毎日が、楽しかった。


仕事をしていても、

家事をしていても、

頭の中は、


「これは、よっちゃんに話さないと…」


という言葉が、必ずよぎっていた。



そして、その日あった印象的なことを

よっちゃんのメールに

したためることが

日課になっていた。



よっちゃんは、そんなメールに

ひとつ、ひとつ丁寧に返事を書いてくれた。


そのころには、最初感じた、軽さは、すっかり消えていた。


メールの中で、

私は、よっちゃんを

いつしか

「おにいちゃん」とよんでいた。


そして、互いに、

自分の生い立ちや

今の立場など、

包み隠さず話していた。



不思議だった。


自分のことを明かす必要がないことが

メル友募集のサイトを利用した

一番の理由だった。


住んでいるところも、

年齢も、

何もかもを、嘘でかためたままで

しらを切りとおし、

メールを交換することもできたはずだった。



だが、私は、それができなかった。



よっちゃんが、自分のことを、

あっけらかんと、語ってくれると、

なぜか、自分も、語りたくなってしまったのだ。


そして、自分のことを、

よっちゃんに知ってほしいという欲求が高まっていた。



私が書く、毎日のメールの長さは、

だんだんと長くなっていた。



そして、その作業は、深夜2時、3時まで

続くことになった。



それでも、メールを書くことだけが

その時の私にとっては

唯一の楽しみで、

生きがいだった。



そして、毎日の出来事を

主人に語ることは、だんだん、少なくなっていた。