独身の頃、女性が男性のパートナーを選ぶ時のアドバイスとしてこんなことを聞いた。

 

「男性(息子)とお母さんの関係をチェックすること、なぜなら、その関係が女性のパートナーとの関係に反映する場合が多いから。つまり、お母さんとの関係が良好またはお母さんを敬っている場合は、女性のパートナーに対しても同じような関係が築けるからである。その逆の場合は要注意ドクロ。」

 

それを聞いた時は「へぇー、なるほど」と思ったがそれほど真剣には捉えなかった汗

 

後の私の旦那は母親との関係は良くなかった。どちらかというと、母親を批判し、恥ずかしく思い、心を閉ざしていた。彼がどうしてそう思うか私も共感する所があったので、なんなら一緒に文句を言っていたほうだ。彼のお母さんは良く言えば、裏表がない、悪く言えば、思ったことをズケズケ言う。人の意見を聞かない。だから、旦那も私も彼女との会話が成り立たず結局、自分の意見は言えずに聞き役に徹することになる。

 

去年の夏、娘と旦那で彼のお母さんの所へ1週間ほど滞在した。帰ってきてから娘にどうだった?っと聞いたら娘がため息混じりで、「もう、おばあちゃんとお父さん喧嘩して。おばあちゃん耳が遠いから、余計大きな声で言い合って。最後はお父さん部屋に閉じこもってうんざりしていたよゲッソリ

 

それを聞いた時に、一瞬、旦那に罵倒されておばあちゃんのように虐げられている年老いた私の姿が頭によぎった。そして「逃げろ」という声も。その時はもう別居して離婚に向かっての話し合いが進んでいたが、ちょっと背筋がぞっとするほど現実的で衝撃だった叫び

 

何がどんな理由でそう思ったのかわからないが、潜在的に旦那の態度にストレスを持っていたのだろう。旦那を責めるわけではないが、彼も私に対して思うことがあって、知らず知らずのうちに態度がキツくなることもあったのだろう。

 

その話を電話で何気なく私の姉に話をしたら、姉は「そのシナリオだったら、あんたが旦那を罵倒して、旦那が虐げられている老後かと思ったよ笑い泣き」って。それを聞いた時に、はっとし、胸が突き刺されたように痛んだ。私が被害者のような意識だったが、実は私も彼のお母さんのように自分の言いたいことを彼にぶつけて、彼は言いたいことも言えずに我慢していたのだった。

二人が別れることになったのは、彼が言い出したことだったが、私もそうなるまでになんらかの形で彼を傷つけていたのだ。

 

英語で "Takes two"  と言うが、日本語だと喧嘩両成敗なのだろう。

 

人は家族という小さな社会の中で他人との関わり方を学ぶ。それは異性に対する接し方も同じだ。父親や母親は一番最初に接する異性なのだから、そこで身についた対人方法がその人に影響する。彼は母親との争いを避ける為に黙って自分の言いたいことを我慢した。それが、自分が生き残る為の術であり、お母さんを傷つけない為の愛だったのだ。それが悪いとかの問題ではなく、ただ単に泳げない人や自転車が乗れない人と同じように、どう健全なコミュニケーションすればいいのかわからないだけである。

 

うーん、そう思ったら、彼に対する怒りが少し減ったような気がするうーん

 

でも、今後新しいパートナーに出会うチャンスがあったら、もちろん「お母さんと仲良い?」って聞くよドキドキ