期末に取り逃がしてしまう案件   「不急」 | 営業は科学だ!  Welcome to the Science of Sales

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3K(勘、経験、気合)で語られる営業ではなく理論的に体系だった手法により、第一線のセールスのスキル向上とともに適切な部下の指導や業績管理を行い会社に貢献できる管理職、経営者の一助となる。

営業の管理者にとって期末(月末や四半期末や年度末)の直前になって大口の見込み案件が取れなくなってしまうことは極めて大きな問題です。経営者からの管理者としての信頼を失うのはもちろんのこと、資金繰りなどの経営面への影響も大きなものとなります。

私の経験です。
大口の受注を見込んでいた案件がありました。担当の営業に状況を確認してみると稟議書はすでに上がっている。あとはお客様社内の手続きだけなのであと1週間、長くて2週間で契約書が頂けるという報告でした。
四半期末が近づいてきます。この案件がこの四半期では最大の案件です。
担当の営業に再度確認しても、「稟議書は部長から常務に上がっている。あとはお客様の社内手続きだけ。」との回答です。
ところが期末の3日前になって「お客様の常務が急遽海外出張に出かけられた。そのため役員会に稟議がかけられない。今期の受注は無理です。」と担当営業からの報告がありました。

これは典型的な「不急」です。
稟議書を上げたということは「不信」、「不要」、「不適」は払拭されているわけです。いや、購入時期についてなら「不急」もクリアーしていたのかもしれません。しかし契約書を頂くことが重要なケース、すなわち受注残が販売側企業にとって大きな意味を持つ場合には契約時期についての「不急」も解決しておかなくてはなりません。
お客様の部長さんにとっては、稟議書をあげているのだからするべきことはした、とお考えでしょう。いつ契約しても一緒だとお思いだったのでしょう。
担当営業も自社にとって今期中の受注が重要であることを認識していなかったようです。

お客様にとっては業者の営業活動に対して迅速に対応する義務など毛頭ありません。ですからいかに重要なことでも「不急」として取り扱われることが多いのです。したがって営業はお客様のご決断に期限を設けるように仕向けなければいけません。
一番ポピュラーなのは見積もりの有効期限です。この特別値引きはいついつまでの契約に限り有効であるということを明確に理解していただくことです。逆に年柄年中値引きばかりしているとこの手法は使えません。値引きには十分な注意が必要です。

私自身の反省として、直接お客様に赴き「四つの不」が本当にクリアーになっているかを管理職自身が確認することを怠ったことが失敗の原因です。

またこのケースでは担当営業の心構えについても改善すべき点がありました。
それについては稿を改めて述べたいと思います。