将棋とチェス | 営業は科学だ!  Welcome to the Science of Sales

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先週、将棋の羽生善治四冠とチェスの元世界王者カスパロフさんがチェスで対戦しました。

ご存知のように、羽生さんはかつて将棋の主要タイトル7つをすべて同時期に獲得し、史上ただ一人の七冠王となった超一流棋士です。今も四冠です。
チェスは、将棋のプロとなった後二十代で覚えたそうですが、今年の9月にはなんとチェス日本一を破っています。
対するカスパロフさんは世界チャンピオンを15年間保持した強豪です。

結果は2戦してカスパロフさんの2勝で終わりました。順当な結果だとは思います。

将棋とチェスは似ていますが、最も大きな違いは日本の将棋は取った駒を相手側が使えることでしょう。
羽生さんも対局後この違いを述べて特に終盤での戦い方が異なってくると言っていました。

昔この日本の将棋を評した欧米人が「捕虜が寝返るルールで卑怯だ」と言ったそうです。第二次世界大戦の頃の話だと思います。
なるほど、軍隊による戦争と考えると確かにその評は一理あるかとも思います。

ところがある本で以下のようなことを読みました。たしか「逆説の日本史」だったと思います。第何巻かは忘れましたが。
将棋の駒は兵隊ではなくて、財産、財宝だということです。
王将はともかく、金、銀は明らかに財宝です。桂馬は桂皮(シナモン)と馬、昔は高価なものでした。香車は香木と車、これも財産ですね。歩は一歩銀などというように貨幣を表すようです。
ですから将棋は軍隊の戦争ではなく、経済戦争だそうです。

将棋や囲碁では駒や石を「捨てる」という戦術があります。これが出来ないようでは強くなれません。
以前私も駒や石を兵隊だと思っていた時は、軍を率いるリーダーは兵隊を平気で見殺しにする残酷なものなのかと思っていました。
しかし経済戦争だと考えると、「捨てる」ということは単に先行投資した財産にこだわらずにさらに大きな利得を得る戦術だと理解できます。別に残酷でも何でもありません。

昔から、将棋や囲碁が武将や政治家、経営者の嗜みとして言われていますが、確かに将棋や囲碁の考え方は役に立つ気がします。
この「捨てる」と言うこと一つとってみても、「海老で鯛を釣る」的な小さい投資で大きな効果を得る、あるいは以前の着手に固執しない、あるいは先行投資には割り切りが必要などといった含蓄があると思います。

営業やマーケティングに携わっている人にも、この「捨てる」という発想が持てない人がいますね。大局的な判断ではなく近視眼的に損得を考えてしまう人です。これでは有段者にはなれないですね。

余談ですが、スケートの羽生選手は「はにゅう」と読み、将棋の羽生四冠は「はぶ」と読むのですね。固有名詞は難しいです。