ガンッ!!

キィン!!






(父上・・・何て、綺麗な太刀筋)





「おい、こいつ自分が捕まってんのに、よっぽど父ちゃんが気になるらしいぜ」

「ファザコンか?」






『力任せに剣を振るからだ・・・』





(父上は力強い。それなのに、あの動きは一寸の狂いも無く、そして流れるように無駄が無い)






(こんなに、近くで見ていたのに・・・・・)






「・・・おい、泣いてるぞ」

「泣く年じゃない・・・よな?」

「お、おい。何泣いてんだ!?」


「轡解いてやれ!」




「・・・・」




(父上・・・私は、貴方に甘えすぎていたようです・・・・)






ガッキィィン!!

ザシュゥッ!!!!




「・・・ふん、他愛も無い」

「ぐ・・・フリント・・・!!」

「貴様が何を勘違いしているのか知らないがな」




(シーダ・・・・)





「あいつは俺のかけがえの無い存在だ。娘、なんぞという言葉では言い切れん」





(娘でもない)





「俺の目の前であいつに触れたのが、お前らの運の尽きよ・・・・言ったな。殺す、と」


チャキ・・・




ズルッ・・・




「く・・・くく・・・・そうだ。その目だ、フリント・・・・!!」

「なに?」


「その目だよ。俺の脳裏に焼き付いて離れない、血に狂ったてめぇの目・・・・」

「・・・・・」






「や、やっぱりてめぇは人並みの生活なんざ送れやしねぇ。・・・ふふ、じゃあ、あの女は恋人か?」

「な、何を・・・・あいつは俺の子・・・」





「お・・・おおおぉぉぉおお!オマエニ・・・・シ・・アワセ・・・ガ・・・アッテ・・・・・・タマルカァ!」


「お頭!?」

「お、お頭が化け物に!!」

「ぎゃああ!!」



ギィィィィー・・・キュルルルオゥ・・・・・





「父上!!くそっ、おい!縄を解け!!」

「ひいいぃぃ!逃げろ!!!!」

「おい!縄を解いていけ!・・・・くっ、ナイフを・・・!!」




キュイイィ・・・・・





(・・・・俺の向こうを見て?・・・・・・まさか、シーダ!!)

「父上!?」

「お前は支援を頼む。俺の後ろを取られないようにしてくれ」



「・・・はい」




(まただ・・・・父上は、絶対に私を前線に立たせない。怪我をしたのは利き腕なのに!)




(私が・・・・私がぼーっとしていたから・・・)





ギン!




ガァン!!!





「!!・・・しまった!」

ガアァン・・・・!!



ザクッ




「・・・・へへへ。貰ったぜ、女ァ!」

「シーダ!」




シュッ!



「おっと。悪いが、愛する娘の為に、俺と一勝負願うぜ」

「何!」

「お頭!かーっこいい!!」




(ち、父上・・・・)




「俺を倒したら、お嬢さんは無事還してやろう・・・・・いいだろう、フリント?」

「貴様・・・・俺を知っているのか」



(誰・・・・知り合い?)




「テジャワの時にてめぇに潰された盗賊一家の次男でね。目の前で親父を殺したのがてめぇさ」

「・・・覚えていないな」

「ははっ、そーだろうよ。てめぇら貴族から見たら俺らなんて虫けら以下だからな!」

「・・・その復讐か。馬鹿馬鹿しい」



(父上が・・・?父上は商人ではない??)




「・・・まぁ何にしろ、ここでてめぇに会ったのは運命だ。俺の家族を奪ったてめぇの、大事なモンを奪ってやる。・・・・目の前でな」


「お頭、用意できましたぜ」

「おお、縛れ」


「やだ!触るなぁ!!」

「・・・チッ!大人しくしやがれ!!」

「・・・・離せぇっ!!」


「シーダ!!!!」




「なぁに、懸賞品には大人しくしてもらわねぇとな。・・・・安心しな、縛っただけだ。まだ、な」

「貴様!!」

「なに、俺に勝てばいい話だろう。それまで、手下共には手をダサネェように一応言っておいてやるぜ?」

「・・・・今すぐ殺してやる!」




「お前等、一応お頭が戦ってるときはやっちゃいけねぇみたいだからよ」

「ええ?そうなんか」

「我慢できねぇよ~」




「ただ、やっちゃいけねぇってだけだろ?・・・・触っちゃいけねぇとは聞いてねぇ」

「や、いやだぁ!」

「轡かませろ!」



「ふぐぅっ!」





(力が・・・全然適わない・・・・・・・父上!!!)







