おもしろい記事がありましたので転載します。


NATIONAL GEOGRPHIC Newsより  


ネコは飼い主をネコと思っている?


動物行動学者が語るネコの感覚


http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20141215/428394/



飼いネコは本当の意味で人間を理解していないかもしれない。(PHOTOGRAPH BY FSTOP, ALAMY)


現在、アメリカの家庭には8000万匹以上のネコが暮らしている。世界中を見渡すと、推定で飼いイヌの3倍の数のネコが飼われている。しかし、われわれは相棒のネコについて知らないことがまだ多い。飼い主をどう思っているかさえわかっていない。

 ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)氏はブリストル大学でネコの行動を研究しており、最近『Cat Sense(ネコの感覚)』という著書も出版している。ブラッドショー氏は数年にわたってペットのネコたちを観察し、1つの興味深い結論を導き出した。その結論とは、ネコはイヌと同じように人間をとらえていないというものだ。

 ナショナル ジオグラフィックは先日、ブラッドショー氏にインタビューを行った。その一部を紹介する。





◆ネコはイヌと同じように“人間をとらえて”いないと結論づけた理由は何ですか?



 イヌと人間の関係については多くの研究がなされています。そして、イヌは人間に対し、自分たちとは異なる存在ととらえていることが明らかになっています。イヌは人間を見ると態度を変えます。イヌと人間、イヌ同士では全く遊び方が違います。

 一方、ネコと人間の関係では、人間を異なる存在ととらえていることを示唆する行動はまだ見つかっていません。人間が自分たちより大きいことははっきりわかっているようですが、社会的行動を大きく変えているようには見えません。尻尾を立てる、脚にまとわり付く、隣に座る、体をなめるといった行動は、ネコ同士で行っていることと全く同じです。



◆ネコは人間を大きくてばかなネコだと思っているという発言をいくつかの記事で目にしました。これは本当ですか?

 私が著書の中で述べているのは、人間に対するネコの行動はほかのネコに対する行動と区別がつかないということです。ネコはわれわれを不器用だと思っています。人間につまずくネコはあまりいませんが、われわれはネコにつまずきます。

 ただし、ネコがわれわれをばかだと思っていることはおそらくないでしょう。ネコは自分より劣ったネコにすり寄らないためです。





◆ネコを飼っている人たちからフェイスブックを通じて質問が来ました。まず1つ目です。ほかに誰もいない部屋でネコが遠ぼえをするのはなぜですか?



 ネコは特定の音を立てたとき、飼い主がどう反応するかをはっきり覚えています。もしネコが“飼い主を別の部屋から呼びたい”と思ったとしたら、声を出すのは効果的です。ネコは直接的に学習します。





◆家族の一人を特別扱いすることがあるのはなぜですか?



 われわれはネコを賢いと褒めますが、実際は思っているよりはるかに賢い動物です。ネコは家族の誰が役に立つかを学習します。誰が朝4時に起きて餌をくれるかまでわかっているのです。





◆なぜネコはマッサージするように人間を踏み続けるのですか?



 母親に対する行動をそのまま使っているのです。ネコがわれわれに見せる行動はすべて、母ネコと子ネコの関係に何らかの形で由来しています。尻尾を立てる、すり寄る、何かをこねるように足踏みする、喉を鳴らすといった行動は、すべて子ネコのときに覚えるものです。毛繕いは母ネコが子ネコにしてあげる行為です。

 つまり、ネコはすでに身につけている行動を使って人間とコミュニケーションを取っているのです。レパートリーはあまり多くありません。おそらく10もないでしょう。





◆ネコをしつけることは可能ですか?

 ネコは本来しないことを覚えることができます。例えば、台所のテーブルに飛び乗る癖が付いた場合、やめさせる方法がいくつかあります。

まず、ばねのおもちゃを使う方法です。ネコが飛び乗ると、おもちゃが音を立てて跳ね上がるようにしておけば、ネコは嫌がって飛び降ります。もう1つはわりとネコに優しい方法です。子供の水鉄砲を使います。ただし、水鉄砲を持っていることに気付かれてはいけません。ネコは決して許してくれません。不安や害を与えられていることに気付くと、ネコはその相手を避けるようになります。





◆ネコを飼っている人に知っておいてほしいことは何ですか?



