こんにちは。今日ブログ担当を務めます代表の重田竣平です。
各大学とも、目下試験シーズンで各所から大学生の悲鳴が聞こえてきますね。
僕も絶賛スクリームなう、です。
我がSALは向学心の高いメンバー揃いですが、それでもやはり試験への畏怖はなかなか拭い去れません。レジュメや資料の量に圧倒される最中に、「俺、なんで勉強してるの?なんの意味があるの?」のような哲学的な思考に耽ることもしばしば。
そこで今日は「なぜ勉強するのか?」ということを僕なりに考えてみたいと思います。
その理由は多々あると思いますが、あえてひとつあげるとするならば、それは
「私たちのもつ価値が、相対的であることを自覚するため」
ということに尽きると思います。
僕ははっきり言って自分の学ぶ政治学に関して言えば、試験のために覚えた膨大な知識は、試験終了とともに水平線の向こう側に発射する気概で勉強しています。それは政治学の学習において抽出すべき最も重要なエッセンスは、知識ではなく、「相対性の自覚」にあるからです。
殊に政治学は、法曹や経営者、その他諸々の研究員になるためのようなある種職業訓練的な学習とは性質を異にして、将来に生きてくるような知識を吸収していないことが多いと思います。それでも大学4年間で学ぶ意義を見出さない限りは、私が今ここで学ぶ意味が問われてしまいます。
その学ぶ意味が「相対性の自覚」にあると僕は考えています。
「相対性の自覚」とは何か?
それはつまり、今自分の内面世界ないし自分が置かれている世界を支配しているあらゆる価値前提が、所与のものでなく、膨大の議論の上にある「勝者」たる価値であることを感じるということです。私の持っている価値、理論はワン・ベスト・ウェイではなく、ワン・オブ・ザ・ベター・ウェイズに過ぎない、ということです。
政治学の試験勉強の主な作業行程は、あらゆる学者のあらゆるロジックの要点を整理し、まとめて、共通点や相違点、論点を統括していくことにあります。
その中で繰り返し私たちに向けられる強烈なメッセージこそが、相対性の自覚です。
私たちの生活を規律する法律、行政の志向・ルール、経済政策、生活風俗、民主主義それ自体が、あらゆる価値をめぐる議論の上にあるものであること。
これは当たり前のことに思えますが、これらが絶対的でなく、相対的であることを肌感覚で認識するためには、やはり実例を学ぶことで「複眼的思考」を養っていく必要があります。
ではこの相対性の自覚、というものが、どのように自らの人生観や社会観に生きてくるのかといえば、これはもちろん国際協力を考える上でも最も大事な視座の一つとしてとらえることが可能です。
国際協力が実行過程に移る際、その目的と手段、手段の正当性を担保する現場のニーズないしロジック、支援する側のロジック、これらは可能な限り統合されるべきであって、この統合の過程こそが「国際協力社会」の躍動感の源泉であるように思います。
しかしこの過程は、各々が自らのロジックをワン・ベスト・ウェイと自負するような人間によって行われるようでは、スムーズな施行は甚だ困難であると思います。
自分のもっている価値が、所与でないこと、絶対的でないことを理解する、ということの大切さ。心を広くもって、他の価値を許容していく過程。「当たり前」を破壊する。
繰り返しになりますが、これは単純であって、かつ案外獲得の難しいことでもあります。
また、逆説的ではありますが、これは机上の勉強のみで得られることではないということも明らかです。それでも、大学における能動的な学習の過程には、こんな一面があるんじゃないかな、と僕は思います。
これは地域研究や政治思想をほんの少しかじった僕の主観ですし、一例にすぎませんが。。。
議論の収拾をつけるために、太宰治のこんな言葉を載せておきます。
「勉強というものは、いいものだ。代数や幾何の勉強が、学校を卒業してしまえば、もう何の役にも立たないものだと思っている人もあるようだが、大間違いだ。植物でも、動物でも、物理でも化学でも、時間のゆるす限り勉強して置かなければならん。日常の生活に直接役に立たないような勉強こそ、将来、君たちの人格を完成させるのだ。
何も自分の知識を誇る必要はない。勉強して、それから、けろりと忘れてもいいんだ。
覚えるということが大事なのではなくて、大事なのは、カルチベートされるということなんだ。カルチュアというのは、公式や単語をたくさん暗記している事でなくて、心を広く持つという事なんだ。つまり、愛するという事を知る事だ。」
相対性の自覚、というのは要するに「カルチベート」という言葉に置き換えても差し支えないのでしょうか?
大学受験シーズン、大学は期末試験シーズンで辛い辛いと嘆きがちですが、ふと立ち返ってこんなことを考えてみると、案外やる気が盛り返してくるかもしれませんね。
SALのブログを書く機会はなかなか回ってこないので、本当はもっといろいろ書きたかったのですが、そろそろ勉強に帰ることにします。。。
それでは、人生の楽園:大学の長期休暇に向かって頑張っていきましょう!
P.S.
僕は母校の高校生たちを引率して、カンボジアにいってきます!
もう4度目になりますが、それでもまだまだ楽しみです。
[代表:重田竣平]