労働基準法の解説ー休憩時間、労働時間、解雇、退職、残業など -32ページ目

著作権の譲渡を受ける場合の契約書の書き方について

Q 弊社では弊社商品を広告、宣伝するため、イラストレーターに依頼してキャラクターのイラストを作ってもらう予定です。イラストレーターとの契約書を確認したところ、「本イラストの著作権は代金完済時に甲(イラストレーター)から乙(弊社)に移転する」と書いてありました。弊社がイラストの著作権を取得するためにはこの条項で十分なのでしょうか。


A 現在の契約書の条項では十分ではありません。
 「1 本イラストの著作権は代金完済時に甲から乙に移転する。
  2 前項で移転する著作権には著作権法27条及び28条の権利を含む。
  3 甲は乙に対し本イラストについて著作者人格権を行使しない。」
 としておくことをおすすめします。

  著作権法61条2項という条文があり、「著作権を譲渡する契約において、第27条又は第28条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。」と規定しています。
  わかりにくい条文ですが、要するに契約書に単に「著作権が移転する」と書いただけでは、著作権のうちの一部の権利(たとえば、イラストを御社で修正し変形を加える権利など)については移転の対象にしなかったものと推定されることになります。
  御社としてはこのようなことでは、困るので、契約書の中で「前項の著作権には著作権法27条及び28条の権利を含む」と明記して、著作権のすべてが御社に移転するようにしておく必要があるのです。
  さらに、イラストレーターは著作権を御社に譲渡した後も、「著作人格権」という権利をもっています。この著作者人格権というのは、イラストレーターが自分の意に介さないイラストの変更に異議を唱えたり、あるいはイラストが公表される際に自分の氏名が表示されるように求める権利などを言います。この著作者人格権は著作権とは異なる権利で、契約書で御社がイラストの著作権を取得しても、著作者人格権まで取得することはできません。そこで、契約書の中で「甲は乙に対し本イラストについて著作者人格権を行使しない。」と明記して、イラストレーターにこれらの権利を行使されないようにしておく必要があるのです。


 

当事務所ホームページ         http://www.sakuyakonohana.co.jp/
事務所概要              http://www.sakuyakonohana.co.jp/overview/
業務内容               http://www.sakuyakonohana.co.jp/practice/  

残業代の請求リスクから会社を守る方法 http://www.sakuyakonohana.co.jp/qa/item_51.html

顧問契約について           http://www.sakuyakonohana.co.jp/contract/
おすすめ書籍紹介           http://www.sakuyakonohana.co.jp/books/
お問い合わせ             http://www.sakuyakonohana.co.jp/contact/

基礎から学ぶSEの法律知識

システム開発においてどのようなトラブルが発生しやすく、どのようにすればトラブルを予防できるかをわかりやすく解説してあります。
SEだけでなく、システム開発にかかわる企業経営者にもぜひ読んでいただきたい本です。

基礎から学ぶSEの法律知識
大澤 恒夫,市毛 由美子,鮫島 正洋
日経BP社


 

咲くやこの花法律事務所のホームページはこちら→ http://www.sakuyakonohana.co.jp/

請負・労働者派遣とこれからの企業対応

偽装請負問題や労働者派遣の期間制限に関する対応実務について詳しく書かれています。
人材ビジネスにかかわる企業経営者にはぜひ読んでいただきたい書籍です。

請負・労働者派遣とこれからの企業対応
丸尾 拓養
日本法令

 

咲くやこの花法律事務所のホームページはこちら→ http://www.sakuyakonohana.co.jp/