メディアによる情報が至る所にある日本では、
"死者数何万人"
"被害者数何万人"
こんな言い回しは耳が腐るほど聞いたことがあると思います。
わたしもそのひとりです。
しかし正直なところ、
わたしが日々過ごしている世界はとてもちっぽけで
遠く離れた途上国でたとえ大きな事件が起きたとしても
それを実感し、心震えることはほとんどありません。
けれども日本には、
いつも頼りにしている家族がいて
考えを分かち合えるまでとことん話せる仲間がいて
そんなかけがえのないみんなに何かあったらとかんがえたら、
何を犠牲にしてでも動けると思うのです。
同じ空気を吸って、
同じ言語を話して、
同じ生活環境で育って、
傷付けあって、笑いあって、
心の距離が近いぶん、
そのひとのためにやりたいと思えることは増えてゆくのです。
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昨日わたしたちは、キリングフィールドとトゥールスレン収容所の跡地を訪れました。
今でも残る拷問されていた人々の血の跡
殺されたすべてのひとのポートフォリオ
実際に人々が埋められていた穴の跡
すべてが生々しくぞっとさせられました。
鳥肌が止まりませんでした。
なぜかって、それはわたしたちと同じ人間対人間から生まれた出来事であるということを身を持って感じたから。
わたしたちの親の世代が生まれた頃
決してまだ昔とは言い切れないほど近い時代の話です。
しかしもうそこには誰も生きていないのに、
なんだかその時の緊張感さえも感じられるような
その時の情景が蘇るのだと思わせるような
そんな気持ちになりました。
はじめて、
日本からは遠く離れた国の
今は生きていない関わりのないひとびとのことで
胸が締め付けられました。
自らの足で訪れたことによって
日本からは遠く離れたカンボジアに
心の距離が近付いた気がしました。
【1年イベント局永島由梨】