前回の話はコチラ↑
「凄~い!どこ行っても凄いね~、阿蘇って!」
阿蘇パノラマラインから草千里、草千里から大観峰という問答無用のベタルートに一々反応するネクターカラー。
阿蘇は雄大だし、バイクで行けば確かに凄い。
でもな、姐やん。
熊本は他にもいっぱいあるんやで、綺麗なとこ。
天草もそうやし、人吉もそうやし。水俣なんか、魚がめちゃくちゃ美味いんや。
いつか行ってみ?ホンマに綺麗なとこやから。
初の熊本、初の阿蘇、初の大観峰でカンゲキしまくりの姐やん58才。誰か引き取ってくれ。
「あの~、写真撮りましょうか?」
上の写真を撮り終えたと同時に、隣にいた家族連れのママさんが声をかけて来た。
「あ、いえ、結構です」
「……え?」
「ちょっとぉ~、何でよ?撮って貰おうよ~!」
「ですよね?撮りますよ~」
「あ、いや、本当に結構です。後悔したくないので。お気遣いありがとうございます」
「ええっ💦」
一瞬静まり返った後、オレと姐やんの絡みに爆笑する家族連れ。いつも通りのやり取りなのだが、夫婦漫才にでも見えたんだろうか?
そういやココ、九州だったな。
多分だが、大阪弁自体が面白く聞こえるんだろうね。
「それにしてもバイカーの多いこと……あ、このバイクなんか北海道からやな?ご苦労だねぇ…」
「そっちは室蘭やって、凄いな~♪」
「……だから、それを見て北海道って言うてんのやけど?」
「あ、ごめん笑」
大観峰でもいかんなくド天然ぶりを発揮してくれるごはんですよ。
ここはタンデムでパラセイリングが出来るアトラクションもあるみたいだが、この際是非トライして大阪まで飛んでってほしいものだ。
多分何も考えていない。
「ジュンちゃんは、阿蘇に何回くらい来た事あんの?」
「さぁ……分からんけど10回くらいとちゃう?」
「住んでみたいとか思わへんの?」
「住みたいとは思った事ないな」
「何でよ?」
「何でよって言われても困るけど……思い入れが無いからとちゃうか?遊びに来る分にはいいけど」
「あ~……そっか、思い入れなぁ……」
「んで、阿蘇ほど規模は大きくないけど……大分にもあるからな、こういうとこ。見慣れてるってのがあんねん」
ま、阿蘇に来たら、誰もが一度は『住んでみたいなー』とは思うだろう。
が、地元(阿蘇)の人はともかく、熊本市内で生まれ育った熊本人だって、『阿蘇?いや~、住むのはちょっと…』と言う人はゴマンといるのだ。それは札幌育ちの人間に、『長万部はどう?』って聞くのと同じ事だろう。
自然ってのは眺める距離からなら美しいだけだが、至近距離だとそれだけじゃないからな。
「何や、住んでみたくなったんか?」
「ん~~~……いいなあとは思う。でも、確かに思い入れって大事やね♪」
「そらそうや。思い入れさえあれば、多少の事は我慢出来んねんから」
「そっか~……あ、そういえば宿の女将さんも言うてたね。そんなもんなんかなぁ?」
さっきまでいたライハの女将は京都出身だが、話した限りでは永住する訳では無い様だ。
ネックになるのは、やっぱり医療。
若い頃はともかく、誰もが皆年齢と共にガタが来るのは言わずもがな。
畑いじりだって相当な体力を使うし、現実は皆が思ってるほど【田舎=長閑】ではない。
寧ろ、毎日異常な速さで伸びて来る雑草対策に追われて忙しいはずだ。
『小腹が空いたからコンビニへ』と思っても車で10分とか、『たまには外食を』と思っても家族全員だと◯万円かかったりとか、それは何不自由の無い都会の人間からすれば、想像とは遠くかけ離れた現実が待っているだけなのである。
当たり前だが、充分な貯蓄さえあれば話は別だ。
宮古島や石垣島に移住し、悠々自適な暮らしぶりを毎日発信している著名人達。
そりゃ東京での優雅な暮らしに比べれば、タダ同然で離島ライフを満喫出来るというものだ。だからすぐリビングにブランコとかを吊ってしまうのである。
普通に考えてみ?
リビングにブランコなんかあったら邪魔でしゃあないぞ。
つか、一人でそんなモン漕いでたら只のアホやろ…
「なぁ姐やん…」
「はい」
「……別府、行ってみたいか?」
「行きた~い!」
実は、出発当日からリクエストされていた別府。
以前からこのブログを読んで下さっている方々はご存知の通り、そこはオレの生まれ故郷である。
が……う~ん……
正直言って、もう行きたくないんだわ、あそこには。
「そっか……じゃあ、ホンマに山の麓を通り過ぎるだけやで?街には下りひんけど、それでもエエか?」
「うん♪」
別府か……
気が重いなぁ