【はじめに】
「メディア」について言及する人の多くは、「マス・メディア」について語るが、“情報を伝える”の「メディア」だとすれば、1枚のチラシからテレビまで、メディアにも大小様々ある。このような「メディア=マスメディア」という大前提崩さない限り、メディアの構造と実態はとらえられない。
最も重要なことは、情報が到達する人数ではなく、しかるべき人に情報を伝えることである。そこで、狙ったターゲットに情報を伝えていくのに適したメディアとして「雑誌」は最適なのである。この「雑誌」を筆頭に、ターゲットを的確に絞り込んできたメディアを“ターゲット・メディア”と称する。
テレビや新聞はとにかく広く“みんな”に伝えることを得意とする“マス・メディア”。インターネットは、検索など“一個人”の情報収集に役立つ“パーソナル・メディア”である。
しかし、“マス・メディア”“パーソナル・メディア”の二元論で何もかも振り分けられるのはおかしい。『ターゲット・メディア主義』では、個人が適度に集合した、“ターゲット・メディア”に注目し、メディアを再認識していくことを目的とする。
【第1章 雑誌はターゲット・メディアのトップランナー】
<メディア=マスメディアという認識では不十分>
メディアの役割として、大きく分けて二つの役割がある。“報道”と“情報”である。報道は全国民に平等に伝えられなければならないが、情報は欲している人に必要な情報を与えるものである。また、送り手主体なものが、“報道”で、受け手が自発的かつう積極的に取りに行くものが“情報”なのである。
<マス・メディア4媒体のランキング>
「到達速度」1位はテレビ、ラジオ 2位は新聞 3位は雑誌。「到達範囲」1位はテレビ 2位は新聞 3位は雑誌
4位はラジオ。つまり、“報道”という役割を中心にマス・メディアという範疇で分析すれば、雑誌は明らかに弱い分野なのである。しかし、“情報”を伝えるメディアという範疇で雑誌の強さを考えると別である。
<マスではなくターゲットをねらうメディアの躍進>
雑誌、ラジオ、OOH(out of home media)はターゲット・メディアである。また、テレビにおいても衛星放送(WOWWOW、スカパーなど)は数百とある専門チャンネルから見たい番組を選んでいるので、ターゲット・メディアであるといえる。
日本では現在、マス・メディアのターゲット・メディア化が進んでいる。その理由は、受け手側である一人一人の感性がレベルアップしているからである。
マス・メディアの担い手がマスをみなす向こう側に、“みんな”は本当に存在するのか。これは忘れてはいけない視点である。
<マス・メディアとターゲット・メディアがもたらす志向の違い>
「集団(みんな)」→「同化」→「チームワーク」側の人達は「画一的ライフスタイル」に落ち着きたがり、マス・メディアが提案するライフスタイルを模倣して満足する。また、「個人(わたし)」→「異化」→「力のある個人」側の人達は、「画一的なライフスタイルからの脱却」を求めている。
メディアは生活者の生き方を反映させているという意味では、今後、「他人とは違う、わたし」という個の確立を求める傾向は、今後も続くといえる。
<多様化するターゲットメディア>
そもそもメディアは報道と情報が複雑に絡み合って誕生したのではなく、それぞれの役割分担があって、時代と共に情報報道が膨らんできた。報道にも情報にも寄らない情報報道系に位置するメディアは、ターゲット・マス・メディアといえるのではないどろうか。
現在、メディアを整理すると、1.とにかく多くの大衆に向かう「マス・メディア」。2.マスに対する存在意義を重視しながら、大別されたターゲットを意識する「ターゲット・マス・メディア」。3.マスを視野から外しで絞り込んだターゲットの中核に向かう「ターゲット・コア・メディア」。4、細分化されたターゲット一点に集中して、焦点をあわせた「ピンポイント・ターゲット・メディア」の4つに分けられる。
≪参考文献≫
『ターゲット・メディア主義―雑誌例礼讃』/吉良俊彦/宣伝会議/2006年4月1日発行
/p1~32