「あんた、いつの間に結婚したんだ?暗部の総領が嫁を貰ったとなりゃ、俺らまで響いてきそうなもんだがな」

「答える必要はない」

「ふん・・・まぁ、いいさ。石火の如きあんたも、愛娘が危機とあっちゃあ、動けねぇだろ」

「・・・遺言は手短にしろよ。生かして帰さんぞ」


「てめぇこそな!」

「・・・という訳で、明日早くに発つ事になりまして。今まで本当にお世話になりました」

「そうかぁ。気をつけてな」

「寂しくなるのう。また寄っておいで」

「はい。皆さんもどうかお元気で」


「旦那、明日は早いって何時頃だい」

「そうだな。日の出の少し前くらいには出るつもりだ。見送りは不要だぞ?」

「いや、うちの母ちゃんがどうしても見送りてぇらしいんだ。娘が出来たって喜んでたからよぉ」

「・・・・その節は本当に世話になったな。あのドレスを貸してくれたんだろう。大事なものだろうに」

「いや、いいって。一番はしゃいだのは母ちゃん自身だからな。・・・・見たのか、シーダちゃん」

「見せに来た。でも、俺にじゃないだろって気もしたがな」




「そうかぁ。はは、そう言うなよ。旦那に見せたらって母ちゃんが言った時、本当にいい顔したぜ?」




「・・・・俺は父親だぞ」

「関係ないんじゃねぇか?本人がそう思ったんなら」




「娘が懐いてくれるのは期限付きだって聞くからな。今を大事にするこった!」









「あの子がよくても、俺には良くないんだよ・・・」








「・・・おばさん、こんなに早い時間にごめんなさい。お礼も全然出来ていないのに」

「いいんだよ。気をつけて行ってくるんだよ」

「はい・・・ドレスも、本当にありがとう」

「シーダちゃん、また戻っておいで。そして、幸せになるんだよ」



「・・・・ありがとう」






「シーダ」

「はい、今行きます」








「・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・」




「・・・おい」「あの・・・」




「・・・・何だ」

「父上が先に」

「・・・・たいしたことじゃない」

「私もです」

「そうか」






「・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・」


(父上、何も言わない・・・・)






(おかしい・・・・そろそろ行商師団とすれ違ってもいい頃だというのに、物音すらしないとは。嫌な予感がする)



ドクン



(この嫌な感じは)

 


ドクン



(・・・・・殺気!)




ビュンッ   ・・・・・ザクッ!




「「!!!」」





「シーダ!」

「父上!?」




「今日は商人ばっかりあたるなぁ」

「さっきの隊列でお腹一杯だってのによ~」

「小銭儲け日和だ!」

「女は上玉だ、売り飛ばしゃあいい金になる!」

「へへへっ」



「シーダ、大丈夫か」

「平気です。父上、・・・私を庇った傷が・・・・」

「擦り傷だ。それより・・・・相手の数が多いようだな」

「はい。一瞬で囲まれました・・・・父上は下がって。私が戦います」

「生意気言うな。お前1人で何が出来る!」

「今、キュアを」

「要らん!」



ポワァ・・・・



「おい!」

「私だってもう1人前なんです。いつまでも子供扱いしないで下さい」

「なに・・・?」


(子供じゃない・・・)




(きっとこれしか方法がない)




(うすうす分かっていた・・・・きっと私は)





「ふん、お前はいつまで経っても子供だよ。でしゃばって怪我されたら困るからな」

「父上・・・私は」


【お前らぁ!女を捕まえるんだ!男は殺しちまえ!!】





ザシュッ!

ギィン!!




「・・・お前等。誰を捕まえて誰を殺すって?あんまり俺を怒らせるなよ」


ブシュッ!

・・・ザンッ!!!




「・・・・シーダには指一本触れさせん」


「父上!?」




ビュン!

ザシュッ!! ギン!!





「な、何だこの男!傭兵か!??」

「子連れの傭兵なんかいるか!どう見たって商人だろう!」



「・・・・商人のくせに、この強さは半端じゃねぇ。お頭・・・」

「ああ。俺の記憶に間違いがなければだが、あいつぁロストールの密偵だ」

「・・・はい?」

「・・・タッチストーンって聞いたことあるか」

「へい。確か女王エリスの駒で、テジャワのクーデターん時に貴族側に偽情報流したって・・・」

「ま、まさかお頭!」

「俺ぁ、たった1回だけだが、そのタッチストーンと戦がぶつかっちまってな。・・・きっと、間違いねぇ」




(ただ、俺の知っているフリントはかなり危ねぇ男だ。睨まれただけで竦んじまう。・・・結婚したとも聞いちゃいねぇ)





「俺が出る」

「お頭!!?」