宮大工の世界では、一人前になったと見なすのはカンナ屑を見て判断するらしい。
弟子入りした大工さんの卵が、最初に先輩からカンナ屑を渡され、
「これと同じようなカンナ屑を作りなさい」
それは考えられないくらい薄く、カンナ屑を通して向う側が見えるとの事。
同じようなカンナ屑を作るためには、カンナの刃を研ぐ必要もあり2~3年はかかるらしい。
朝から晩までせっせとカンナ屑をたくさん作りながら、やがてカンナ屑の厚さ(薄さ?)が先輩に認められると合格。
ただそれまでにカンナの刃を研いだりしているうちに、先輩がどんな作業をしているのか見当がついてきます。
又先輩大工さんが一日の作業を終え帰ってきた時に、その日持って行った大工道具を研いで仕舞います。
「今日のAチームは仏像が主で・・・・・・」と今日の仕事を思い浮かべ、こんな道具が必要だったんだなと学びます。
日にちが経過するたびに、何百種類もある道具のどれを使うのか把握していきます。
こうして先輩の今日一日の作業内容からみて、どんな工事にはどんな道具が必要か、何を持っていくのか分かってきます。
師匠がその様子を見ています。
そうしてある日突然お寺の修理の責任者に抜擢され、不安な気持ちを抱きながら何とかこなし一人前になっていくとの事。
何と素晴らしい宮大工の教育方法と思いませんか?
三國シェフが二十歳そこそこでスイス大使館の料理責任者になったキッカケは、
当時若き三國シェフが勤めていた帝国ホテルの総料理長の判断によります。
その頃村上総料理長はNHKの料理番組に出演中で、食材の準備に立候補したのが若き日の三國さん
メニューがわかった段階で、料理を出すまでの時間を予想して塩を振るのが三國さんの仕事。
それを黙って見ていたのが村上総料理長、やがてスイスの日本大使館の料理長に三國さんを指名します。
三國さん、それまで料理を作ってお客様に召し上がっていただく経験は無かったのです。
最初はスイス大使館の責任者は三國さんを不安視していました。
ところが三國さんが着任していくらも経たないうちに、三國さんの熱心さと手腕に驚きます。
休みには車で有名レストランを巡り料理の勉強を継続、ほとんどのVIPがスイス大使館にお越しになっても主賓の好きな料理を提供するまでに勉強しました。
やがて人事異動の時期になり、スイス大使は三國さんを異動させないでくれ、との強い希望を表明します。
さてそこであなたはホテルの営業部隊の責任者です。
人事異動の際、どんな若い衆を営業にしますか?
その根拠は何ですか?
私も人事異動の度に頭を悩ませました。
成功も失敗もありました。
ただ失敗をしないためにはどうしたらいいでしょうか?
今日の宿題です。
勿論正解はないと思いますが失敗しないための判断の基準は何でしょうか?
伊東なりの判断基準は勿論あります。
そのうちにご披露しますがそれまでみんな一所懸命に考えてね。
本日はこれにて終了、又ね。