ジャーナリズム | 学生団体S.A.L. Official blog

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慶應義塾大学公認の国際協力団体S.A.L.の公式ブログです。

こんにちは、冨吉です。

今回は国際問題というより、ジャーナリズムに関しての色が濃いかもしれません。
S.A.L.の中で、広報という立場で活動していて、ジャーナリズムについて考えるようになりました。そんな中で知った衝撃の事実、そこから思ったことを書いてみました。



2003年イラク戦争。
鮮明に記憶に残っている初めての戦争だ。

イラク戦争が始まってから、新聞は、イギリスの「タイムズ」紙など大手新聞の多くを含め、理由のはっきりしないこの戦争を支持している記事ばかりだった、という。

そして、その裏側には人的操作があった。

「タイムズ」紙は80年代の共和党支持のメディア王、ルパート・マードック氏に買収された。彼がイラク戦争開戦直前に、世界中に所有する新聞173紙の社説欄担当者に、この戦争を支持する社説を書くように指示していたのだ。
※イラク戦争…共和党のブッシュ元大統領の政策。共和党を支持するためマードック氏は、共和党のこの政策にも賛同したと考えられる。

私は日本のニュースでイラクの町々が壊れ、一般市民が傷つけられていくのを見ていただけだった。一部では「人間の盾」やその他戦争反対を訴える運動が報道されたが、アメリカ国民の世論は戦争賛成だった、と記憶している。

こうしたアメリカ世論の背後には、先述のようにメディアの上層部の影響があった。
また、アメリカのテレビ解説者は一見客観的な発言をしているように見えるが背後で、国防省の情報操作が行われている、と言われている。

表現の自由が、上(ここでは取締役や国など)からの圧力、意図で捻じ曲げられてしまっているのだ。

マードック氏は「編集への干渉を避けたいなら利益を出せ」、「ニュースは流すものではなく作るものだ」など、商業メディアのポリシーをも公言していて、その姿勢に国内のジャーナリスト達からの批判も多い。


正確な報道をする、事実を伝える、というのがジャーナリズムの役目だとするなら、
あくまで中立公平な態度ととるべきではないのか。
報道する側の政治観、宗教を反映させるべきではない。
確かに、問題意識や着眼点というのは、それぞれの価値観によるところが大きいが、事実は事実としてフェアに伝えられるはずのものではないのか。
個人的なスタンス、感想、意見とははっきり分けて。


イラク戦争で失われたのは、多くの市民の命、そして「ジャーナリズム」といえるかもしれない。




参考文献
・「ルポ貧困大国アメリカ」岩波新書、堤未果
・クーリエ・ジャポン2009年7月号、講談社