大阪市に引っ越して来たら、歴史講座には古墳関係のものが多い。
まっ当たり前か↓
全国の古墳の数はコンビニの数の3倍離島などにコンビニはないけど、古墳には関係ない。
垂仁天皇陵@奈良
立ち入り禁止多数の上、特徴的な形は高所からみないと分からないなど観光資源としてはいろいろ難しい。
↑攻めてるな~大阪府の自治体
たぶん奈良市教育委員会が募った資金。
宮内庁管轄のところは管理費用を自前で調達する必要はないし、カビが生えた!というトンデモな問題も上がってこない。もちろん、中で生えていない保証はないんやけどね。
前置きが長くなりましたが初めて古墳の本を読みました。
おもしろかった!
とだけ書くと小学生の絵日記なので、大人らしく説明すると‥
日本の古墳だけではなく、韓国や中国の古墳の発掘に携わった研究者による概説書。大きさなどで被葬者の権威を現すという発想は日中韓で共通とはいえ、いろいろ違うよ、という内容です。
日本(倭)の特徴
1,形状
前方後円墳という形は日本オリジナル P.211
朝鮮半島南部にもごく一部あるが、倭の影響と考えられる P.166
ホケノ山古墳
円墳、方墳、帆立貝形墳など日本の古墳にも色々な形があります。
2, 規模
秦の始皇帝陵に匹敵する巨大なものも P.212
3, 建造場所
前期は特にあえて見られることを意識した場所に労力をかけて造った(から発掘作業も大変) P.220
埴輪など墳丘の外装にも力を入れた P.212
初古墳詣でしてきました。
— ひらべ (@masa_hira_oyaji) January 3, 2023
寒いけど天気良い三ヶ日でしたね。#垂水区 #五色塚古墳 #明石海峡大橋 #遠くに淡路島 pic.twitter.com/ifF5VwrGWi
周囲に宮城や都市から離れていることが多い
4, 棺と墳丘
墳墓は生前に完成しており、墳丘の上部の盛り上げた部分に埋葬される P.140
4世紀後半からは巨大な石棺が増えた P.232
用いられた石は近畿地方では二上山(奈良と大阪の県境)、竜山(兵庫県高砂市)や宇土半島(熊本県)で採掘された凝灰石.
めっちゃびっくりするのは今城塚古墳の石棺の破片がエントランスにポンっと展示してあったこと😳
— 古墳王子 (@kotetu2019) August 21, 2022
見つかった経緯もびっくりだし、これここでいいの⁉️
阿蘇ピンク石とも呼ばれる馬門石の色がはっきり見えて超ラッキー✨
ミニチュア石棺もいいね👍#今城塚古代歴史館#博物館は楽しい#高槻市 pic.twitter.com/G78nyY9o3p
5,副葬品
鏡、玉、剣など祭祀用品が多い
漢で作られたものなど舶来物もあるが生活用品は少ない P235など
6,階層差
規模や副葬品の量で現わされて、ユニークな大王墓がない P.197
箸墓古墳やけど、これが前方後円墳というのは周りを歩いてもよくわからない。
7,継続性
造営後、継続して人が集った形跡はない P.214
古墳の時代は8世紀には終了し、平城京の造営時には古墳を削っている P.214
8, デザインコンセプト
水鳥型の埴輪、導水施設型埴輪、州浜など水辺を意識したデザインが認められる古墳がある P.227
これって日本庭園の源流やん、古墳は日本庭園に浮かぶ仙人の住む蓬莱山
日本(倭)と朝鮮半島で共通する特徴
1,大型墳墓出現時期
漢王朝が衰退した二世紀後半に中国では古墳を築く習慣が廃れた時期に、倭と朝鮮半島で大型墳墓が発達 P.176
作り手も半島や倭に移動して技術移管したのか、技術的には可能だったけど、中国への遠慮が不要になったからの?といろいろ疑問が出てきます。中国で古墳造営が復活すると半島では、古墳は小さくなっていったらしいけど(P178)、日本は大きなまま。
2,副葬品
外国製品が見られる
漢製品(P103)だけではなく倭の青銅器が副葬されている古墳(P192)もある
韓国は鉄製品先進国なので、鉄製品は地元産(P191)。
好まれた副葬品は倭とは異なるし、地域差がある。
中国の特徴
1, 形状
前漢の皇帝陵は方墳、後漢の皇帝陵は円墳と皇帝陵の形に変化があった P.145
後漢の光武帝による変革の一環かもしれない P.147
2, 棺と墳丘
魂魄思想に基づき、地下に棺は置かれ、墳丘の盛り土は埋葬後にされる P.172
墳丘の上に建物が建てられたり、松柏など常緑樹が植えられることもあった P.129
松柏は日本庭園の定番やん
3, 建造場所
都城内の造営されることも
陵園という複合施設の一部と位置付けられる P130
4,階層差
皇帝の大王墓がある
5,継続性
先祖崇拝と結びつき、埋葬の後も宗廟と同様に一族が集った P.208
これって日本では春日大社とか氏神を祀る神社っぽい⛩
殷代からの考え方で、先祖は子孫に祟ることが恐れられた P.209
日本でもアマテラスは天皇家に祟るよ↓
6,デザインコンセプト
邸宅をかたどりで、死後も生前同様の生活を送れることが配慮された
始皇帝の場合、生前と同じように食事をささげる人が墳墓の近隣に住んでいた P138
これはまるで弘法大師、空海の生身供(しょうじんく)やん
高野山 奥の院の生身供
— 健治 (@niceKenji) 2022年5月19日
1200年間、弘法大師さまに食事をお届けしています。 pic.twitter.com/mgjRVyHyed
副葬品には井戸やかまど、食器などもあるP.199
等身大シルバニアンハウスとかリカちゃんハウスというとさすがに語弊があるか。
古墳にみられる様々なルーツ
こうやってみると銅鏡、剣、玉を副葬品として珍重した日本の古墳システムは皇室の三種の神器につながり、蓬莱思想を取り込んだ日本庭園のデザインも原点も日本だけでなく中国にもありそう。中国の古墳は日本の古墳に氏神信仰を足したような性格を持っていて、日本の古墳よりも長い間が人が集う場所となったようです。こうしてみると、日本の氏神信仰って儒教の影響があったんやろうか?
↓日本本来の氏神信仰と儒教の「孝」とが結びついたと書いています。
文字による記録はないのですが、古墳時代から現代まで日本で続くものが結構あることがよくわかりました。
(終わり)