いろはと朧


綺麗な勾玉にゃ〜


たしたし前足で遊びはじめるあずきちゃん


「ひゃー、爪たてちゃだめ!

宝玉に傷がついちゃうわ!化け猫!」


いろはがおもむろにあずきちゃんを抱き上げる


「化け猫ではないにゃ!私の名前は、あずきにゃ!
お姉さん離すのにゃ!」

身をよじって逃げようとするあずきちゃん


「あ、ごめんなさい。

あなた、お喋りできるようになったのね?!」


あずきちゃんを離してあげるいろは


「いろは、あずきちゃんにこの布で

宝玉をつけるための蝶を縫ってほしい」


いろはに、布を渡す朧


『はっ!朧さまが私を必要としてくださっている!!

ぬ…縫い物は苦手だけど、お断りするわけにはっっ』


いろはが頬を赤く染めて悩んでいる


「し…仕方ないわね。
私は、朧さまの式神になる鬼だもの。
不可能はないわ」

朧から布を受け取る


「お姉さんは、鬼なのにゃ?!

だから、こわかったのにゃ〜

え?この優しいお兄さんも…鬼なのにゃ??」


じっと様子をみているあずきちゃん


「我は、夢の通い路の番人で鬼ではない。

いろは、君は優秀だが
式神は危険が伴う故、やめておいた方がいい」


首を横に振る朧


「何故ですか!朧さま…
私がもっと強くなれば
お兄様のようにお側に…」

悲痛な表情を浮かべるいろは


「お姉さんとお兄さんは、恋仲なのにゃ??
伴侶にゃ???喧嘩はだめにゃ」


首を傾げるあずきちゃん


『え??化猫…いいこと言うじゃない!

そうよ!恋仲になるのよ!

私は朧さまが大好きなのだから!!』


頬を、赤く染めるいろはが振り向く


「そんなわけないじゃない!

朧さまに伴侶も恋仲の者もいないわ!

すぐ縫い物終わらすから、大人しく待ってて」


「頼んだよ。いろは


朧は、別の部屋に歩いて行ってしまう


「お姉さんは、お兄さんが大好きなのにゃ」

「しっ!内緒!」

「にゃあ、素敵にゃあー」

「こらっ!」


空には星が無数に光ら始めていた