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「ヨヤクシタ!?チョとマテね……あ~ハイハイハイハイ!じゃコレ書いて。靴はソコデヌグ!




訛りからして間違いなく大陸人だとは思うが、どうやらこの小肥りオバチャンが宿の女将らしい。

オバチャンといってもオレと変わらんくらいの歳だとは思うが、それにしてもコイツらは何故揃いも揃って声と態度がデカいのか?

もうチョイ丁寧に、もうチョイ落ち着いた言葉遣いならそれなりの対応をするところだが、こういう雑な日本語を振られるとイラつくんだわ、オレ。


オマエら何年日本に住んでんのか知らんけど、日本でこういう仕事するならいい加減にマトモな言葉覚えた方がいいぞ?ホントに。









着いた早々目についたオーラ玉。
ROUND1にも似たようなのが並んでた。




「ハイ、オヘヤここ。外デルとき必ず鍵預けてね!」

「こんなデカい鍵持って外行くアホなんかいーひんやろ?つーか、汚ったねぇ部屋やな~」

「………ンア??」



暗くカビ臭い廊下の奥へと連行され、部屋に入る時には罰ゲームを受ける予備校みたいな気分になった。
それに加えてこのバカみたいな物言いだ。日本人がみんな羊だと思ったら大間違いである。

【宿主→横柄 ・客→遠慮がち】

こんな図式が当たり前の様に通用するほど日本は甘くない。
オマエら共産国民の間では当たり前かもしれんし、コッチじゃ言い返せない気弱な客も多い事だろう。
が、残念ながらオレはオマエらにとって都合のいい人種じゃねーんだわ。それを思い知れ。




「畳は毛沢東時代から替えてねーみたいやけど、シーツ類は業者が洗ってるみたいやな。あ、バルサンかダニアースある?」

「バル……ソンナノ必要ナイヨ!ちゃんとソジしてる💢」


「ブハッハッハッハッ!あっそ、そんならえーわ。で、この詰め物は何?ここからネズミの赤ちゃんとか刀削麺か何か出てくんのか?」





埃が溜まるからという理由でこうなってるらしいが、それならカバー自体を交換しろって話だ。
ま、いい暇潰しにはなった。





真っ赤な顔で戻って行ったが関係ナシ。
無礼なヤツには無礼で返すのがオレ流だ。北風と太陽みたいな話は時間のある時だけ通用する(かもしれない)御伽話。北風にはブリザードで返さなきゃならん場合も時にはあるのだ。





(しっかし汚ねぇな……ま、ここらじゃ最安値やったし仕方ねぇか)






これでエアコンが無かったら只の独房だ。
ブラインドを下ろしたら煙の様に埃が舞って窓全開。同時に蚊が3匹入って来て泣きそうになった。





とまあ、こんな収容所だが利用者はチラホラいる様だ。
オレがチェックイン時にもビジネス利用っぽいオッサン達が結構いたし、日帰り温泉で来てる物好きも多少はいるのだろう。
が、【那須塩原最安値】という事を除けば大いなる詐欺リゾートなのは間違いなく、安いからと言って安易に彼女と泊まったりするのは止めた方がよさそうだな。
逆に、今のパートナーと何とかして別れたいと思ってる夫婦やカップルには自信を持ってオススメするが。







通路に掛かる不気味な面。
もはやピラミッドとは何の関係も無いガラクタのオンパレードだ。






(とりあえず風呂でも入るか…)




ネットのクチコミによると、泉質だけは素晴らしいという話が多かった。
ま、それさえダメだったら存在価値の無いテーマパークなのだが、実際に入ってみると確かに湯は悪くない。
気になったのは清掃面くらいで、分かりやすく言うとヌルヌルの泉質・ヌルヌルの床&浴槽という感じだろうか。
ついでに言えばビショビショの脱衣場という特典付きだったが、これはタイミングの問題だろう。

風呂場の壁面や至る所に施されたエジプト装飾と、湯に浸かるガリガリの爺さん達。
これが偶然か計算された物なのかは不明だが、その強烈な光景はミイラがホルマリン風呂に浸かっている様にしか見えなかった。






ある意味、天国に一番近い場所なのかもしれないな、ココ。











脱衣場の入口付近にあった壁面風絵画。
ステテコ一枚の爺さんがベンチで死んだ様に寝ていたが、やっぱり死んでたんだろうか?