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一応は台風の影響なのだろうか。

庄原辺りにある道の駅に雨宿りがてら寄った時には、一時前が見えにくくなるほどの豪雨に遭った。






「あと30分もしたら少し落ち着くみたいやし、それまでゆっくりして行こか」


「はーい」








高梁市にある羽山第二トンネル。
ここでロッククライミングするアホがいると聞いたので下からカンチョーしてやろうかと思って来たのだが、残念ながら誰もいなかった。






道の駅については前にも書いたが、オレはこのよく分からん施設に大して興味が無い。
基本的にはトイレ目的で立ち寄るくらいだが、特にこの時期は大量のマスツーバイカー達がわんさか詰め掛けていて、こんな田舎の道の駅でさえ『イベントでもやってんのか?』と勘違いするほどごった返している。
ホント、みんな好きだねぇ、道の駅に集まるのが。女性は色々と重宝するんだろうけどね。




「なんか凄いね~、バイクの人だらけ」

「盆休みに入った人が多いからやろ」

「スーパーカーショーみたいやな笑。ジュンちゃん知ってる?スーパーカーショーって」




スーパーカーショーか、懐かしいな。初めて見たカウンタックにはションベン漏れそうやったわ。
あの頃はまだ家族が揃ってた。




「うん、行った事あるよ。そういやそれに近いかな、高いマシンの見せ合いっこやもんな笑」

「あんなバイク、欲しいと思わへんの?」

「思わへんなぁ……オレ、元々興味無い人やしな、バイクって」

「えっ?そうなん!?」

「そやで、仕入れに使うからコレに乗ってるだけ。興味があったら大型取ってるやろ、今頃」

「そうなんやぁ……意外」

「小型はフェリーに載せても安いし、ガス代も安くつくしな。あの人達と違って、オレの場合は只の移動手段でしかないよ、バイクは」

「タイでもずっとバイクに乗ってたし、よっぽど好きなんやろうなーと思ってた」

「んな事ないよ、色々と自由やし乗ってるだけ。バイクって楽で自由やろ?だからやで」

「へぇ~」






テレビの取材とかに滅法弱いミーハーアラカン。そもそも自分自身が珍百景の頂点に君臨している事を自覚していない事自体が大問題。






「うわ~、凄いなぁ…幾らくらいするんやろ?あのバイク」



次から次へと駐車場に入って来る大型バイク。
オレ自身も詳しくないが、それがハーレーかBMかドゥカティかくらいは分かる様にはなった。



「400万くらいちゃう?アレコレいじくったらもっとするんやろうけど」


「400万!?そんなにすんのー(°Д°)」



「だって外車やもん。んで、ああいうのは乗り換える時も高く売れるからさ。まぁ、アレも財産のひとつと思えば分かりやすいやろ?」


「何か私、肩身が狭くなってきたわ~笑」


「何で?」


「だって~💦」


「小型のスクーターやからか?」


「う~ん……」


「アホか、そんなん全く関係あらへんわ笑。バイクは只の移動手段やて言うたやろ?つーかよく見ろ、今入って来たバイクのオッサンを。ヘルメット取ったら只の高木ブーやないか。デカいバイクに乗ってるヤツより、実際にはチャリで旅してるジジイの方がよっぽど健康的で逞しいんや。見た目とか性能とか排気量とか、そんなもんで能書き垂れるアホは無視しといたらエエ。原付きだろうがハーレーだろうが、とにかく安全運転で事故無く帰れるヤツが一番カッコエエんや」


「なるほど………そっか!そやね♪」


「そゆこと」








惣菜コーナーにおこわがあるとついつい買ってしまうダメなオレ。でもま、これはなかなか旨かった。





(あら?……あ!こりゃイカン、ボケ~ッとしてたわ)



標識の【石見銀山まで◯◯km】という文字を見て気付いたが、オレ達はいつの間にか島根県に入っていた。
元から酷い方向音痴ではあるのだが、ちょっと考え事なんかしてたら必ずこれだ。つーか、これってもう少し走ったら日本海に出るやんか。いや参ったなぁ……






「ごめん、ちょっと暑くなるけど海側に出るわ。間違って島根県まで来てた」

「はーい、今どこー?」

「大田市や、出雲の横」

「えっ!?出雲大社行きた~い♪」

「じゃあ9号線に出たら二手に別れるか?オレは山口方面に行くし」

「何でよっ!出雲大社、行く時間無い?」

無い。つーか、ここからはちょっと飛ばさんとかなり遅れるわ、しっかりついて来てや」




あまり交通量の多い国道は走らせたくないのだが、いつまでもこんな田舎道ばっかり走ってたって上達はせえへんか。

ま、島根から山口にかけての9号線は大して混まんしな、これは丁度いい機会かも。





「ジュンちゃ~ん!」


「んー?」


「ガソリンやばいかも」


「分かった」




9号線に出る直前のエネオスに入り、クソ忌々しい姐やんの荷物を括ったロープを外している時だった。





「なにしてんの~♪」



「……………はあ?」



「えっ?いや、ただ何してんのかなーと思って♪えへへ♥️」




茹だる様な暑さ、長時間の運転による疲れ、カッパを脱げないストレス、そして姐やんのド天然から来るデリカシーの無さ…


そんなモノが全て合わさって、ここで一気に爆発しようとしていた。









「アンタの新型と違って、シート開けへんかったらガソリン入れられへんのじゃ!この余分な荷物さえ無けりゃ、すぐに開けられるんやけどなっ💢💢」






「ああっ!…ごめんなさいっ💦












マジで勘弁してくれ、頼むから。















15kg以上はある無神経女の荷物。給油する度に捨てたくなったのは言うまでもない。