| 「頼みがあります・・・・今は仕事中ですので、折り返し私のほうから連絡します。」 そう言い、弟は電話を切り仕事へ就いた。 夜も更けた頃、私は弟からの電話を待っていた。 時計の針は、「3」を通り過ぎていた。 プルルルルル・・・・・ プルルルルル・・・・・ 「お姉ちゃん・・・・・ 実は、一緒に住んで欲しいっちゃん。」 母と共同生活していた弟は、強制退去後、公園を住居にしていた。 風呂は、お店のシャワー、それ以外は・・・至る所の公園。 そういえば・・・・・ 離別した後、弟は母の愛人のおいちゃんに家を追い出され・・・ 母の知り合いの家を盥回しにされた。 というより預かってもらっていたのだが、あまりにも扱いにくく、面倒ごとが多かったらしく同居を拒否された。 弟は、最終的に野宿生活を余儀なくされた。 ボロイ廃墟となった空き家を住処としていた。 水道も、ガスも、電気も通っていない。 そこで蝋燭生活をしていた矢先だった。 うたた寝をし、空き家を全焼。 自分で通報したが、パニックになり一旦逃げたらしい。 が、様子が気になり焼け跡現場に戻った・・・・ その悪いタイミングで職務質問。 結果、 「不審人物」 として警察署へ。 彼は前科があった・・・万引きという「窃盗罪」 ・・・しかし、弟の人柄を受け入れてくれた良心的な警察官により厳重注意で治まった。 そして、今回は「器物損壊罪」。 保護者として母が呼び出された。 母は、自分の息子が野宿しざるを得なかった経過を全て警察へ訴えた。もちろん、警察側へ前科の情報は流れている。 「お母さん、そういう事情でしたら仕方ないです・・・・ 私たちもヒトの子ですし、情はあります。 お母さんのお気持ちお察しします・・・・」 そういうと、少年院から社会復帰出来るように設けられた 「青少年支援センター(仮名)」 への紹介状を頂いた。 「息子さん、心の優しい子ですから大事にしてあげてください」 いい警察官もいるものだなと思った。 ・・・・・・。 弟の話を聞いていると、ふと このことを思い出してしまった。 「ボクは、保証人が居ないのでお姉ちゃんが借りた家に住まわせてください。家賃は半分出します。 仕事は、僕がやっているお店の受付しませんか? 月収手取りで約27万稼げます。お姉ちゃんがその気であれば、社長に話しを通しておきますので・・・」 約7年ぶりに弟と一緒に生活・・・・ 月収27万!! 今の昼の仕事は・・・・やっと、落ち着いたのに? 私の夢は・・・・やりたいことは・・・どうすんの? 0からやり直すと決めた父との2人暮らしは・・・・見捨てるの? やっと、軌道にのったダンスは・・・・諦められるの? 「我が、我が!」 と主張する思いが収集つかない。 ・・・・逃げ出したい。 私はまだ若い。やりたいことがある・・・ なんだ、この現状は。 誰に話したらいいのか・・・・ 話す相手が居なかった。 相談する相手が居なかった。 話しても、相談を受けた相手が困っていた。 「それなら相談しない方がいい・・・」 そう思った。 この現状・・・抜け出したい。 私は、受付の面接を受けることにした。 続く。 |