 ネコは社交的な動物ですが、イヌほど社交的ではないということです。ネコを飼っている人の多くがもう1匹増やそうとします。その方が2倍楽しいと考えるためです。しかし、ネコはそう思っていないかもしれません。

 伝えたいメッセージは単純です。もし2匹以上のネコを飼いたければ、慎重を期してほしいということです。そして、うまくいかなければ諦める覚悟も必要です。



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また最近の記事ではこんなのもありました。

音声学者がネコ語の

研究を本格始動


ネコと人とのよりよい音声

コミュニケーションを目指して


ネコの鳴き声に隠された秘密:猫のコミュニケーションを研究


 飼いネコとより良いコミュニケーションを取るため、スウェーデンの研究者がネコの鳴き声の解読へ。(説明は英語です) 



 米ニューヨーク州で昨年行われたアンケート調査によると、ペットを飼っている人のほとんどが、人間に話しかけるようにペットに話しかけているという。また多くの飼い主は、イヌやネコが吠えたり鳴いたりして、空腹や恐れ、トイレに行きたいなどの意思を人に伝えていると考えている。

 だとすると、そのとき動物たちが発する声には、ニューヨークなまりがあるのだろうか?

 そんな疑問を抱き、ネコとの音声コミュニケーションについての研究を立ち上げたのは、スウェーデンの愛猫家でルンド大学の音声学研究者、スザン・ショッツ氏だ。氏自身も3匹のネコを飼っている。(参考記事「ネコは飼い主をネコと思っている?」


 実験のため、スウェーデン最南端の町ルンドと、そこから500キロ北にあるストックホルムで氏は協力者を募っている。このふたつの地域は大きく異なる。研究の目的は、ネコたちの鳴き声にも同じように違いがあるのかを調べることだ。

 また、ネコの鳴き声にはさまざまな意味があるのか、飼い主の話しかけ方に応じて違った鳴き方を示すのかも研究する。(参考記事「犬や猫は「人間アレルギー」になるか」


 この研究についてショッツ氏に話を聞いてみた。



――そもそも、ネコはなぜ鳴くのでしょうか。

 ネコは人間とコミュニケーションを取る時に、視覚と音声の両方のシグナルを使いますが、私たちの注意を引きたい場合には声を出します。他のネコとは、視覚と嗅覚でコミュニケーションを取ることが多いです。ネコが「ニャー」と鳴くのは、ほとんどの場合人間に話しかけているのであって、他のネコに対して鳴くことはあまりありません。(参考記事「外へ出たネコはどこへ行くのか?」




ヨガの「下を向いた犬のポーズ」を取る女性と、上を向いたネコがご対面。(Photograph by Cory Richards, National Geographic)


 意思疎通がしやすいように、自分たちだけに通じる言葉を発達させているネコと飼い主も多いようですが、人が話しかける言語が同じならネコの鳴き方に共通点があるのか、それともそれぞれのネコと飼い主のペアによって変わってくるのかは分かりません。



――人は、ネコなどのペットに話しかける時と人間に話す時と、どう区別しているのでしょうか。




ネコに話しかける時、人は小さな子どもに対するように話すことが多いです。普段よりも高く、抑揚のある声で、話し方には歌うときのようにメロディアスな一定のパターンが見られます。



――研究ではどのような情報を集めるのでしょうか。



スウェーデンのふたつの地域に住む人とネコの音声を録音します。最初の研究では、ネコの鳴き声の旋律を分析し、違う感情を抱いている時や別の種類のネコにも同じ規則性が見られるのかを調べます。次に、ネコに様々な人間の話し声を聞かせ、どのように反応するかを見ます。小さな子どもに対するように話しかけられることを好むのか、それとも大人として話しかけられるのを好むのか。また、イントネーションや話し方から聞き慣れた声を認識することができるのか。このあたりはまだ分かっていません。(参考記事「猫はいつも足で着地できる? 動物都市伝説の真相」



――ネコが好む声の種類をどう測定するのでしょう。どんな点を調べますか?



さまざまな話し方をする人間の声をたくさん集める予定です。それからネコが飼われている家に行って、スクリーンの後ろにスピーカーを設置し、集めた音声を再生してネコの反応をビデオに録画します。耳や頭の動き、体の姿勢といったものを観察します。(参考記事「ネコは撫でるとストレスを感じる?」



――この研究でどんな成果を得たいですか。



 もし、「ちょっと小腹がすいた。おやつちょうだい」と言うときにほとんどのネコが同じような旋律を使い、「すごくお腹がすいて、もう死にそう」と言うときも大半のネコが同じような旋律を使っているとすれば、彼らの言わんとしていることを理解できるようになるでしょう。

 旋律はネコの種類によって異なるかもしれません。あるいは、人間の話し方に特定の旋律がある国のネコは、他の国のネコとは違う鳴き方をするかもしれません。ネコの鳴き方にこうした違いがあるとわかれば、飼い主がネコの言葉を理解する手助けができるかもしれません。





~以上、転載終了~