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翌朝は奥さんが学校へ送りに出たのとほぼ同時にチェックアウト。

今日も特に予定は無いのだが、このままのんびりチェンマイ方向に走るとすっか?

ダニの喰われ痕もチト気になるし、一気に戻る事はせずランパーン辺りで一泊……って、あそこも何もねーけどなぁ……










朝の国道沿いでコーヒータイム。
バスのミニカーを見つけたおかげで余計に帰りたくなった(←子守り欲)。






しかしチェンコーンに3泊もするとは思いもしなかったが、やっぱりあそこは通りすぎるだけじゃ勿体無い町だな。

今はラオスに渡る場所が変わっちゃったからしょうがない面もあるけど、どうせフアイサーイ(ラオス側の町)に一泊するならチェンコーンの方がマシだ。

ま、ラオスは社会主義国家だから仕方がない面もあるんだが、とにかく中途半端な田舎の宿はボロくてさ。

あと、夕方以降は野犬という最大の難敵が待ち構えてたりするんで、初めて一人で行こうとする人は充分注意する事だ。

つか、国民性は最高なんだけどなー、ラオスって。









オリジナリティー溢れる仏像も遂にここまで来たか。地獄寺に勝るとも劣らぬ脱力クオリティは流石の一言だ。






(そろそろ腹減って来たな。どっかメシ食えるとこないやろか?)


 





トゥーンという町で朝メシを食おうと立ち寄ってみた。
もうここくらいになると観光客の姿は一切無く、完全に地元民だけの小規模都市といった感じか。
そういや、チェンコーンの宿の奥さんの話によると、2028年にはチェンコーンに鉄道駅が出来るそうだ。
で、それを見越してかどうかは知らんが、最近は大型スーパー(TESCO・Lotus)の出店などもあり、欧米人の移住者もチラホラ増え始めてきたという。
因みに、チェンコーンに住む日本人は奥さんを含めても二人だけとか言ってた様な気がするが、もしかしたらこれからは一昔前のノーンカーイ(こちらは東北部にあるラオス国境の町)みたいになるかもしれないな。
あそこは欧米人のリタイア組がとにかく多くて、川沿いの飲み屋なんかは【敬老バー】みたいになってたもんなー。

ま、どこの国の人でも余生くらいは思いっきり楽しんでもらいたいもんだ。オレだってそう遠くない話だし。




(ありゃりゃ、市場なら食えるとこくらいナンボでもあると思ったんやけどなぁ……つか、冷蔵設備の無い市場は天敵やわ。マジで鼻がひん曲がりそ💦)



嗅覚過敏症のオレにとって、東南アジアの生鮮市場は正に地獄だ。
猛烈な生臭さと人混みによる生乾きの臭い。オレからしてみれば、これだけでも世界最狂の放火魔に変身する理由になる。



(アカン、ここは無理やな。この先に屋台でも出てたらそこで済ませよ…)


せめてトイレだけでもと思ったが、足下をカマイタチの勢いで走り抜けて行くネズミの群れを見て即断念。
そこそこ都会に見えるこの町は、外国人にトイレさえ許さないのか。
トゥーン市よ……………絶対いつか全焼させたるから覚えとけ💢



(あ……あそこに何かあるわ。何でもエエし食ってくか)


全焼予定地から数分走ったところに、道端でポツンと営業しているバラック風のクイッティアオ屋。
こういう店はタイの田舎ならいくらでもあるが、基本的には100軒周って99軒後悔するのがお約束である。



「OKマイ?」


席を指差し、『いける?』てな感じで声をかける。
暇そうに新聞の広告を見ていたオバチャンはニコリともせず頷き、『メニューはそこ』と言いたげに指を差した。
フムフム、なるほどねぇ…………つーかオバチャン、何書いてるか全然分からないんですけど。








道路沿いの民家の塀に寄っ掛かる様に建てられたバラック食堂。多分総工費は8000円くらいだと思う。






「ア~……バミー、ミーマイカップ?」小麦麺のヤツ、ありますか?


「ナーム?ヘーン?」汁アリ?汁ナシ?


「ナーム」



汁アリと答えたオレに軽く頷き、かけていた老眼鏡を外して調理にとっかかるオバチャン。
その風貌はどっからどう見てもご機嫌ナナメな小林稔侍なのだが、それはさておいてもこんな場所で客なんか来るのだろうか?さっきから前を通ってるのはニワトリの親子くらいなんですけど…








時折足下に来るニワトリを蹴散らしながら麺を茹でる稔侍。
間違って柱を蹴ったら全壊する様な気がした。







(えっ!?)


