問題啓発とは | 学生団体S.A.L. Official blog

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慶應義塾大学公認の国際協力団体S.A.L.の公式ブログです。

はじめまして。今回ブログを担当する経済学部1年の染野 将哉です。

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皆さんはこの写真を見たことがありますか?またこの写真の場所がどこだかわかりますか?



この写真に写っているのはイスラエルとパレスチナのヨルダン川西岸地区を分離する分離壁、そしてそこに落書きされた絵です。

※分離壁とはイスラエルのシャロン元首相が構想したもので、イスラエル政府はテロ防止のための防壁だとしているが、実際はイスラエルがパレスチナ人の人口密度の高い地区を物理的に分離するために建設が進められている壁だとされています。全長は790kmに達する予定で2007年末の時点では約400kmが完成しています。この壁の存在によってパレスチナ人の行動が制限されておりイスラエルは国際的な非難を浴びています。

この分離壁に絵を描いたのはバンクシーという人物で、本名・年齢は公開されておらず素顔すら公開していません。

バンクシーは2005年8月にこの地を訪れこの絵を分離壁に描きました。スポークスマンによると彼はイスラエルの兵士に銃を向けられても絵を描き続けたそうです。



私はバンクシーがどのような考えを持って分離壁に絵を描いたのかはわかりませんが、彼が分離壁に絵を描いたことはBBC(英国放送協会)などでも取り挙げられました。彼のこの行為によって分離壁の存在を知ったという人もいるはずです。つまりバンクシーの真意がどうあれこの行為は確実に問題の啓発になっているように私は思います。

私は今まで問題の啓発をするにはその問題に関する言葉による説明、そしてどのような現状があるかの写真、動画などの提供が必要だと思っていました。ですが、バンクシーの行為は自分は絵を描くだけでそれ以外何もしていません。そして彼の行為が絵を描いただけである以上興味を持った人は自分で調べるほかありません。

バンクシーのマネをすることはできませんが、こちらから「こんな問題がある」「こんなことが現実に起こっている、なぜならこうだから」ということだけを言うのだけではなく、「なぜこんなことが起こるのだろう?」と疑問に感じ自分から積極的に問題を意識してくれるような啓発の仕方が考えられたらと思います。