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「こんにちは~」




チェックアウトを済ませ、さっきは留守だったゲストハウスへもう一度行ってみた。

朝は見なかったバイクが止まっているところを見ると、どうやら誰か戻って来た様だ。





「は~い」




建物の裏から、この宿の名物オーナーさんが出てきた。

バラエティ番組で見た事もあるし、ブログだって読んだ事もある。

そこでYouTuberデビューを果たした事も知ってはいたが、どうやら今は止めちゃったみたいだ。


満室に近い状態なら、町中のホテルに泊まるつもりだった。

さっきチェックしたオーナーさんのインスタには、丁度昨日が周年パーティーで休みだった様な事が書いてあり、それなら今日は暇だろうと踏んで来てみたのだが、どうやらその予想は当たった様だ。





「こんにちは。今日は部屋ありますか?」





バイクで来る旅行者が珍しいのか、それともオレが不審に見えたのかは分からんが、『あります』という言葉が返って来るまでのビミョーな間が少し気になった。





「300バーツです」


「あ、はい。今払った方がいいですか?」


「いえ、いつでも構わないんですが、まだ準備が出来てないんですよ…」



時刻は正午を過ぎたばかり。そりゃそうだわな?前以て予約してた訳じゃないんだから。




「じゃあまた後で来ますので、よろしくお願いします」





そういやオレ、手持ちのバーツが少なくなってたな。

丁度いいわ、先に銀行行って来よ。









両替に来た銀行で、写真のオッサンが物凄い量の札束を受け取ってエコバッグにぶちこんでた。人は見掛けに寄らんというが………







追加で2万ほど両替し、その足でカオマンガイの有名店へ。
有名店といってもニマンヘミンのあの店とは比較対象にさえならんのだが……まあ何つーか、『他に選択肢が無いので』と言ったところか。








【海南鶏飯】
中国海南省の味を代々受け継いでるそうな。知らんけど。




手前の赤ちゃんがオーナーの幼少期だったか?
つか、仏歴2508年生まれ(昭和40年)っていったらオレと大して変わらんな?
そういやオレのも白黒写真ばっかりだったわ(^^;




カオマンガイ以外にもこんなメニューが。
これまでカオマンガイしか食った事なかったからトライしてみたのだが………うん、止めといた方がいい(←スープは美味しいよ)。






小一時間が過ぎたところで再びあの宿へ。
オーナーさんに案内されたバンガロータイプの個室は予想に反して新しく、入口横には専用のシャワールームまで付いているではないか。

なるほど、最初に300バーツという金額を聞いた時には『あら?値上げしたんかな』と思っていたが、つまりはこういう事だったのか。




「ここなんですけど、いいですか?」

「はい、大丈夫です」






部屋は蚊帳付きのファンルーム。
昼間は暑いが、夜はファンだけでも問題ナシ。




何より専用のシャワールームがあるのは助かるな、先客にカタツムリの夫婦がいたけど。






(へえ~、もっとコテコテの板張り部屋を覚悟してたけど……何かいい意味で拍子抜けしたなぁ)





この宿を利用してきた先人達のブログには、所々隙間のある板張りの部屋が紹介されていた。
『ま、昔を思い出して1泊くらいなら…』と思っていたのだが、どうせ泊まるなら新しい部屋の方がいいもんな。
今日はオレ以外に誰も泊まってないみたいだし、そこはWで助かったわ。いやホントに。






(なるほどな、こりゃ雰囲気エエわ)




シャワーを浴び、この宿の共用スペースに行ってみた。
手作り感満載のテラス?いや、テラスじゃないな、何て言うんだろ?まぁ、オープン型の居間とでも言うか、そこは確かに居心地のいいスペースだった。









ハンモックに揺られていると次々に来客が。
こうなったらもう色々と諦めるしかない。







(昔はこんな宿ばっかり泊まってたよなぁ…)




今の若いパッカー達には、逆にこんな昔ながらのゲストハウスは新鮮に映るかもしれないな。
ラオスの僻地に行けばまだまだこんな宿はあるが、流石にタイでガスも通ってないゲストハウスなんてのは珍しいと思う。





(あ~、エエ匂いや……カオニャオ蒸してんのかな?)




すぐそばの竈から漂って来る、薪を燃やす匂いとカオニャオ(もち米)の香り。
沈没する連中の気持ちが解る、こんなん癒し以外の何物でもないわ。







オレも連泊しよっかな?







明日も貸切りなら、だけど。













キャンプ嫌いのオレが薪を燃やす匂いに惹かれるとは……
やはり人を狂わす妙なウイルスが流れとるな、この町には。