稔侍が無言で出した丼を見て驚いた。
注文したバミー・ナームとは所謂ラーメンなのだが、平均的な値段で言えば30バーツくらいか。
中身は小麦麺とルークチン(フィッシュボール)とムーデーン(叉焼の切れっ端)と青菜が入っているパターンが多く、それが極々一般的なバミー・ナームだ。
が、それも各地方でスタイルが異なっている場合が多く、タイ北西部にあるスコータイという街では豚骨ベースにストレートの細麺。味はマルタイラーメンみたいなバミーが有名で、オレはその街に行く度1日3食は食ってる有り様である。
特に美味いのは、スコータイからメーソートへ向かうまでにある【ターク】という町のバスターミナル。
ここにある食堂(今もあるかは知らんが)で食ったバミーが冗談みたいに美味くて、何もないタークの町にそれだけが目的で2泊したほどである。
ま、遺跡に興味の無いオレはそれで満足なのだが、普通の人はタークに泊まっても面白くないだろうけどね。









話はそれたが、これが稔侍のバミー・ナーム。
タークの記憶が蘇って来た。







(えっ!?これってスコータイヌードルやん!?めっちゃ豚の香りが……ズズズズッ…………うんまっ(゚Д゚)!!)





いやマジで驚いた。
こんな辺鄙でニワトリしか歩いてない様な道沿いのバラックで、まさかこんなに美味いバミーが食えるとは……






ズズズッ!ズズズズッ……ぐはーっ!うんめえええええ~~~っ♪♪



タイの麺類で音を立てて啜るのはマナー違反だ。
が、こんだけ美味くて、しかもスープが熱々となればそんな事など言ってられない。
オバチャン、アンタ一体何者だ!?もしかしたら昔、味いちもんめってドラマに出てなかったか?





(何これ超美味いやん!?ルークチンはちょっと臭味あるけど、これって内蔵の入ったルークチンか??逆にそれがモツ鍋みたいなアクセントになってエエやんか!ぬあああ~っ、この近所に泊まりてーけど宿がネエエエエエ~ッ💦💦)



 

場所をハッキリ覚えてない事を死ぬほど後悔しているが、多分この場所から南下したR1128沿いだった様な………ま、いいや。また必ず見付け出す。稔侍again!







まっ黄っ黄でコシのある小麦麺。

仄かに香る豚骨ベース。

そしてヤケクソ気味に放り込まれた山盛りの豚肉……





参ったよ稔侍、アンタの勝ちだ。

オレ、ここより美味いバミーは食った事なかった。


確かにタークのバミーは激旨だ。

アユタヤーのシュウさんが作るバミー・ギアオ(ワンタン麺)も熱々で激旨だ。


が、稔侍よ…







残念ながらアンタのバミーにゃ誰も敵わねーわ!アンタがオレのチャンピオンだ稔侍ぃぃーーっ!!!!









「はぁ~っ……マジで美味かったなぁ………メー、アンニー、クイッティアオ・スコータイ・チャイマイ?」お母ちゃん、これってスコータイヌードルちゃうの?



「マイ・チャーイ……タムマイヤ?」ちゃうよ……何で?



「ちゃうんや……何やろな?ここら辺はこんな感じなんやろか………マイ・ミー・アライ、アロイ・マーク!No.1!」なんでもないよ、めっちゃ美味かった!ナンバーワン!




「オホオーーーッ!コープチャーイ♪コン・ジーンナ?」あら~っ!ありがとう(ラオス語)♪あんた中国人?




「マイ・チャーイ、コン・イープン」


「コン・イープン??кゑ※ヰищжЮъьаⅩнт!」←ラオ語で全く解らん



「メー、コート~ッ。マイ・カオチャイ、パーサー・ラオ。テー、ジンジン、アロイ・マーク・カップ」お母ちゃんゴメン、ラオ語は全く分からへんねん。でもマジで美味かったよー




「アハハハハッ!OKOK!コープ・チャーイ♪チョーク・ディーナ!」大丈夫大丈夫、ありがとね♪さよなら~!




「チョーク・ディー」さようなら






さっきまでの仏頂面はどこへやら。

本気で嬉しそうな顔の稔侍は意外と可愛かった。









しかしマジで美味かったなぁ……









ここで運を使い果たしてなきゃいいけど。














話しかけるまでは仏頂面だった稔侍。
次はレシピを盗みに来る。




 

因みに、アユタヤーで食えるシュウさんの激旨ワンタン麺(移動式屋台)は、この付近で6am-8amくらいの間限定で現在も営業中。その後は移動するから行き先は知らん。







ตำบลเชียงเงิน, ターク

https://maps.app.goo.gl/FAZQSE4Xy1KyVeb3A


今もあるかどうかは知らんが、タークの激旨バミーはバスターミナル敷地内の食堂で食える。

メーソートにバスで向かう人は休憩時に試してみるといい。