ついでにネパールへ行く時に観ていたものも。



桐島、部活やめるってよ (本編BD+特典DVD 2枚組) [Blu-ray]/神木隆之介,橋本愛,大後寿々花
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桐島、部活やめるってよ




この時はさ、睡眠は足りていたんだけど

久しぶりに読みなおそうと思っていた燃えよ剣を、何故か下巻をカバンに、上巻をトランクに入れてしまいいじけていた。



映画ラインナップには、興味のある映画はなく仕方なく観た映画。


なぜ選んだかと言えば高橋優の歌う主題歌「陽はまた昇る」が頭に残っていたからで。




まず画がとってもキレイな作品だった。

物語は学校という狭い世界の、くだらないヒエラルキーを中心として淡々と進む。


このくだらないヒエラルキー。

社会に出て、アタシは大人になったからくだらないと言えるけど、自分も学生だった頃はくだらないとは言えなかった。



ヒエラルキーの頂点は桐島。

桐島は登場しない。


桐島が突然部活をやめるとメール報告してきて、突如教祖を失ったかのように桐島に依存する人達の感情は乱れていく。



そのヒエラルキーの最下層にいるのが神木ら演じる映画部の地味で冴えない面々。



くだらないヒエラルキーの、その上部に属し、普段は映画部の面々を下に見る彼らは桐島を失い毎日をどうしていいのか分からない。


一方、映画部の面々は桐島の不在も彼ら最下層にはハナから桐島の影響はなく、変わらず映画を撮り続ける。


桐島がいない事が当たり前の撮影中の映画部の前に、桐島を失った依存の彼らが桐島を探しにやってくる。


いない桐島を必死で探す依存組。

かたや桐島がいない事が日常の、その当たり前の空間を壊された映画部面々がゾンビとして(ゾンビ映画を撮っていた)怒りをもって襲いかかる。





これは本当になんでもない映画だと思う。

良い意味でね。

日常とはとてもちっぽけなものだし、絶望は更に身近だ。

高校生の自分は、多分自分が何者であるかを知ってはいても、認めるだけの勇気もなくて

知るのと、諦めるのと、認めるのは切ないものだ。


青春映画というけれど、高校生が見てもよく分からないと思う。

高校生じゃなくなって、15年経っているから感想が書ける気がする映画。





全体として淡々と進む映画だと先に述べたが、これは高橋優の主題歌があってこその映画だと思った。


終始抑え目のストーリー展開の中で、最後爆発的な演出にさえ思える。



ともすれば絶望にも偏りがちな映画を「陽はまた昇る」ことで、なんとも瑞々しい青春映画にしたと思う。



同監督がPVを手掛けた「陽はまた昇る」 (ユーチューブリンク)は神木くん演じる前田のその後となっている。

こういう映画を久しぶりに観たせいか、映画と合わせてPVで満足できた。