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「お~♪久しぶりやなぁ、チェンラーイ」
午前11時、チェンラーイ市街到着。
予定よりかなり遅れたがいつもの事だ、一人だと誰も待たせなくて済むのが楽でいい。
チェンラーイ市街のシンボルでもある時計台。
夜はライトアップされて綺麗だが、昼間に見ると下品なだけ。
ウチの近所にあるスナックのママと同じだ。
街の規模で言うとチェンマイの1/5といった感じだが、チェンラーイには安宿から大型ホテルまで、観光客を受け入れる箱は一通り揃っている。
オレは今回、この街で昼メシを食ったらサッサと次の街へ向かうのだが、一昔前までは日本人(特に年配者)にも非常に人気の高い街だった。
チェンラーイは、ミャンマーとの国境から近い事もあってか宝石(特にルビー)の売買が盛んである。
実はオレの店の常連にもチェンラーイの宝石商と取引をしている爺さんがいて、『仕事でチェンラーイ?もしかして宝石売ってます?』と言ったら驚かれたもんだ。
ミャンマーから入って来るルビーは良質な物が多く、貨幣価値の違うタイ側からすれば濡れ手で粟な時代もあった。
が、当たり前ながらそこにはミャンマーの腐敗した政治家やマフィア、更には反政府グループによる利権の争奪戦が熾烈を極めているのも事実。
宝石やアクセサリーに全く興味の無いオレには理解不可能な図式だが、こういう話を聞くと、本当に人間ってのは愚かなイキモノだなと思ってしまう。
主よ、愚かなる民を戒めたまへ。
「確かここら辺やったと思……あ!これや、良かった~♪」
やって来たのは『ファン・オーチャ2』というクイッティアオ屋。
クイッティアオというのはタイのラーメンみたいなもんだが、10年以上前にここで食ったバミー(小麦麺)が美味かった様な気がして再訪したのだ。
が、それをよく覚えてないのはイマイチだったからかも?
ま、いいや、とりあえず入ってみよう。
「キン・アライナ?」何にする?
「バミー・ナーム」汁アリのバミー
「スペシャル?」
「カップ」はい
そうだ。
ここは確か、普通のバミーとトッピングの多いスペシャルがあって、そのフワフワのつくねみたいなヤツが美味かった気がする。
せっかくだし食べるならスペシャルだな、次はいつ食えるか分からんし。
が、コロナで倒れてた時の小便を思い出して少しゲンナリ。
チャッチャと注文をこなして行く織田無道みたいな顔つきのオバチャン。
その手付きは正に職人芸なのだが、何ぶん愛想が無いので苦行の真っ最中にしか見えない。
釈迦は途中から苦行に意味は無いと悟ったらしいが、このオバチャンはそれを知っているのだろうか?
「スペシャル…」
「コップン・カップ」
フワフワのつくね、ルークチン(フィッシュボール)、スジ煮なんかが乗って……値段忘れた。
(あ~、やっぱりそうやったか。ここは確か、つくねとスープは美味いけど、麺はイマイチやったな?)
一気にズルズルッといきたいところだが、タイでは音を立てて麺を啜るのは御法度だ。
郷に入れば郷に従え。日本と同じだとは思わないように(特に女性は麺をレンゲに乗せてから食べる)。
うん、これは美味い。
(やっぱりそうや、このつくねは美味いんやけどな~。肝心の麺がイマイチやねん…)
無駄に柔らかい手打ち麺にがっかりするオレ。
これは日本でもそうだが、オレは讃岐うどん以外の手打ち麺が苦手な男である。
巷に乱立するラーメン屋もそうだが、自家製麺をウリにした店ってのは、その殆んどが口に合わない。
いつも、『こんなモンの一体何を有り難がってるんだろ?』と不思議に思うのだが、有り難がってる連中の半分くらいは『みんながネットで絶賛してたから』という下らない理由が本音だろう。
そこは『コレって自家製ですか?』と、何を食っても必ず聞きたがるアホな姉ちゃん客と同じだ。
ま、どうでもエエけどな、こんな店の事は。
オレがチェンラーイに来たかった理由は、もうチョイあと。