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(…………さぶっ!)





素っ裸で寝落ちしてたせいか、エアコンの冷気で目が覚めた。

危ない危ない、気を付けねーとエライ事になるぞ(←よくあるヤツ)。









この宿でフアイサーイとルアンパバーンを往復するスローボートの予約も出来る。
オレは過去に一回だけ乗ったが『もうエエわ』となった。そんな乗り物。






このチェンコーンにはもうひとつの常宿があり、今回はそっちを予約したつもりだったのだが、宿側の手違いだか何だかで予約が通っていなかった様だ。
ま、オレはどちらでも構わなかったのでこっちを選んだのだが、これが日本の繁忙期なら大問題になっているところである。
それを、『あ、何か予約入ってなかったみたい♪一番安い部屋は埋まっちゃったけどどうする?』てな感じで悪びれた様子もなく話すタイ人を見ていると、こっちまで『あ、そうなん?じゃあ他をあたるわ』という気持ちになるんだから不思議だ。すぐそばのメコン川から、何か特殊な脱力ガスでも流れ出とるのか?この町は。








川の向こうはラオス。
だからどうしたと言われれば返す言葉も無い。






この日の晩飯は、そこらの露店で買った揚げ物だけ。
バランスが取れていないのは百も承知だが、これとビールさえあれば至福の時になるのはオレだけじゃないはず。
何なら川沿いのレストランで夕陽を見ながらまったり……てのも悪くはないが、そういうのは好きな女と二人ならまだしも、エエ歳こいたオッサンが一人でそれをやっても寂しいだけである。一人だとこういうのがなぁ……




「これとこれ……これも要らんな。よし、軽くなってきた」



腹一杯になったらやる事も無し。
暇潰しにバックパックをひっくり返し、荷物の整理ついでにボロくなったパンツや靴下の廃棄処分をおっ始めるオレ。
ついでにTシャツも…と言いたいところだが、Tシャツは少なくとも一日三回は着替えるので処分はまだだ。
つーか、もうTシャツは速乾性の生地じゃないとコッチ…いや、日本でも無理だな。
確かに衝動買いしたくなる様なデザインのシャツはナイトマーケットにも沢山あるんだが、綿生地だと暑すぎる上に生乾き臭が酷い。やはりTシャツは速乾性に限る(←タオルもね)。









川沿いはジョギングコースにもなっていて、早朝や夕方にはジョガーの姿もチラホラ。
が、すれ違う時は必ず息を止める。






(あ~あ、もうやる事無くなったか…)




旅に出る前は、『田舎の町でのんびり…』と毎回の様に思うオレ。
が、実際に来てみれば田舎はただの田舎である。
特にこの町は観光客向けのバーがある訳でもないし、露店や食堂だって夕方までで店仕舞いしてしまうから寝るしか無い。
そんな田舎に一人旅………うん、まあ余程好きなヤツくらいしか来ねーわな?こういう町には。







(残り一週間か……明日は特に予定無し、明後日も特に予定無し…………ん~……フアイサーイにでも行ってみっか?いや、それも何か面倒臭ぇな~…………………………………あっ……………あそこにでも行ってみっかなぁ…………)






結論から言うと、オレは何も無いこの町に3泊もする事になった。

それはただ移動するのが面倒になっただけじゃなく、色々と考えさせられる場面に出会えたからだ。







それにしても強烈だったな、あの出来事は。













ちょっと山奥に入れば例の畑が。そりゃコッチの方が儲かるんだろうな。