水玉の夢を見た。

どこか知らない大きな街の、
二大勢力の1つとして君臨していた。


もう一派のボス猫が引退するとの事で
猫たちも解散するという。

だったら私も水玉を連れて帰っていいでしょう?
水玉の旅を終わらせてもいいでしょう?
家族の元に帰してもいいでしょう?



水玉は赤いマントを着けていた。
縁のには金の刺繍でパイピングしてある重厚なものだ。
こんなものつけられて嫌じゃなかったのかと脱がせようかと考えていると

水玉が「コレ、外れそうだから結び直して」
と、目で言ってきた。


コレ、は
聖地ムクティナートでラクスマンにもらったヒンドゥー教の神様からの祝福という組紐で、
うちの猫たちは神のご加護がありますようにとお守り代わりに巻いている。


水玉は離れている間もみんなと一緒だったんだねって、
赤い組紐を結び直して水玉を抱きしめた。


赤い組紐に、重厚なマントをして、そして何故か水玉は私の緑のショートパンツを履いていた。



水玉ったら、なんでそんなの履いてるの?!
それもネパール行く時に買ったヤツじゃん!



って、そこまで考えて怖くなった。
あの時、水玉も一緒にネパールへ行ってたの?!

ジョンブリアンだけじゃなくて水玉も一緒だったの?!


水玉、水玉、一緒に帰ろう!
離れちゃダメだょ!
居なくなっちゃイヤだから!


と、乱れた気持ちで水玉を抱えて私は目を覚ました。




私はたまにへんな夢を見る。
きょうちゃんが優しい場所に旅立った後は、
きょうちゃんの夢をよく見た。

きっと私の未練もあると思う。



実家の手前には坂がある。
そこをきょうちゃんが歩いてて、
坂の途中からとてもキレイな花が沢山咲いているんだ。

その花々は段々と宙へ昇り、柔らかなピンクの景色になり、
清らかな川が流れ、
花には蝶も戯れるその場所で大好きだった子達がノンビリお昼寝をしている。


初代ボス猫のナオナオがきょうちゃんを呼んで、
きょうちゃんはその輪に入りとても幸せそうにしていた。


きょうちゃんは長く患っていたので、やっと楽になれたのだと思った。



その後も度々きょうちゃんは私の夢に会いに来てくれた。

ある日、私は大きな真っ白い犬を抱いていて、
それがきょうちゃんであると知っていた。

犬のお友達が多かったきょうちゃんは犬になるんだなぁーって思った。



それを境にどんなに願ってもきょうちゃんは現れない。
私は勝手にきょうちゃんは生まれ変わったんだなぁ、あの大きな白い犬に、と思った。



私の夢にはいつだって生きている猫たちは来てくれない。

水玉は、この世の苦しみから開放されたのだろうか、、?
旅は終わったのかな?
今は優しい場所にいるのかな?


もしかしたら、と
昨日は家の周りを水玉を探してみた。

寺猫たちにも聞いてみた。
やはりどこにもいなかった。




水玉の夢を見た。
夢の中で、水玉の柔らかな体を抱いた。
確かに触れた。

私の心は今もこんなにも千々に乱れてしまったけど、
水玉に逢えて幸せだった、ほんの一瞬。


夢が薄れてしまう前に、確かに水玉に逢えた記憶として記す。


2011/8/22
私に体を預けて眠る水玉。