平日は、オフィスをどれだけ急いで出ても、神宮球場到着は18時を回ってしまいます。

一秒でも早く席に着きたい。でもおなかもすいている。私は神宮球場に着くと、真っ先に欅に立ち寄っていつものハヤシライスを買いました。

 

そんな呑気なことをしている間に高橋はノーアウト1,3塁の大ピンチを迎えていて、打席にはソトが入らんとしていました。

 

いきなりこういう場面かと、席に着くやいなや心臓がキューッと締め上げられるような感覚におちいりましたが、高橋はソトを空振り三振に切ってとりました。それでも筒香、ロペスと続いていくわけですからちっとも安心はできません。

 

が、高橋は向かっていきました。

 

筒香に対しては自慢のストレートを投げ込み見逃し三振をとり、ロペスに対しては変化球で翻弄、これまた空振りの三振をとりました。恐ろしいDeNAの3,4,5番を三者三振にしとめた高橋、実にお見事でした。

 

ピンチのあとにチャンスあり。

 

この言葉は本当なんだということを実感させたのが、その裏のことでした。

 

DeNA先発の平良は、ヤクルトは必ずしも相性のいい投手ではありません。むしろこれまで手こずってきました。いい印象はありません。

 

坂口、青木と凡退し、哲人が打席に入りました。哲人の当たりはセンターへ抜けようかというものでしたが、セカンド石川がキャッチ。ただ、投げるまでにはいたりませんでした。哲人の内野安打で、打順はバレンティンに回ることになりました。

 

ヒーローインタビューで、バレンティンは言いました。

 

「タカハシのためにも早い回から点を取りたかった」

 

バレンティンのその気持を乗せた打球はヤクルトファンの待つライトスタンドへ。バレンティンの第35号ホームランは先制点となり、タカハシへの大きなプレゼントになりました。

 

高橋は2回には先頭打者に四球を与えたり、3回には1アウト2,3塁で筒香を迎えたり、毎回ピンチを背負っていたといっても言い過ぎではありません。それでも要所要所でよく筒香やロペスを抑えました。昨日の捕手は井野だったわけですが、井野のリードも光ったのか、なんとかピンチを乗り越えるバッテリーの姿に、大変頼もしさを感じたことでした。

 

5回表、せっかく2アウトをとったのに宮崎に一発を食らってしまったのは口惜しいことでしたが、ふりかえってみれば高橋の失点はこの1点だけ。チャンスを広げられてもここというところを抑えたことによって5回1失点という結果がついてきました。素晴らしいプロ初勝利でした。

 

DeNA打線相手に1点差では実に心許ない。そう思うも平良からはそうそう点がとれるわけではありません。ヤクルトもまた、3回に2アウト満塁という好機を迎えるものの追加点に結びつけることはできませんでした。

 

なんとか追加点、追加点、追加点。

 

そんな呪文にも似た願いに応えてくれたのは、またしてもバレンティンでした。

 

初回のホームランのみならず、バレンティンは守備でもいきいきしています。ファウルフライをキャッチしたのもプロ野球ニュースの今日のファインプレーに選ばれるほどでしたし、桑原のライナーも、ガッチリキャッチ。流れを相手にわたすことを許しませんでした。

 

そして6回裏の貴重な追加点となる第36号ソロホームラン。

 

バレンティン、ありがとう。ココ、ありがとう。

 

大きなココの背中を、感謝の気持をこめて撮りました。

 

 

5回85球1失点、勝利投手の権利を得て高橋はマウンドを下りました。

 

6回を託されたのは、これまたルーキーの大下佑馬でした。

 
 

大下は6回三者凡退。7回は代打乙坂にヒットを打たれましたが代打中川は三振、石川はセカンドゴロに打ちとりました。乙坂は2塁へ進塁しましたので2アウト2塁、宮崎を迎えるところでで大下は梅野にスイッチしました。

 

高橋→大下→梅野

 

この若燕のリレーに興奮しなかった人はいないでしょう。

 

それでも、彼らに期待をこめるも、不安がないといったら嘘になります。

 

DeNAファンはここが勝負どころだと応援のボルテージを1ランク上げてきました。それがまた、どきどきする気持を大きくしました。

 

梅野は宮崎に四球を与えてしまいます。

 

2アウト1,2塁。ランナーをためてソト、そして筒香と回っていきます。

 

梅野はソトに四球を与え、満塁。そして筒香の打席でバッテリーエラーがあり、ついに1点差にまで詰め寄られてしまいました。さらに筒香にも四球を与え満塁でロペスが打席に入りました。

 

