さて、営業にとって正確で分かりやすい説明力が重要であることはお分かりだと思います。
まず、分かりやすい説明の正反対の例をご紹介しましょう。
学校の授業で先生がずっと下を向いて教科書をただダラダラと読んでいるだけ。
ほとんどの皆さんがウトウトとしてしまったご経験があるのではないでしょうか。
100人以上入るような大きな講義室でこれをされてはたまったものじゃありません。寝るな、と言うほうが無理でしょう。
いくら内容が良くてもこの話し方はいただけません。
ですから重要なのは、「書いているものを読みあげるな!」です。
「書いているものを読む」とは「朗読」と言えるかもしれません。しかし、朗読で人を引き付けるのは俳優など訓練を受けた人でないと非常に難しいのです。
自分の言葉で語りかける方がずっと他人は耳を傾けてくれます。
式典などのスピーチで原稿を取り出して読む人もよく見かけますが、あれも同様にいけません。
営業ならば、パンフレットを説明するのに書いてあることを読みあげてしまう、これもいけません。
では実際どのようにすれば分かりやすい説明力が身につくのでしょうか。
私は「話し方教室」の通信講座を受講したことがあります。数年してからまた別の講座を受講しました。
どちらもとても役に立ちました。
皆さんも機会があれば受講されることをお勧めします。
と、これで終わってはいけませんね。
それらの講座では課題を与えられてそれを録音し、添削して返してくれます。教科書も良く出来てはいましたが、それ以上にこの課題と添削が役立ちました。記憶に残っている課題では、「あなたが今いる部屋の様子を説明しなさい。」というのと「今度自宅に来ることになった友人の留守番電話に最寄りの駅からの道筋を録音しなさい。」というのがありました。
そしてもうひとつ、アナウンサー特にスポーツ実況のアナウンサーが若い頃実況の練習をするのに、乗っている電車の窓から見える光景を小声で実況するというのも読んだことがあります。
これらを合わせて私の練習法は、一枚の写真(あるいは絵)に写っているものを説明するのです。アナウンサーではないので動画の実況までする必要はありません。静止画で十分です。この説明で他人がその写真を頭にイメージできるかどうかです。他人に聞いてもらって確認するのもいいですし、録音して自分で聞きなおしてもいいです。
この練習によって描写力を磨くことが出来ます。
なお余談ですが、この方法は英語の勉強にも使えます。最初は単純な文を並べることしかできませんが、練習するとだんだんと関係代名詞のthatやwhichを使って文をくっつけて複雑でセンスの良い文章が作れるようになります。私は今でも久しぶりに英語を使う必要ができた時はこの練習を行います。
さてこれで描写力がついてきたら、いよいよ営業としての説明力を高めましょう。
先程は、パンフレットを読みあげてはいけないと言いました。
今度の練習は自分の言葉でパンフレットにある写真や図やグラフを説明してみましょう。
さて簡単な方法ですが、これを続けると説明力は飛躍的に向上します。だまされたと思って是非やってみてください。
腹筋運動や腕立て伏せと同じです。やり方は難しくありませんが、継続していると差が出てきます。
プレゼンテーションについても簡単に述べておきます。
パワーポイントの資料を使ってプレゼンテーションをすることが多いと思います。
多くの人の資料は一ページに内容を詰め込みすぎです。特に文章。
こういうものは結局資料を読みあげることになってしまいます。また聞き手も資料を読む方に注意が向かってしまい話を聞かなくなります。
限られた写真や図やグラフのみにするように心がけるとプレゼンテーションも上手くなりますよ。
同様にお客様に対しての商品説明ですが、会社作成のお仕着せのパンフレットしか用意していない営業が多いようですね。
これも文章が多く説明には向きません。自分が説明する時にはキーワードや写真や図やグラフの見やすい資料を別途作って説明した方が良いでしょう。パンフレットはお客様が持ち帰って読み直すものと思ってください。説明が下手だとゴミ箱に直行すると覚悟しましょう。