2回表の出来事です。星は先頭ナバーロをセカンドゴロに打ち取りますが、ヤクルトには滅法相性がいいという梅野に3ベースヒットを打たれてしまいました。1アウト3塁で打席には高山。1点が入ってしまうやもしれぬという厳しい局面でしたが、高山のセカンドゴロは奥村の正面を突きました。ゴロゴーで走り出していた梅野を、奥村はバックホームで刺そうとします。でも送球はワンバウンドになり、ヒヤリとしました。ホームを踏まれてはたまらない、でもその送球では…という場面でしたが、そこはムーチョがしっかりキャッチして流れるように梅野にタッチ。得点を許しませんでした。ムーチョは奥村を、そしてチームを救いました。
次は4回表。2アウトランナーなしの状況で、打順は奥村に回りました。奥村は選球眼を光らせ粘るのですが、その中で、すわファウルフライかという当たりがありました。ファーストのナバーロは目測を誤ったか、そのフライを捕ることができませんでした。その後奥村はヒットで出塁。命拾いからのヒット。追い風がどんどんおっくんを後押ししているようでした。
続く中村の打席で、阪神青柳の暴投がありました。中村の背中を通過する投球は大きく逸れ、それを見た奥村は、なんと3塁を落とし入れようと加速を始めるのです。球は3塁側に逸れましたし、キャッチャーは梅野です。タイミング的には完全にアウトでしたが大山のタッチは甘く、遅かったようです。塁審のジャッジはセーフ。リプレイ検証も行われましたが、それでもセーフでした。なにかこう、おっくんには追い風のみならず神様がおっくんを後押ししているような、そんな気持ちにさえなったことでした。
中村四球で歩き2アウト1,3塁。打順は星ですから、得点は難しいか…といった場面でした。
でも…
そんな心配はなんの、なんの。星は青柳の球をしっかりと見極め、これだ!という球をしとめてライト方向へ。命拾いに命拾いを重ねて3塁に到達していた奥村はホームに生還。ヤクルトの先制に大きく大きく貢献したのでした。
5回裏に阪神が1点を入れ同点。星は6回1失点でマウンドを下りました。
7回からは大下が任され、8回は梅野が上がりました。
ヤクルト打線が岩崎、才木、桑原の前になかなか追加点を上げられないのと同じく、阪神も大下、梅野をとらえることができず、両チームともに追加点をあげることなく回は9回へと進んでいきました。
9回表。同点の場面でドリスがやってきました。
武内はセカンドゴロに倒れ、西浦は三振。あれよあれよという間に2アウトをとられてしまいました。
冒頭で書いたように、ヤクルトは順位確定後、CSに向けた調整段階に入っています。主力を休ませ、若手の力を見極める、また青木のCS出場がいまのところ不透明ないま、さまざまなオプションを決めておく必要もあるでしょう。
滅多に戦列を離れることのない哲人のポジションに、今日は奥村が入っています。昨日は途中からでしたが、今日は先発出場です。この貴重な機会を無駄にしてはならない、ここでアピールせずしてどうするのだ――奥村のそんな気持が今日の一戦に凝縮されていました。力と運。奥村はそのすべてを、一打席一打席で発揮していたように思います。
なにかにつけて奥村、奥村だった一戦は、9回2アウトからの奥村のプロ初ホームランで決まりました。
小柄なおっくんがバットを短く持ってフルスイングする姿から、絶対にCSのメンバー入りを勝ち取るのだ、負けるものか――そんな気迫が伝わってきました。150キロを超えるドリスのストレートにも、奥村は果敢に挑みます。非力な左打者などというイメージを思いきりひっくり返すフルスイングで、ドリスの剛速球をライトスタンドへ放りこんでみせました。
「高卒でプロに入って5年。一打席一打席が勝負。チームの役に立てるよう総合力をつけたい」