「・・・という訳で、明日早くに発つ事になりまして。今まで本当にお世話になりました」
「そうかぁ。気をつけてな」
「寂しくなるのう。また寄っておいで」
「はい。皆さんもどうかお元気で」
「旦那、明日は早いって何時頃だい」
「そうだな。日の出の少し前くらいには出るつもりだ。見送りは不要だぞ?」
「いや、うちの母ちゃんがどうしても見送りてぇらしいんだ。娘が出来たって喜んでたからよぉ」
「・・・・その節は本当に世話になったな。あのドレスを貸してくれたんだろう。大事なものだろうに」
「いや、いいって。一番はしゃいだのは母ちゃん自身だからな。・・・・見たのか、シーダちゃん」
「見せに来た。でも、俺にじゃないだろって気もしたがな」
「そうかぁ。はは、そう言うなよ。旦那に見せたらって母ちゃんが言った時、本当にいい顔したぜ?」
「・・・・俺は父親だぞ」
「関係ないんじゃねぇか?本人がそう思ったんなら」
「娘が懐いてくれるのは期限付きだって聞くからな。今を大事にするこった!」
「あの子がよくても、俺には良くないんだよ・・・」
「・・・おばさん、こんなに早い時間にごめんなさい。お礼も全然出来ていないのに」
「いいんだよ。気をつけて行ってくるんだよ」
「はい・・・ドレスも、本当にありがとう」
「シーダちゃん、また戻っておいで。そして、幸せになるんだよ」
「・・・・ありがとう」
「シーダ」
「はい、今行きます」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・おい」「あの・・・」
「・・・・何だ」
「父上が先に」
「・・・・たいしたことじゃない」
「私もです」
「そうか」
「・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・」
(父上、何も言わない・・・・)
(おかしい・・・・そろそろ行商師団とすれ違ってもいい頃だというのに、物音すらしないとは。嫌な予感がする)
ドクン
(この嫌な感じは)
ドクン
(・・・・・殺気!)
ビュンッ ・・・・・ザクッ!
「「!!!」」
「シーダ!」
「父上!?」
「今日は商人ばっかりあたるなぁ」
「さっきの隊列でお腹一杯だってのによ~」
「小銭儲け日和だ!」
「女は上玉だ、売り飛ばしゃあいい金になる!」
「へへへっ」
「シーダ、大丈夫か」
「平気です。父上、・・・私を庇った傷が・・・・」
「擦り傷だ。それより・・・・相手の数が多いようだな」
「はい。一瞬で囲まれました・・・・父上は下がって。私が戦います」
「生意気言うな。お前1人で何が出来る!」
「今、キュアを」
「要らん!」
ポワァ・・・・
「おい!」
「私だってもう1人前なんです。いつまでも子供扱いしないで下さい」
「なに・・・?」
(子供じゃない・・・)
(きっとこれしか方法がない)
(うすうす分かっていた・・・・きっと私は)
「ふん、お前はいつまで経っても子供だよ。でしゃばって怪我されたら困るからな」
「父上・・・私は」
【お前らぁ!女を捕まえるんだ!男は殺しちまえ!!】
ザシュッ!
ギィン!!
「・・・お前等。誰を捕まえて誰を殺すって?あんまり俺を怒らせるなよ」
ブシュッ!
・・・ザンッ!!!
「・・・・シーダには指一本触れさせん」
「父上!?」
ビュン!
ザシュッ!! ギン!!
「な、何だこの男!傭兵か!??」
「子連れの傭兵なんかいるか!どう見たって商人だろう!」
「・・・・商人のくせに、この強さは半端じゃねぇ。お頭・・・」
「ああ。俺の記憶に間違いがなければだが、あいつぁロストールの密偵だ」
「・・・はい?」
「・・・タッチストーンって聞いたことあるか」
「へい。確か女王エリスの駒で、テジャワのクーデターん時に貴族側に偽情報流したって・・・」
「ま、まさかお頭!」
「俺ぁ、たった1回だけだが、そのタッチストーンと戦がぶつかっちまってな。・・・きっと、間違いねぇ」
(ただ、俺の知っているフリントはかなり危ねぇ男だ。睨まれただけで竦んじまう。・・・結婚したとも聞いちゃいねぇ)
「俺が出る」
「お頭!!?」