最早オバサンにもなれない
ひたすら孤独な日常を、ひたすら淡々と書き記そうかと思っていたけれど、それでは余りに救いがなさ過ぎます。
そこでバブルに踊らされた寂しい女の日常を、就職氷河期に社会に出ざるを得なかった、怒れる女の冷ややかな目線で、お送りします。
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愛猫

猫に寄り添って眠る休日。

この命のあたたかさを守る為だけに、自分は働いているのだろうと思う。

独りでは、いつ仕事を辞めても、いつ死んでも構わないとすら、思ってしまう。

独りでは、生きる意味など、本当はないのかもしれない。

ある程度歳を取って、何かや誰かの為に生きられない日々は、苦痛でしかない。

誰かの為に生きてみても
Tomorrow never knows

そんな歌詞に背中を押された頃もあったけれど、それはもう、いつの事だったかも、思い出せない。

にも関わらず、誰かの為に生きるよりも、一つところに留まるよりも、先へ先へと、遠くへと、動き出したい衝動に、いつも、駆られている。

先の見える人生から、逃げ出したくてもがいている。

愚か過ぎて、嘲笑うことすらできない。

初詣

風邪の予後が不良で、初詣にも行っていない。

少し無理をすると、例えば仕事の帰りに買い物をする程度でも、あっという間に風邪がぶり返す。

近くの席に座った女性の補聴器が、耳から外れてハウリングしている。キーンという、こ気味の悪い音を聞きながら、銀行に行くのを忘れたことを思い出す。

明日は土曜日、自分のお金を引き出すのに―手数料がかかる。

地元駅には、メインバンクの支店もATMもない。戻るのは疲れる。このまま電車に揺られて、終点まで行ってしまいたい気分なのに。

思えば年末、思いがけないことで失恋した。それは、「結婚前提じゃなきゃ、付き合えない」という、彼の言葉。

私にはまだまだやりたい事がある。あなたが夢を追うように、私にはまだ、行きたい場所があり、会いたい人がいて、見たい景色があり、聞きたい音がある。

辿り着きたい、場所がある。

あなたの職業は、多忙過ぎて私の自由までもを、許さないから。

そんなことを考える車内は、酷く、平和。

職場を出れば、私はただの20代の女。誰かの召し使いでも、上司でも、部下でもなく、ただの人間。

リセットしよう、明日の為に。

煙草

私は嫌煙派だ。禁煙のオフィスに、喫煙室から戻った人がまとっている「煙草の臭い」すら、不愉快に感じる。
まあ、気管支が弱いってのも、あるんだけれど。

因みにAさんも極度の嫌煙派。そこは意見が合う。

しかし彼女は今日も、無理難題を押し付けて来た。

「ねえ、あの人いつも煙草臭いじゃない、それなのになれなれしく近寄って来るのよ、耐えられない。」

「用があるときは、あなたを一度通すように言ってくれない?」

…私はお前の秘書か、と。

「そうですね…お気持ちはわかりますけど…ただ彼女は一応上司なので…。」

そう、臭いの主は女性。Aさんとあまり歳の変わらない、私たちの上司。

つまり、ただ気に食わないのだ。煙草云々は後付け。証拠に、ヘビースモーカーの学生バイト君が、彼女の隣に座ってくだらない下ネタを披露していても、楽しそうに笑っているだけ。これをもし、こ汚い男性社員なんかがやろうもんなら、セクハラで閑職においやるんだろう。

「上司だからって…正しいことは言わなきゃだめなのよ、そうでしょ?」

「…そうですねえ…。」

「とにかく、

私は鬱なんだから。」

出たよ、決めゼリフ。