台風11号 | junとさらくのブログ

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さらくSALAKUは船名です。

 

 

 今月5日、長崎に押し寄せた大波

 

 

 

 近くの道路が通行止めになり、避難所には海岸近くに住む人たちが来て、翌日朝まで過ごした。

 

 11号が最接近した6日午前3時頃、トイレに行くいつもの習慣で目が覚めた。風の音がすごいので、いったいどれくらいの風が吹いているのかスマホのマリントラフィックを開いてみた。前夜、長崎港沖に錨泊中の船の動きが少し気になっていたせいもあった。

 

 マリトラは世界中のAIS(船舶位置自動表示システム)を搭載する船舶の動きがかなりわかるアプリだ。このスマホの画面は五島灘を中心とした海域で、右上に佐世保港が、左側には五島列島の一部が表示されている。

 

 知り合いに「ちょうかい」さんという人がいるが、このChokaiはひょっとしてイージス艦か?いやそんなことはないだろう、自衛艦は普段AISの電波を出さないようにしている。

 

 

 しかし矢印のアイコンをクリックすると、出ましたイージス艦。背景は三菱重工長崎造船所だな。だがこれはシンボリックな写真で、実際に長崎港にいるわけではない。

 

 いつもは佐世保港を基地にしている「ちょうかい」が、有川湾に避難していることがわかった。佐世保沖を拡大してみると、他にも自衛艦数隻が低速で走っていることがわかった。いずれも港内にいると強風や高潮で破損したり、他の船や港湾施設を破損させる危険があるため、広い海域に出て走りながら台風をやり過ごそうとしていたのだろう。

 

 自民党や自衛隊が言う戦後始まって以来の危機という中にあっても、超大型台風襲来からは逃げるしかなかったようだ。AISの電波を出し続けて自分の位置を公表し、他船との衝突回避に努めねばならなかった。

 

 マリトラのいいところは、船の風速風向計のデータも見られることだ。

こうしてほぼリアルタイムで海上の風の様子がわかる。風速57ノットは約28mになる。五島灘付近の4,5隻の船の情報を見た中では、新上五島町若松港に停泊中の船で61ノットというのがあった。10年くらい前に行ったきりの港だが、福岡と福江を結ぶフェリー太古が寄港するところだ。若松瀬戸を吹き抜けて来るためか、それとも山からの吹きおろしだったのか、チェックした中では最大風速だった。

 

 マリトラの情報は、時々一日前とかの古い情報が掲載されていることもあるので、いつ入った情報かを最初に確かめる必要がある。それに位置情報だけで、こうした情報を出していない船もあり、それは見てみないとわからない。

 

 

 気になっていた錨泊中の船、というのがこの船で約17万トンもの超大型船だ。おそらく定期点検か修理で長崎港沖に数日前に来て、台風を長崎港沖でやり過ごすつもりだったのだろう。

 

 錨というものは海底の泥などにうまく入り込むとよく効いて、ちょっとやそっとの風では船が動くことはないのだが、このあたりでも水深は4,50mあるため、船上からでは錨がどんな状態で海底にあるか正確にはわからない。

 

 走錨(そうびょう)といって、風が強くなって船が風下側へ動いてしまうこともある。これほど巨大な船が台風の強風と大波でそんな事態になると、体勢を整えられないまま陸地にのし上げて来ることがないとも限らない。というわけで、海の近くに住む自分としては気になっていた。

 

 ところが午前3時のマリトラ チェックで、この超大型船 Pigassos が五島灘にいることがわかった。前夜遅くのチェックでは、1ノット以下の速度で北へ向けて微妙に動いていて、南よりの風に押されて走錨しているのではと思った。

 

 おそらく走錨したか、風と波がこれ以上ひどくなると持ちこたえられなくなると船長が判断し、外海に出て自衛艦同様、低速で風と波に向かって走っていたのだろう。

 

 一旦寝て午前6時ごろまたマリトラを見たら、この船は南西方向へ向けてやはり低速で動いていた。

 

 

 これほど大きな船でも、乗組員は30人くらいではないのか。荷物を積んでいない空船だったから、大波の中でよく揺れたことだろう。

真っ暗で大荒れの海上を、一晩中ブリッジでワッチをするも大変だっただろう。

 

 この写真は台風通過後の7日に撮ったが、甲板に人の姿はなかった。皆さん疲れ切って寝ていたのではなかろうか。それでもブリッジでは誰かがワッチしていたはずだ。

 

 

 一方、イージス艦は定員が300人以上、こういう時でも全員が乗っていたのだろうか。有川沖なら五島灘よりは少し波が小さかったかもしれない。軍艦は速度を出すため細長い船型だから、横波をくらうと揺れるだろう。約7千トンだから大型の船よりは揺れたに違いない。

 

 

 

 

 台風一過の青空にさわやかな雲。十分休んで、また頑張ってください。