前回の話はコチラ↑
久里浜港に着き、さてこれからどうしようと考える間もなく三崎方面へ。
横須賀海軍カレーとやらを探すには時間が早すぎるし、前回は鎌倉から横須賀まで横断しただけの三浦半島だ。せっかくだし南端へは行ってみたい。
サザンな北西部とは無縁な雰囲気の南東部。ギャップが激しすぎる。
(あら～、コッチ側は完全に鳥羽一郎なんやなぁ…)
観光客とサーファーで混み合う七里ヶ浜のイメージがこびりついていたせいか、それとは真逆の漁師町風情に面喰らうオレ。
まぁ何つーか、やっぱりビーチってのは夕陽の綺麗な西側が発展しやすいんだろうか？
ワインよりコップ酒が好きなオレはコッチ側の人間だな、多分。
城ヶ島まで行こうと思ったが時間の関係で止めた。
それにしても長閑でいいところだな、三崎。
「釣れますか～？」
三崎漁港で釣りを楽しむ地元民。
その中の一人に、ついついテンプレ通りの挨拶をしてしまう自分がウザい。
つか、これってアレと同じだな。例えばオレが自分の店のドアを外して大掃除してる時、必ず中を覗きながら通り過ぎるヤツ。
で、それが一人じゃなくてグループだと、『掃除してるわ…』とか意味無く呟くヤツが高確率でいるのだが、その度にオレはいつも祈るのだ。【虫歯になれ】と。
『いや～、全然…小アジがちょっとだけ』
そんな事を聞いてどうするつもりだと思われてるに違いない。
仮に、『型のいいツバスが五匹ほど。良かったら一本持って帰りますか？』と言われても無視していただろう。
タチの悪いイササカ先生なのか、オレは。
「おっ、デカいですねー！何て言う犬ですか？」
懲りもせず声を掛けてしまったのは、そこに大型犬と一緒に来ていた中年女性。
普段は絶対にこんな事をしないオレだが、やはり病魔に侵され始めてたんだろうな、この時から。
「ブラッドハウンドっていう種類です」
「ブラッド……へえ～、可愛いですね」
毎朝の銭湯で目にする、爺さんの内股みたいにたるんだ口元。
そこから垂れるヨダレが付かない様、尻尾を振りながら寄って来るソイツとは一定の距離を保ちながら愛想笑い。
嘘発見器にかけられたら騒音レベルのセンサーが鳴ったはずだ。
長閑で感じのいい三崎漁港だったが、蒸れた撒き餌の臭いに耐えられなくなり5分で退散。
嘘をついたバチが当たったのだろう。
せっかく来たんだし、何か面白そうな場所は無いかと周囲を散策。
まだ開店前の食堂には『まぐろ丼』と書かれた幟が潮風に揺れていたが、そういやマグロはここら辺の名物だったか。
青魚と貝が好きなオレにはイマイチ興味が湧かないのだが、一般的な観光客はコレ目当てで来る人が多いんだろうな。
(またマグロか……ま、名物って言うても、どうせ大間と同じ理屈なんやろうけど…)
こういうのはマグロに限らずだが↑
てな訳で、その近くにあった【三崎フィッシャリーナ・ウォーフうらり】という道の駅チックな施設へ行ってみた。
海産物を中心に、カフェやら野菜やら土産物屋やらが所狭しと軒を連ねているのだが、当たり前ながら一番人気はマグロである。
みんな好きだねぇ、マグロ(^^;
(ゲッ、肉と変わらん値段やないか！？エグいなぁ…)
最早ブランド牛の単価を超えたアホ価格。
良かった～、そんなに好きじゃなくて。
乱獲による個体減少、大陸人による高値取引等々、人気の食材に関しては様々な原因が折り重なって価格高騰となるのだが、やはり最大の問題はメディアやSNSによる情報の拡散だろう。
分かりやすい所で言えば牛ハラミだ。
ハラミは本来、副生物と言われる内蔵(ホルモン)扱いで、40年ほど前までは全く人気の無い部位だった。
街角のスーパーでは【牛ソフト肉】という商品名で並び、ファミリー系のステーキハウスではランチのサイコロステーキとして重宝した。
業者間では【カクマク】【マクミ】【アウト】と呼ぶのが一般的で、輸入物でキロ単価800円しなかったと記憶している(現在は輸入物で約5000円・国産だと6800円平均)。
そんなハラミが急に人気商品となったのは、焼肉のタレのCMがきっかけだった。
「ハラミ、うめえええ～っ！」
と絶叫する木梨憲武。
『ハラミ食う時はメシやろ』と訳の分からん能書きを垂れるバカが増えたのは、彼が片手に大盛のご飯を持っていたからだ。
要するに、CMに植え付けられたイメージをアホが拡散し、『オレって肉知ってるだろ～？』というダメな糞上司の言う事を真に受け続けてるだけなのである。オレに言わせりゃ極刑に値するアホどもだ。
何も知らんなら知らんと言った方が女受けはいいのに、テレビの糞グルメ番組とか食べログの点数とかを信じてる能無しは、コレだから心底嫌になる。
ま、時勢が時勢だけに、今はしゃあないと言えばしゃあないんかな？
それにしても、そのブサイク顔とボッテリ腹のクセして承認欲求もいい加減にせーやと思うのはオレだけか？
他人の意見に惑わされず、自分が旨いと思ったモン。
それも、損得抜きで誰かが自分の為に作ってくれたモンがこの世で一番旨いのだ。
そこを勘違いすんな、嫁に隠れて食べロガーやってるカス旦那どもは(←最近また嫌な事あったし余計に)。
【うらり名物】か。
何度も言うが、名物と認定するのは店側じゃなくて客側だ。一々表示すんな、余計萎えるから。