すかさず大引がマウンドに駆け寄り、梅野にアドバイスを送ります。

 

大量得点も覚悟しなければならない局面かもしれない。

 

私は目を閉じて覚悟を決めました。

 

でも、早打ちのロペスは初球に手を出し、ぼてぼてのピッチャーゴロで3アウト。

 

同点にされることも、勝ち越されることもなかった若燕梅野。私は力のかぎり手を叩いて梅野を讃えました。

 

1点差ではありますが、疲れが見える近藤は今日は休ませなければなりません。今宵はその近藤の代りを何人注ぎ込んででもクリアしなければならないのです。リードはたった1点。それをなんとしても守り抜かなければならない。必死の、しかしクレバーな継投に期待するものでした。

 

梅野は8回もマウンドに上がりましたが、先頭桑原に四球を与えてしまいます。ここからは柴田、乙坂と左がきますのでマウンドにはハフを送りました。柴田、乙坂、右の伊藤光を挟みますが、1番に入れていたピッチャーの代打には、DeNAベンチにはもう左しか残っていませんでここはハフが適任です。

 

桑原を1塁に置いて、柴田は送りバントをしてきました。これで1アウト2塁。乙坂はピッチャーゴロ。ハフは2塁ランナーの桑原を目でしっかりと牽制してファーストへ送球します。2アウト2塁で今度は右の伊藤光を迎えるわけですが、伊藤に粘られ四球を与えてしまいました。それでも先述のように代打には左しか残っていません。楠本がコールされ、ハフは楠本を空振り三振にしとめ無失点で切り抜けたのでした。

 

8回裏の先頭は青木でした。この日ノーヒットだった青木はなんとか塁に出ようと1塁側へセイフティバントを試みます。実に素晴らしい、見事なセイフティは成功しました。神宮球場は、さあ追加点だと言わんばかりに湧きに湧きました。

 

ところがベースに向かってピッチャーの三嶋と競争するような形になり、その勢いからか青木は足を痛めてしまったようです。すぐさまトレーナーが駆け寄り様子を窺い、青木はベンチに下がっていきました。ピンチランナーには上田が入りました。

 

試合後、青木は笑顔でナインを迎えていましたので大丈夫かと楽観しましたが、のちの報道で左太もも裏を痛めたため抹消すると伝えられました。どうか大事にいたりませんように。なんとかCSの開幕には間に合ってほしいと祈るばかりです…。

 

9回表。ブルペンで力水をつけてもらった石山が颯爽と現れました。

私は泰稚のタオルを掲げて石山に力を送りました。リードはたった1点。石山の昨日の様子が脳裡にないわけではありません。緊張しました。ものすごく緊張しました。

 

ホームランバッターである宮崎をキャッチャーフライに打ちとったとき、ほんのすこしだけ緊張がほぐれましたが、ソト、筒香に連打され、緊張は当初の倍になってのしかかってきました。

 

それでも私は冷静になろうと思いました。ソトに打たれた当たりも、筒香に打たれた当たりもシングルだ。何も恐くない。こんなの織り込み済みだ。大丈夫、大丈夫。泰稚は絶対に大丈夫。

 

ロペスのセカンドゴロは進塁打になり、ランナーはそれぞれ2,3塁に進みました。

 

桑原が打席に入ったとき、絶対大丈夫と思いました。根拠などありません。でも、ソト、筒香、ロペスの山を越えれば勝算はヤクルトにあり――そんな天の声が聞こえてきたような気がしたのです。

 

桑原は泰稚のフォークに手を出しました。打球はサード大引の正面へ。大引ガッチリ掴んでファーストへ。おっと、いつの間にかファーストには荒木が入っていたんだな。しっかり捕ってくれよ。ちょっとショートバウンドになったか。でも大丈夫。荒木掴んで3アウト!

 

涙があふれました。

 

クリンチナンバーを聞いても、なにを聞いても、実際こうなるまでちっとも安心できず、ずっとずっと気持が緊張していましたから、本当に、本当に、ヤクルトが2位の座を掴んだのかと、緊張感から解き放たれて一気に体の力が抜けました。

 

オーロラビジョンには「Congratulations クライマックスシリーズ 神宮球場開催決定」と映し出されました。感慨無量でした。

 

 

 

2位という順位が確定し、CSに向けての準備が一層進むことでしょう。ピッチャーはどうするか、野手はどうやりくりしていくか…。ベンチの手腕が問われるところです。

 

同時にヤクルトを去って行く選手たちが神宮球場のグランドに立つことはあるのか。

 

喜びと、別れの寂しさと…。さまざまな思いが交錯する10月ですね。

 

 

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