前回の話はコチラ↑
(アカンわ。何でこんなに高いんや？ランパーンは…)
チェンマイの南方に位置する街、ランパーン。
この街には過去に一日だけ滞在した事があるのだが、それこそ『ただ寝て終わった』街である。
ランパーンは花馬車という乗り物が昔から有名で、オレは最初からそれに興味が無かった。
ランパーンの花馬車。顔まで造花を付けられた馬はいい迷惑である。
興味は無かったのだが、当時のオレは地球の歩き方を小脇に挟んだバリバリのアホパッカー。
とりあえずそこに載っている観光地は全て行ってみようとする典型的なヒマ人だったのだが、ランパーンは当時から安宿と呼べる宿が少なく、築100年以上というオンボロ旅社でも1泊300バーツ近くしたはずだ。
クソ貧乏だった20代のオレにそんな無駄金を払う財力などある訳もなく、ましてやボロボロの格好で高い花馬車なんかに乗ったら、それこそ通行人の笑い者である。
想像してみ？
オレがこんなクララ専用出迎え馬車みたいなモンに、苦虫潰した様なツラして乗ってる姿を。
笑いを通り越して引くっつーの、みんな。
街中のホステルやビジホっぽい所を何軒か回ったがヒット無し。ちょっとした軽井沢みたいなモンだな、ここは。
(アカンな、ここはオレが来る街じゃねーわ。チェンマイに帰ろう)
そこから一気に北上してチェンマイへ。
隣の街と行っても数時間はかかるのだが、夕方までには着かないと宿も決めてない。
ま、選り好みさえしなけりゃ幾らでもあるんだが、ダニに喰われた痕が悪化している事もあって激安宿だけは勘弁だ。
帰国まで残り二日半。この二日半は余り無理せず過ごしたい。
(あと10kmか、それでも遅くなったな…)
少しずつ見覚えのある道になって来たのはいいが、喰われた痕が汗に沁みてイタイイタイ💦
不味いな、こりゃバスタブがある宿じゃないとキツ……
(あっ、そっか！バスタブって言うたらアソコやんか！部屋取れるかなー？？)
姐やんが帰国前日に泊まったあの宿の別館、アソコなら養生するのには最高の場所だ。
チェンマイ市街に着いた時には日が落ちていた。とりあえずメシ買っとかなきゃ。
「Hello! Is anyone here!?」
サクラハウスの本館に着き、イチかバチかでフロントの小窓を開けて叫ぶオレ。
こんな時間(19時頃)に予約無しで来られても困るだろうが、飛行機の時間によってはレイトチェックインするパッカーも多いはずだ。ここは何とか上手く行ってほしい！
パッ…
(あっ、誰かおった！)
「Ye～～ssss……アレ？ドウシタンデスカ？」
「あーっ、マックさん←オーナー！良かった居てくれて！あの、急で申し訳ないんですけど部屋あります？」
「今カラデスカ？ア～、コノマエト同ジ部屋ナラダイジョブデスヨ」
「この前と同じ部屋がいいんですよ！今日と明日と明後日の夜までの二日半！お願いします！」
(良かったぁ～、まだ運は使い果たしてなかったみたいやな。助かったわ…)
別館であるフジホテルの鍵を受け取り、部屋に入った早々風呂を溜めるオレ。
今日はこれで満室だったから丁度良かったと言ってもらえたが……いやホントに助かったわ。安心して横になれる所じゃねーとマジでキツいって💦
(痛てててて……ああ～っ、こりゃ相当やられてるわ💦)
熱めのお湯が喰われた痕にヒリヒリ沁みる。
その数は20箇所以上だが、ダニに喰われた症状が顕著に出るのは翌日か二日後のはず。
(でも、酷くなってきたのはチェンコーンに着いて二日目くらいからやもんなぁ……チェンコーンの初日は考えられへんし……て事はやっぱり……いや、それしか考えられへんなぁ……よし、ちょっと香田氏に確かめてみっか)
風呂上がりに液体ムヒを使い果たし、素っ裸のまま香田氏にLINEを送るオレ。
≪お疲れ～ッス。香田さん、帰ってからダニに喰われてませんでしたー？≫
≪お疲れ様です。めっちゃ喰われてましたわ、30ヶ所くらいやられてます≫
やっぱりか……
香田氏がやられてるって事はアソコしかねーな。
ま、他んとこでもチョイチョイやられてるんやろうけど。
≪オレも今、悲惨な事になってますわ。とりあえずまた帰ってから話しま～す≫
≪了解でーす。多分あの日本人宿ですね笑≫
だわな、香田氏も喰われてるならそうだろう。
しかし参ったな、ちゃんと数えたら50ヶ所以上喰われてるやんけ…
ま、とにかくここにいる間の二日半でじっくり治そう。
とりあえず明日は薬局に行って強めの軟膏買って……あ、荷物もバックパックごと洗濯せなアカンな、何なら先にやっとくか。
そやけど難儀するな～
虫に好かれる体質ってさ💦
この日のディナーはラープ・プラー(魚のラープ)。こっちの魚はちょっと抵抗あるが、これがめちゃめちゃ美味かった。明日も買う。